3回の「初代大統領」を務めたモンゴル人政治家 モンゴルの移行期を背負ったオチルバト大統領の軌跡
東洋経済オンライン / 2025年2月1日 16時0分
「Y.ツェデンバル氏は新たな省を設置する必要性が生じた件について、…『P.オチルバト、君を燃料・エネルギー省大臣に任命することについて我々は討議している。この問題に対する君自身の意見を聞こうと思う!』と言うのです。
私はこのような問題が討議されることをあまり知らずに来たので、かなりうろたえました。そして『エネルギー省の設置は正しいと思います。さらに新しい省の大臣に私を任命する問題が討議されております。私にはこのたいへん重要な、責任ある部門の省の大臣は務まらないと思います。私はエネルギーが専門ではありません。エネルギーのことは知りません。私は鉱山が専門の人間なのですよ!』と言いました。ところがY.ツェデンバル氏は『君がこの分野の仕事を知らないと言っているのはたいへんいいことだ。君は若い。知らないことは今すぐ勉強して、この仕事をするんだ。君がこういう姿勢だということは私が政治局に伝えよう。もうすぐ政治局の会議が始まる。君たちちょっと待ってくれないか』と言いました。
それから20~30分して政治局の会議が始まりました。Y.ツェデンバル氏は『同志P.オチルバトを燃料・エネルギー省の大臣に任命することを提議する!質問のあるものは?』と言いました。集まった政治局の局員たちの中に私に質問する人はいませんでした。全員挙手して承認されてしまいました」
オチルバト氏自身のキャリアとモンゴルの発展のシンクロニシティ(共時性)を本人が十分に自覚しており、「天の時」を生きた人であることが了解されよう。
以上のように、オチルバト氏は社会主義時代を通じてすでに資源開発やその利用部門、さらには輸出部門をつかさどる中枢にいて人民革命党の要職にあった。にもかかわらず、1993年の大統領選では野党のモンゴル民主連合から立候補したため、「日和見」と呼ばれるようにもなった。
それでも見事に当選を果たしたのは、こうしたインタビューにも表れているように、その実直な人柄にあるだろう。「飾り気のない人」として親しまれてきた。
モンゴルの屋台骨産業を一貫して担った
と同時に、モンゴル国の屋台骨とも言うべき鉱工業を一貫して担ってきたことが、イデオロギーを問わず、彼に揺るがぬ地位を与えたように私には思われる。
2025年現在もなお、モンゴル国の経済を支えているのは鉱工業部門である。モンゴルの発展における礎を築いたポンソルマーギーン・オチルバト氏に、心から哀悼の意を表します。
小長谷 有紀:国立民族学博物館名誉教授
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