3回の「初代大統領」を務めたモンゴル人政治家 モンゴルの移行期を背負ったオチルバト大統領の軌跡
東洋経済オンライン / 2025年2月1日 16時0分
彼ら母子がウランバートルで居を構えたのはアムガラント地区である。ここは清朝時代、貿易のために漢人に居住が許された特別地区であった。
「当時、ラジオというまるいお皿のような黒いものがありました。いつでも何かしゃべっていました。私たち子どもは初めてラジオを聴いた時、『人はどこにいるのだろう?』と、うしろをのぞいて見たものです。私はウランバートルに来た時、ジャガイモという野菜が食べられませんでした。ジャガイモというのはとにかくまずくて、土臭い味のする嫌なものでしたね。…人参はとても甘い味がする野菜ですよね。私たち子どもはそのまま生で食べていました。そんな子どもだったのですよ。アムガランバートル区の第8学校は1932年に創立されました。私は1951年、その学校の第1学年に入学しました」
「ポンソルマーギーン」という名前の由来
ところで、彼の名のポンソルマーギーン・オチルバトは、ポンソルマー(女性)の息子という意味なので、一見、私生児ではないかとの印象を与える。小学校の入学手続きでそうなってしまった。ことの顛末は、彼によれば以下のようなものである。
「ポンソルマーという母の名前で手続きした理由は2つありました。まず、父は僧侶でしたから父親の名前をみだりに口にしないものなのです。そのうえ、故人になっていますから絶対にいけません。タブーなのですよ。これは昔からの伝統です。それだけでなく、「お父さんの名前を言ってしまったら、この先生はどうするつもりだろう?」という考えが浮かんだのだと思います。当時、僧侶の子どもは自分の出自を正直には言いにくかったのですよ。僧侶たちは『黄色い封建領主』と呼ばれ、階級の敵とみなされていました。こういう人の子どもは、なかなか自由に学校に入ることができませんでした。まずだめでしたね」
さらに、日本人のためにはもう1点解説を加える必要がある。母は再婚していたので継父が生きていたけれども、その名を告げなかったということだ。モンゴルでは父母が再婚しても、元々の実父の名を姓とする習慣があるためだ。
だから、もし、両親がそれぞれ連れ子をして再婚した場合、その家族の姓は、母の姓は母の父の名、父の姓は父の父の名、母の連れ子の姓は前夫の名、父の連れ子の姓はこの父の名、というように、ファミリーネーム(姓)に相当する名が4つ混在することになる。
オチルバト氏には実父と継父がいたけれども、小学校入学手続き時以来、母の名を姓としてきたのだった。
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