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ロシアーウクライナ戦争が起こった歴史的な必然 「東欧を制する者が世界を制する」100年前の格言

東洋経済オンライン / 2025年2月5日 15時30分

彼らは現実主義の論理は21世紀には不要であり、法の支配、経済的相互依存、民主主義などの自由主義原則によって、ヨーロッパの統一と自由が保証されると思い込んでいるのだ。しかしこの壮大な構想はウクライナで失敗した」

1990年代からウクライナ戦争を予見

ミアシャイマー氏は、1990年代の早い段階からウクライナ戦争を予見していた数少ない学者でした。それが可能だった理由の1つは、ロシア視点の地理的現実を直視していたからでしょう。ミアシャイマー氏は早くも1993年の記事でこう述べていました。

「ロシアとウクライナの関係は今後悪化する可能性が十分にある。第一に、両国は安全保障の軋轢が発生しやすい条件を持っている。ロシアとウクライナのように、無防備で長い国境を共有する大国は、しばしば安全保障上の懸念から対立に陥る……ロシアとウクライナが戦争をすれば大惨事になるだろう。大国を巻き込む戦争は莫大な犠牲と世界的な混乱を引き起こし、他の国々を巻き込む可能性さえある。ロシアがウクライナを再征服するようなことになれば、ヨーロッパ全体の平和が損なわれるだろう」

2014年には、あらためてウクライナが特異な地政学的立場にあると指摘しました。

「プーチンの行動を理解するのは容易だ。ウクライナは、かつてナポレオン時代のフランス、帝政ドイツ、ナチス・ドイツがロシアを攻撃するために通過した広大な平地に位置している。そのため、ウクライナはロシアにとって戦略的に非常に重要な緩衝国家なのだ……アメリカは地政学の基礎の基礎を理解するべきだ。すなわち、大国は常に自国領土近くの潜在的脅威に敏感である……仮に中国がカナダとメキシコと軍事同盟を結んだら、と想像してほしい。アメリカは必ず激怒するはずだ」

ミアシャイマー氏は、「この問題を解決する唯一の方法は、ウクライナを緩衝国家(緩衝地帯の役目を担う中小国)に留めておくことだ」と言います。欧米は、ロシアの置かれた立場を冷静かつ現実的に考え、ウクライナを欧米にもロシアにも寄り切らない中立緩衝国であり続けさせることこそが、長期的な平和に繫がると言うのです。

ミアシャイマー氏の議論は、地政学の観点から捉えると非常に興味深いものです。というのも、ロシアに関してこれと驚くほどそっくりの主張が、ウクライナ危機の100年前になされたからです。その主張を行った人物こそ、地政学の父、ハルフォード・マッキンダーです。

冷戦終結後と100年前の共通点

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