「102歳の薬剤師」今も"週6勤務"を続ける深い理由 夫の事業失敗、30歳で開業…予定外でも幸せな人生
東洋経済オンライン / 2025年1月28日 9時0分
薬剤師の資格を取ったのは、尊敬する父のすすめだった。
女学校を卒業する前に「これからどうするの?」と聞かれた幡本さんは、「師範学校に行きたい」と答える。すると父は「僕は薬剤師になるのが一番いいと思うよ」と助言してくれた。
それは「薬剤師のお免状(免許)は君が死ぬまでついて回るよ。一生仕事ができる」ということだった。
女学校を卒業した幡本さんは、東京・谷中の東京薬学専門学校(現・東京薬科大学)女子部に進学。1941年に太平洋戦争が開戦し、戦火が広がる中で卒業した。幡本さんは化学工場の研究室に就職する。
「ビーカーを振ったり塗料の分析をしたり」という毎日。やがて戦争が激しくなり、最愛の父も病気で亡くなった。空襲で焼死して隅田川に浮かぶ遺体が瞼から消えず、疎開先の長野では終戦2日前に機銃掃射にも遭遇した。
一生の仕事になると父が描いてくれた薬剤師の夢は、いつしか幡本さんの頭から消え去っていた。
夫が友人の連帯保証人になり、店を失った
終戦後、25歳で結婚。日本は平穏な日常を取り戻しつつあり、幡本さんは夫の商売を補佐しながら、2人の娘に恵まれた。ところが、ある日突然、夫から「数日後に引っ越すから」と告げられる。何を聞いても、夫は「店を畳むよ」としか言わない。
「娘たちはまだ幼稚園。従業員の人たちも突然仕事を失って大変だろうし、私たち家族もこれからどうなるの? と聞いても主人は黙りこんだきり。あとでわかったのですが、主人は親友の連帯保証人になっていたんですね。それで店を失ってしまいました」
小さな家を1軒持っていたので、一家はそこに引っ越した。暮らしは一変したが、幡本さんは「これはこれでいいかも」と考える。
「女の人は専業主婦が当たり前の時代でしたが、私は主人の店で働いていたから、いろいろ苦労もあったの。人も使っていたし、お炊事はお手伝いさんがいたけれど、子どもたちのことも見なきゃいけないので忙しかった。店がなくなり、私は家庭のことだけやればいいので、前よりも楽になったわって(笑)」
子どもたちとゆっくり遊ぶ時間ができ、お手伝いさん任せだった幼稚園の送り迎えもできる。ミシンを買って、不器用ながら洋裁の本を見ながら子どもの服を作り、小学校時代に習っていたお琴の稽古も復活させる。
幸い、持ち家は残ったので家賃はいらないし、少しばかりの蓄えもある。この先のことは一家の大黒柱たる夫がなんとかしてくれるものと思っていたので文句も言わなかった。
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