過熱する「フジのアナ報道」鵜呑みにする"危うさ" 世間のイメージとのギャップに局アナたちも苦悩
東洋経済オンライン / 2025年2月8日 8時0分
体調不良で番組を休むと、ネットメディアが一斉にそれを報じ、2・3日続いたり、数カ月の間に2・3人目が出たりすると、「働かせすぎだ」という記事や声があがりますが、本人たちに話を聞く限り、それが「各局のアナウンサーを苦しめている」ところがあるようです。
これだけウイルスの数が多く一般家庭に広がる中、当然ながらアナウンサーだけがそれを避けられるわけではないでしょう。本人たちは声を発する仕事だけに日頃から感染対策を行っていますし、それ以上に「居て当然」とみなされ、「居なければ異常事態」として報じられることにプレッシャーを感じながら日々を過ごしています。
特にコロナ禍以降は、個人と番組の両方がリスクを避けるために勤務形態を変えたことで、「過重労働といわれるような状態はない」と10人を超えるアナウンサーから聞きました。また、体調が少しでも優れなければ「周囲にうつさないために休んだほうがいい」と言われるところがあるほか、番組の休演や長期休暇の取得などもしやすくなったとも聞いています。
「過去のみ」を抽出する危うさ
しかし、報じられるのはアナウンサーたちが「何年も前」「今は違うのに」というエピソードばかり。これはネガティブな記事を書いたほうが数字が獲れるというネットメディアの営業戦略によるものでしょう。「改善された現状をスルーして、叩くために過去を引っ張り出す」という報道姿勢はアンフェアであり、それを見極める私たちの目が問われています。
あまり知られていませんが、フジテレビは現在も山﨑夕貴アナ、永島優美アナ、小澤陽子アナらのように育休中の人が多く、さらに梅津弥英子アナ、遠藤玲子アナ、椿原慶子アナらのように産休・育休から復帰して活躍するケースが他局以上に多い感があります。少なくともアナウンサーたちにとって他の企業と比べて働きにくい職場ではないのでしょう。
決してフジテレビを擁護したいというわけではなく、現在のように悪いところだけを報じていくと、世間に過剰な怒りの感情を増やすだけであり、数字がほしいネットメディア以外のメリットはありません。よいところと悪いところをフェアに並べ、改善が必要であれば冷静な視点からうながしていく社会でありたいところです。
決して対岸の火事ではない
もちろんアナウンサー全員が満足しているわけではないでしょうし、専門職であるにもかかわらず意に沿わない異動を命じられた人や退職した人の話もたくさん聞いてきました。それもテレビ局に限らずどの企業にもありうることであり、個人的な感情を排除するのは難しいことも含め、元局アナたちの言葉は話半分くらいで聞いたほうがいいのかもしれません。
フジテレビの騒動は業種や職種を問わず、決して対岸の火事ではなく、いつか自分や家族、友人などに降りかかる可能性を感じさせられるものです。
フジテレビの人々に限らず、逆境にある人々が本気で「変わりたい」と思ったとき、さらに叩こうとするのではなく、その様子を冷静に見守っていけるか。生きやすい社会にしていくための姿勢を問われているような気がするのです。
木村 隆志:コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者
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