冬の不調は“暖機運転”で乗り切る
ウェザーニュース / 2020年1月27日 6時0分
冬は体の不調を訴える人が少なくありません。「頭が重い」「動悸や息切れがする」「めまいや耳鳴りがひどい」「手足が冷えてつらい」など多岐にわたります。検査をしても決め手がなく、「自律神経失調症」という診断名をつけられることが少なくありません。こうした不調は“暖機運転”で乗り切ってください。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れる
自律神経とは自分の意思とは無関係に働く神経系のことです。呼吸や脈拍、血圧、消化など生命活動を維持・調節しています。この自律神経は交感神経と副交感神経の2つがあり、交感神経は「戦う神経」ともいわれ、張り切って仕事をするときに働く神経。もう一方の副交感神経は「リラックス神経」ともいわれ、のんびりしているときに働く神経です。
「季節でいうと、冬は副交感神経がやや優位です。寒くて夜が長い冬はのんびり過ごしなさいというのが自然の摂理で、冬眠に入る動物もいます」と言う横浜相原病院(横浜市瀬谷区)の吉田勝明院長はさらに続けます。
「しかし、現代社会ではそうもいかず、季節に関係なく仕事はあるし、年度末の3月に向かっていつも以上に忙しくなります。その結果、必要以上に交感神経が刺激されて副交感神経とのバランスが崩れ、自律神経失調症になるのです」
冒頭にあげた症状のほかにも「冷や汗がでる」「血圧が激しく上下する」「吐き気がする」「イライラする」「夜眠れない」といったことで悩まされることもあります。
昔は夏と冬で昼間の時間の長さが違っていた
江戸時代は、日の出のおよそ30分前を「明け六つ」、日没のおよそ30分後を「暮れ六つ」として、その間を昼夜それぞれ6等分して「一刻(いっとき)」としていました。これを「不定時法」といいます。当然、季節によって時間が違い、冬は昼間の時間が短く、1日の始まりも遅くなります。
「冬は副交感神経が優位なので、昼間の時間が短くなる不定時法は体のリズムに合っているようです。この時期を無理をせず上手に乗り切るのに、私は“暖機運転”を勧めています。昔の車は冬になると数分間アイドリングしてエンジンが暖まってから走り始めたものです。人もそれと同じで、冬はアイドリングが必要なのです」(吉田院長)
具体的にいうと、朝は早起して、ゆっくりトイレに行ったり、食事をしながら少しずつ体を目覚めさせる。通勤は時間にゆとりを持って急がないこと。朝は「リラックス神経」から「戦う神経」優位へと徐々に切り替わる時間帯なので、ここで無理をしたり慌てると自律神経のバランスが崩れ、心身の不調が1日続くことになります。
「仕事を始めるときも、難しいものは後回しにして、まず簡単なものから始め、調子が出てきたら難しいものに手をつけるといいでしょう。何よりも夜更かしは禁物。いつもより早寝早起きを心がけ、すっきりした目覚めを迎えてください」(吉田院長)
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