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「明らかに翼おかしいぞ」ロシア異形の戦闘機Su-47は何を求め、廃れたのか ほとんどオバケなルックス!?

乗りものニュース / 2024年4月26日 6時12分

Su-47「ベールクト」(画像:cryogenic666[CC BY-SA〈https://ur0.jp/mB1fe〉])。

翼の形状があまりに個性的なロシアの実証機、Su-47。「前進翼」と呼ばれる特殊な翼を持つこの機は、どういった経緯から誕生し、なぜフェードアウトしたのでしょうか。

リスクあった「前進翼機」も新素材の誕生で

 戦闘機の世界には、次世代機として期待されたもののフェードアウトしてしまったという機種がいくつかあります。翼の形状があまりに個性的なロシアの実証機、Su-47「ベールクト」もその1つです。この機の誕生は、どういった経緯からだったのでしょうか。

 Su-47は、翼端がバンザイをしたように前へ突き出した「前進翼機」です。前進翼機は失速限界が高く、低い安定性が逆に機体の運動性を高め、戦闘機に似つかわしいとされていました。反面、翼端が反り上がったことで失速が生じやすいことがネックとなり、金属製の航空機が主流の時代に採用された例はほとんどありませんでした。

 その前進翼に脚光が当たったのが、金属に代わる新材料として登場した複合材でした。積層繊維の方向を変えることで、主翼の受ける力の逃し具合を調整できたため、前進翼機の持つ問題を解決すると期待されたのです。

 これを確かめるため、米国ではNASA(航空宇宙局)とDARPA(国防高等研究計画局)によるX-29実験機が1984年に初飛行。これに続き、ロシアが1997年に初飛行させたのがSu-47でした。

 Su-47とX-29はともに前進翼を採用しています。ただし、X-29は前部胴体をF-5軽戦闘機から流用するなどした実験機だったのに対し、Su-47は実戦も目指し製造されたとされています。

 その姿も2枚の主翼と垂直尾翼、主翼前にはカナード翼(前翼)、そして、最後部に水平尾翼とも水平安定板ともとれる張り出しを持った、いかにもインパクトのある姿に。これらがあたかも、生きた化石「シーラカンス」を想像させる、まさに異形の様相を呈していたのです。

「Su-47」は時代の流れにやられてしまった?

 Su-47はたった1機のみ製造されました。しかし、秘密のベールに包まれがちなロシア機ではあったものの、今も画像は比較的多く残されていることから、特徴あるその姿と相まって、Su-47を知る人は少なくありません。

 前進翼が期待されたのには、米国のF-14、F-15、F-16やロシアのSu-27、Mig-29に代表される運動性の高い戦闘機が次の世代にも求められていた背景がありました。しかし、戦闘機のトレンドは、1988年に米国がステルス戦闘機F-117の存在を発表して一転しました。ステルス性の確保が戦闘機の最優先条件となったのです。

 それまで、ロシアは旧ソ連の頃から西側諸国の機体を“真似”すると言われていましたが、Su-47では実験機X-29を追い越すべく実用化までを狙ったのかもしれません。しかし、ステルスが主流となったうえ、運動性もエンジン・ノズルの向きを変える推力偏向装置により確保できることとなりました。さらにロシアの戦闘機において、運動性の良さで勝利を収めたのはSu-27シリーズでした。

 前進翼機はインパクトのある姿でした。しかし、それ以上に、優れた機能でもほかに重視する条件が現れれば、廃れることを印象付けたのかもしれません。

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