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貨物列車の運転席「同乗取材」で見た乗務のリアル 青函トンネル通る、JRの長大編成コンテナ列車

東洋経済オンライン / 2025年2月10日 6時30分

青函トンネル内を走る貨物列車の運転台から見た風景。竜飛定点(旧竜飛海底駅)を通過する(記者撮影)

貨物列車が青函トンネルに突入し、闇の中を進んでいくと、小さな明るい光が遠くに見えた。対向列車のヘッドランプではない。 光はぐんぐん接近し、運転台の窓いっぱいに広がった。まるで宇宙船が敵の秘密基地内を疾走するSF映画のようだ。

【写真を見る】青函トンネルを通って札幌へ向かう貨物列車の機関車「EH800形」の運転台に同乗取材!暗闇のトンネル内に延びる線路やコンテナ貨物列車とのすれ違いなど通常は見られない風景を一挙公開!

ここは竜飛定点と呼ばれる保守・避難施設。かつての竜飛海底駅である。蛍光灯の灯りがトンネル全体を明るく照らしている。人が降り立つことのないホームを貨物列車はノンストップで通過した。

貨物列車の運転に密着

日本を6つのエリアに分割して運営するJR旅客会社と異なり、JR貨物は北海道から鹿児島まで全国が守備範囲だ。

長距離列車の運転士にはどんな苦労があるのだろう。とくに北海道だ。北海道産のタマネギを全国に輸送する際の鉄道貨物のシェアは64%、北海道着の宅配便に占める鉄道貨物のシェアは20〜30%。北海道の物流にとってJR貨物は欠かせない存在だ。上下合わせて1日約40本の貨物列車が青函トンネル内を行き来する。

【写真】青函トンネルを通って札幌へ向かう貨物列車の機関車「EH800形」の運転台に同乗取材。暗闇のトンネル内に延びる線路やコンテナ貨物列車とのすれ違いなど通常は見られない視点からの風景

極寒の北海道での走行は過酷だ。前が見えないほどの吹雪もあれば、鹿や熊に衝突することもある。機関車と20両の貨車を合わせると長さは425m。これほどの長大編成をたった1人で運ぶ責任感とはどのようなものだろう。貨物列車と旅客列車の運転に違いはあるのか。運転室の中は寒いのか、暖かいのか。

運転士の生の声を聞いてみたい。JR貨物の幹部にこんな話をしてみたら、「それなら貨物列車に乗ってみますか」という提案を受けた。運転士の隣で運転の様子を観察すれば実態がわかるはずだ。こうして貨物列車への同乗取材が実現した。

行程をJR貨物と打ち合わせる中で、わかったことがある。東京と札幌を結ぶ長距離列車の場合、1人の運転士が交代せずに運転するということはない。基本的には黒磯(栃木県那須塩原市)、仙台、盛岡、青森、函館、東室蘭で運転士を交代する。

長時間にわたる連続運転を避けるための配慮で、7人の運転士によるリレーによって東京と札幌をつないでいるわけだ。そのため、青森から同乗し、函館に着いたら運転士とともに下車、翌日の貨物列車であらためて東室蘭、そして札幌に向かうこととなった。全体で464kmの行程だ。

旅客列車の運転と何が違う?

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