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「トランプ劇場Season2」エピソード1の見どころ ひとつ間違えば仲間割れで「ハネムーン終了」も

東洋経済オンライン / 2025年2月1日 8時30分

トランプ氏とテック・ジャイアンツは、トップダウン経営者という「似た者同士」であるだけに、一度、わかり合えると話が早い。しかもトランプ氏はAI開発、宇宙開発、暗号資産などに意欲的で、彼らからみて「おいしいネタ」を支援してくれるのだ。

こんなふうに、トランプ氏の周辺に「テック勢」が入ってきたことは、政策立案過程にも影響することになるだろう。つまりトランプ政権のスタッフには、強烈な支持者である「MAGA派」と、伝統的な「共和党主流派」が混在している。そこに第3勢力として闖入してきたのが「テック派」である。今後のトランプ政権の政策は、これら3つの勢力が競い合って決まっていくだろう。

「Season2」のエピソード1が始まった

一例を挙げれば「H-1B」ビザの問題がある。高度な技能を持つ外国人を招くためのビザだが、MAGA派は「この制度はアメリカ国民の仕事を奪うものだ」と考えて反対する。しかしマスク氏などのテック派は、「アメリカには世界最高の人材が必要だ」と考える。このときはトランプ氏がテック派に軍配を上げた。

トランプさんは経営者の時代から、チーム内で対立や混乱が起きることを歓迎する人である。こんな風に3つの派閥が衝突しながら物事が決まっていくのは、「願ったりかなったり」なのであろう。

ところでテック・ジャイアンツと言えば、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長についてもひとこと触れておかねばならない。

孫氏は年初にホワイトハウスに乗り込み、「対米投資1000億ドル」と大風呂敷を広げてトランプさんの歓迎を受けた。その際に、「マサ、2000億ドルにしてくれ」と言われたのは、たぶんは「吹っかけ」、もしくは軽いジョークだったはずである。ところが短い準備期間で出直して、今度は「AIインフラ投資に5000億ドル投資します」と宣言した。しかもオラクルのラリー・エリソン会長、OpenAIのサム・アルトマンCEOと一緒に、である。

まじめな話、AI開発には何が起きるかわからない。ここへ来て中国製の「安上がり」生成AI、”DeepSeek”が登場したことで、ますますその感が強くなった。間違いないのは、今後の開発競争がますます熾烈なものになるということだ。

他方、孫氏の「スターゲート」計画に対し、マスク氏は「ヤツにそんな金はないはずだ」と言ったようである。ハイテク業界の巨人たちは競争意識が強いのだ。彼らの「トップダウン体質」は、見方を変えれば「お山の大将」で、ひとつ間違えばすぐに「仲間割れ」しかねないことを意味する。トランプ政権とのハネムーン期間も、あっけなく終わってしまう可能性も無視できないところだ。

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