日本は後進国?子どもの学力差がつく意外な盲点 なぜ?なに?を伸ばすだけで思考力が身につく
東洋経済オンライン / 2025年1月31日 8時20分
従来の日本の理科教育は、正解ありきの知識を詰め込むことに重点が置かれていました。
理科の授業内での実験も、あらかじめ結果や正解がわかっているものが多いので、子どもたちが自ら疑問を持ち、探求する機会は限られていますよね。
実験教室を行うと、高校生でもハサミが使えなかったり、紙をうまく丸められない人がいます。
とりわけ、受験勉強を一生懸命頑張ってきた人たちにはどうしても、手を動かしたり、正解のない「非認知能力」を伸ばしきれていない人が多いことも事実です。
本来ならば、理科の実験では予想外の結果に遭遇することもあるはずです。「なぜうまくいかなかったんだろう?」「どうすれば成功するだろう?」と、試行錯誤を繰り返すなかで、問題解決能力が育まれていくのです。
科学的思考力を伸ばすためには、「なぜ?」「どうして?」という疑問を持ち、自ら探求し、解決していくプロセスが重要なんです。
理科離れが進む日本の小学校
また、日本の小学校においての、理科離れは深刻化しています。
小学校では一人の先生がさまざまな教科を担当することが多いのですが、理科を得意としていない先生がいることもその一因、かもしれません。先生自身が理科を楽しんでいないと、子どもたちにその面白さを伝えることはできませんから。
例えば、「物質の状態変化」の学びを伴走する際、水が固体、液体、気体に変化するというと、子どもたちは水が100度で沸騰して、0度で凝固しはじめることは、頭で理解していますよね。
ここで例えば、「でもね、海の水は100度じゃないのに、蒸発するのってなんでだと思う?」などと、ちょっとした問いかけを入れ込んでみると、たちまち子どもたちの目は輝くんです。
そこで、私は子どもたちに理科の面白さを伝えたいという思いから、理科の教材づくりとともに、理科を面白く楽しく伝えることのできる人材の育成にも力を入れています。
例えば、「サイエンスライブショーにっぽん号」を研究室の学生たちと立ち上げ、定期的に子どもたちに向けて、サイエンスショーを行ったり、月に3度ほど若い世代に対して、理科の楽しさを伝える活動を行っています。
なかでも月に一度は学生が実際に子どもたちの前で話す場を設けていまして、私の研究室では3割程の学生が教員の道を選んでいます。
一方、海外では、STEAM教育の先進的な取り組みが盛んに行われています。
アメリカでは、オバマ政権時代にSTEAM教育が国家戦略として掲げて以来、科学技術分野の人材育成に力を入れ、企業や大学との連携も強化しています。
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