「4回も不合格」それでも東京藝大目指す彼の粘り 度重なる不運に遭いながらも勉強を続けた
東洋経済オンライン / 2025年1月19日 7時40分
「『たくさんのモチーフがひな壇状に置かれ、その中心に鳥籠に入った鳩がいました。その鳩を鳥籠から出し、自由に配置して描きなさい』という試験内容でした。
『こんなの(過去に)出たことないぞ!』と困惑していたのですが、みんなが静かに描いていたので、そのうち鳩が丸まって寝はじめたんです。私のいる位置からは、くちばしのあるまんじゅうにしか見えなくて、うまく描けませんでした。結局この年もまったく手応えがないまま終わり、1次で落ちてしまいました」
まったく勉強をしなかった4浪目
4年連続、東京藝大の1次試験で落ちた青野さんは、ついに将来の就職を考えて、大塚テキスタイルデザイン専門学校に入学する決意をします。それでも、藝大受験への熱意自体はまだ衰えていませんでした。
「在籍しながら仮面浪人をしていました。受験を諦める気はまったくなくて、諦めなければ、いつかは受かるんじゃないかと思っていたんです。専門学校の絵の課題は藝大受験と関係がありませんでしたが、結果としてこの選択はよかったですね。
専門学校に入ったことで浪人という無職の状態ではなくなり、地に足がついて余裕が生まれたんです。それで描く絵が変わって、何もしていないのに3浪目よりうまくなっていきました」
ところが、母親が春に脳梗塞で入院し、昼には病院に行ってご飯を食べさせる生活を11月まで送ったあと、母親の退院と入れ違いになる形で父親がアキレス腱を切ってしまい入院をするという慌ただしい1年を過ごしていたため、この年は受験対策どころではなかったと語る青野さん。
それでも、専門学校の学生という身分を手に入れたことが、青野さん自身の能力を向上させていったようです。
この年は、「また試験で鳩のような問題が出たら描けない」と思ったため、青野さんはふたたび2浪まで受けていたデザイン科デザイン専攻に出願し直しました。
今まで2年不運が続いたためか、この年の「クジ」は対象を描くには最高の、「最前列」。そこで初めて1次試験を突破します。2次試験も力を出し切り、見事4浪で東京藝術大学美術学部デザイン科デザイン専攻に合格しました。
「この年はもう、合格は難しいと思っていたこともあり、1次試験の合格発表の日も、2次試験の前日もアルバイトを入れていて、普段の生活リズムを崩さずに受験をすることに決めていました。実際に合格したときは作品の出来がとてもよかったとはいえ、驚きましたね。環境を変えたことで、心持ちや描く絵が変わったのがとても大きかったです」
社会人になっても浪人の日々が生きている
この記事に関連するニュース
-
「キラキラ大学生活」憧れた彼女が2浪で見た現実 コンプレックスを抱えた彼女の大きな変化
東洋経済オンライン / 2025年1月12日 7時30分
-
「地元1位→桜蔭」浪人で変化した彼女の価値観 勉強できることに価値があると思っていたが…
東洋経済オンライン / 2025年1月5日 7時30分
-
「4浪医学部合格」京大諦めた彼が医師目指した訳 ギリギリ惜しいところで落ちる浪人の日々
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 7時35分
-
「19浪で九州大」心病まずに挑戦し続けられた理由【再配信】 共通一次とセンター20回挑戦、学費工面の日々
東洋経済オンライン / 2024年12月27日 8時0分
-
「1浪中央→銀行」その後医学部受かった彼の奮起 「医学部は無理…」悔しい言葉がバネになった
東洋経済オンライン / 2024年12月22日 7時30分
ランキング
-
1日本人が不安定な社会で「自分の財産」を守る方法 トランプ大統領の再登場で心配される2025年
東洋経済オンライン / 2025年1月19日 8時0分
-
2明治チョコレート、カカオ高で決めた「究極の選択」 味と手頃な価格を両立することができるか?
東洋経済オンライン / 2025年1月19日 8時10分
-
3所要時間は日本最長!異色の「サンライズ出雲」が春に運転へ 列車の時刻に変更も
乗りものニュース / 2025年1月19日 8時42分
-
4NTTのグループ企業、陸上養殖事業に続々と参入…ICTの知見生かしエビ・サケなど効率よく育てる
読売新聞 / 2025年1月18日 7時40分
-
5LINEヤフー社長に聞く「2024年はどんな1年だった?」 セキュリティ対策の進捗は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月18日 15時2分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください