鰆(サワラ)は「春の魚」なのに、秋にも美味しくなる?
ウェザーニュース / 2019年10月27日 11時0分
鰆(サワラ)は鰹や鯖の仲間で、成長すると1m以上にもなる魚です。生息域は北海道南部からオーストラリアで、5月~6月にかけて産卵のため外洋から瀬戸内海などに入ってきます。
鰆といえば、名前の漢字が表すように旬は春、と思われることが多い魚です。しかし、実は春と晩秋で漁獲高ではそれほど差がないといいます。
「駿河湾で獲れるものなどは秋が主で、むしろ秋の方がおいしいですよ」と船橋地方卸売市場の株式会社「山末」部長の内海貴久さんは語ります。“旬”の魚、鰆について詳しい話をお聞きしました。
秋から冬が二度目の旬
「これから獲れる鰆は季節外れだと思われて、せっかく仕入れてもお客さんから嫌われてしまうこともあります。でも、これから2月にかけては『寒鰆』と呼ばれて、産卵期直前で脂がのってくるので、実はとてもおいしくなるのです。
もともと鰆は割と平たい体をしていますが、秋になるとふっくらと丸みを帯びて太ってきます。切り身にすると脂が全体に回って、真っ白に見えるぐらいです」(内海さん)
極上マグロの中トロ級? 寒鰆の刺身
鰆といえば西京焼きが思い浮かびますが、寒鰆はどうやって食べるのがおすすめなのでしょうか。
「確かに、鰆といえば西京味噌焼きや塩焼き、照り焼きなどで食べるのが一般的です。しかし、これからの寒鰆は、刺身が絶品です。寒鰆になると体脂肪が14~16%で、極上マグロの中トロのようにトロリとした食感になり、『鰆の刺身は皿までなめる』といわれるほどです。
ただ、鰆はもともと身が柔らかく、鮮度が落ちると刺身になりにくいので、獲ってからすぐのものでないと味わえません。河岸でも入荷後すぐのものに限られます」(内海さん)
DHAやEPAがたっぷりで血栓予防
鰆は青魚の一種で、血栓の予防やガンの抑制効果があるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)がたっぷり含まれています。
その他、カルシウムの吸収を促進する効果のあるビタミンD、正常な細胞の増殖を助ける働きがあるビタミンB12が多く含まれているそうです。
さらに、鰆は健康効果だけでなく、イノシン酸やカルニチン、カルノシンなどの「コク」を感じる物質が多く、身の旨味が強く感じられる魚です。
これから旬を迎える寒鰆の「コク」を、ぜひ味わってください。
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