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「ザ・国鉄」思わぬ共演!? 最後の「国鉄型気動車急行」終焉のはずが、“お隣の路線”で復活のワケ

乗りものニュース / 2024年4月5日 7時12分

小湊鐵道のキハ40形気動車。こちらは観光列車ではなく普通列車(2024年3月、安藤昌季撮影)。

いすみ鉄道が国鉄型気動車による急行運転を取りやめました。これにて国鉄型急行が消滅したと思いきや、隣の小湊鐵道でキハ40形による観光急行が運行を開始。両社の接続駅である上総中野で共演は見られるのでしょうか。

国鉄型の有料急行 消滅するはずだったが……

 2024年3月16日のダイヤ改正では、千葉県の房総半島を走る2つの私鉄でも変化がありました。それは国鉄型気動車の運用です。いすみ鉄道はキハ52形、小湊鐵道はキハ40形を保有していますが、ダイヤ改正を機に運用が変化したのです。
 
 大原~上総中野間を結ぶ、いすみ鉄道の観光急行は、2011(平成23)年より「通過駅のある有料急行」として運行されてきました。しかし、2024年のダイヤ改正で定期運行を終了し、臨時の普通列車として運行されることになりました。毎週土曜日を中心に祝日も運行されますが、「国鉄型気動車の有料急行」は途絶えたことになります。

 ところがその矢先に、五井~上総中野間を結ぶ隣の小湊鐵道が、キハ40形による有料観光急行の運行を発表しました。観光列車「房総里山トロッコ」の車両故障により、急遽キハ40形が観光急行として抜擢されたのです。ダイヤ改正後、変化した国鉄型気動車の今を見るべく両鉄道を訪れました。

 東京から土休日にいすみ鉄道を訪れるには、JRの臨時特急「新宿わかしお」が便利です。この列車は大原駅に午前8時55分に到着し、同57分発のいすみ鉄道の普通列車へ乗り継げます。ただ、跨線橋を渡る乗り換えで2分は無理があるので、乗り継ぎ時間は再考してほしいものです。

 菜の花シーズンでもあり、いすみ鉄道の単行気動車は満員でした。大多喜駅には9時26分着。そして同駅9時54分発の臨時列車がキハ52形です。「キハ52乗車列」を示す看板があり、20人以上が並んでいました。始発なので座れましたが、上総中野駅での折り返し時はほぼ満席のため、座りたいなら小湊鉄道からではなく、JRで大原駅から行くのが正解のようです。

キハ52形とキハ40形は並ぶ?

 2扉セミクロスシートに青いモケット、国鉄時代の広告も飾られたキハ52形は、タイムスリップした雰囲気です。国鉄型らしい重厚なエンジン音と、意外と座り心地のよいボックスシートを堪能しました。進行方向左側の座席は日差しが強いので、座るなら右側がよいかもしれません。10時18分、上総中野駅に到着しました。

 ここでは、小湊鉄道の同世代気動車キハ200形との並びが見られます。無人駅なのですが、多客期のためか、いすみ鉄道側には案内員が配置されていました。案内員の指示でいったん列車を降り、再乗車します。ヘッドマークのない側のキハ52形とキハ200形が並ぶ光景は、実に昭和らしいです。

 惜しむらくはキハ52形の臨時列車が、休日に2往復運行される小湊鉄道の観光急行とダイヤがかみ合っていないこと。先述の通り観光急行は、キハ40形がピンチヒッターを務めています。両鉄道とも国鉄型気動車にヘッドマークを用意しているのですから、共演が見たいものです。

 キハ52形は上総中野を10時33分に出発。唯一、大原駅までの全線を通しで走る列車です。菜の花の景色が続き、撮影している鉄道ファンも多数見られました。

 国吉駅で、保存中のいすみ200形やキハ28形、キハ30形が見えたので途中下車しました。ホームでは駅弁「たこめし」が1000円で売られています。価格が安く味も素晴らしいですが、停車時間が短いので売れていないようです。 停車時間を多めに取るか、販売員を乗車させて車内での販売はできないのかと思います。キハ28形は少し痛みが見られましたが、クラウドファンディングで修復資金が募集されています。

ロングシートでも座席指定料金が必要

 小湊鉄道に向かうべく普通列車で戻ります。車両は国鉄形を模したキハ20形1303で、時間が経って落ち着いた外観には国鉄感を感じました。いったん大多喜駅で列車を降り昼食をとってから、いすみ300形で上総中野駅へ。

 小湊鐵道の観光急行は全車指定席で、ロングシート部分でも座席指定料金がかかります。上総中野駅にいた乗客から、いすみ鉄道の職員に「どうやったら乗れるのか」という質問が出ましたが、あまり把握されていない様子。思わず「次の養老渓谷駅までは全車自由席です。養老渓谷駅より先は指定席なので、列車の乗務員か駅係員に相談するといいですよ」とアドバイスしました。例えば「ロングシートは料金不要の自由席」とした方が、現場の混乱が少ないように感じました。

 やって来た小湊鐵道の観光急行は2両編成で、朱色の旧国鉄首都圏色でした。行先や列車種別を示す看板「サボ」のデザインも国鉄形そのものです。

 14時14分、「急行4号」は上総中野駅を出発しました。「房総里山トロッコ」は隣の養老渓谷駅までしか来ないため、いすみ鉄道から小湊鐵道の観光列車に乗り換えるのは初めてです。

 こちらも進行方向左側は太陽が降り注ぎます。セミクロスシートでトイレ付きですが、残念ながらトイレは使用不能。ボックスシートは国鉄型らしい少し柔らか目の座り心地です。ロングシートのキハ200形しか乗ったことがなかったため、クロスシートから見る風景に感動しました。

 ただ、運行初日にもかかわらず側窓がかなり汚れていました。車窓からは美しい菜の花が見られますが、窓を開けないと景色の写真が撮れないほど。有料の観光列車としては、これは何とかしてほしいと感じます。

車内ではグッズ販売や観光案内も

 乗車人数は、養老渓谷駅の乗車と合わせて42名ほど。まずまずの乗車率です。指定券は車内でも買えますが、インターネット予約もできます。しかし乗車券が付いてこないので、そこは車掌から買うしかありません。インターネットで乗車券も買えると、車掌と乗客の負担は減るのではないでしょうか。

 観光列車らしく、車内ではグッズ販売もやって来ます。飲食物はありません。休日であれば、事前予約すると里見駅でお茶付きの「焼き豚弁当」を購入できます。

 急行4号は時刻表では10駅を通過することになっていますが、実際には運転停車(編注:扉を開けずに停車すること)がありました。保安システムの都合でしょうか。上総牛久駅で16分停車するので、トイレなどはこのタイミングで済ませられます。

 沿線の観光案内や路線、駅の由来なども車内放送で解説され、1時間27分の旅は退屈することなく終わりました。「房総里山トロッコ」が修理されるまでの期間限定のようですが、トロッコ復活後も上総中野駅まで行く観光列車として、いすみ鉄道キハ52と連携して運行すれば、人気列車になるのではないかと感じた次第です。

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