これからの日本に本当に必要な株式市場とは何か 投資量を増やし株価を膨らませても意味がない
東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時30分
ひとことで海外投資家といっても、もちろん投資家によるが、日本に狙いを定めている投資家の多数派は、日本の投資家の弱さを突く「弱い者いじめ投資家」である。「21世紀の総会屋」のようなアクティビストが少なくない。そのほかの投資家の多くも、旬のネタをあおってイベントとして、そこでの盛り上がりを利用して売り抜けるオポチュニスト。しかもマッチポンプ的な「最悪のたかりや」である。
確かに、ここまで悪しざまに投資家を全否定するのは間違っているが、そういう投資家は世界に多く存在し、日本に流れ込んできている投資家は、そのような投資家の割合が高く、世界的にもっともガラの悪い投資市場となっていることも事実なのである。
「正しい投資家」こそ必要
では、日本の株式市場に必要なものは何か。「正しい投資家」である。正しい投資家とは、正しい株価をつける投資家である。正しい株価で株を買い、売るときも正しい株価で売ることを目指す投資家である。割高になることを望まない。それが儲けになるとしてもだ。
なぜなら、それは長期的には、正しくない株価で取引して儲けようとする「悪い」「汚れた」投資家を引き付けることになり、正しい投資家にとって長期的利益を損なうからである。正しい投資家にとっての長期的利益とは何か。正しい市場がつねに存在している、ということによる経済全体へのメリットである。正しい市場とは、ほぼつねに正しい株価がつく市場である。正しい株価とは、企業の真の長期的価値を反映した株価のことである。
この大前提が、日本だけでなく、現在では世界中の株式市場で成り立っていない。しかも、望んでもいない。NISAで個人を呼び込むのも、外国人投資家を呼び込むのも、投資量を増やすためである。株価を「上げる」「inflate」「膨らませる」ためである。
需要を増やす、というのはまったく間違った政策なのである。それは大恐慌と同じで、経済が理不尽に大陥没しているときには、多少無駄でも需要を呼び込むことが氷を解かすことになるが、そうでない限りは、需要を増やして株価を上げるのは正しくないし、長期には市場にとってこそマイナスなのである。
21世紀に本当に必要な株式市場とは?
日本においては、政府も取引所も有識者もメディアも、株価を短期で引き上げるために躍起になっているが、それが日本の株式市場をさらに汚し、企業経営にも大きな悪影響を与えているのである。アクティビストに壊され、邪魔させ、無駄なことに忙殺される。
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