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兄貴分チームはまだ頑張らないといけない…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2024年4月26日 21時0分

「バルセロナの記者たちは大変なのね」そんな風に私が同情していたのは水曜の夜、Gol(ゴル/スペインのサッカー専門の民放)をながら見していたところ、いやあ、バルサのチャビ監督がラポルタ会長邸に入ったのは午後7時ぐらいだったそうなんですけどね。それがようやく午後11時半近くになって、「チャビが出て来た!」と現場にずっと詰めていたリポーターから連絡が入り、中継がスタート。当人は何も言わずに車に乗って行ってしまったんですが、その後、現れたジュステ副会長に向けられたマイクの数の半端なかったことといったら、もう。

まあ、そのおかげで、「Xavi está muy ilusionado con el proyecto/チャビ・エスタ・ムイ・イルシオナードー・コン・エル・プロジェクト(チャビはこのプロジェクトにとても魅力を感じている)」と、先日のクラシコ(伝統の一戦)の後から噂になっていた、1月に当人が宣言していた今季限りから、来季も続投に変わったことが確認されたんですが、翌日にはラポルタ会長とチャビ監督の共同会見もありましたからね。そんな夜遅くまでメディアが張りつく大騒ぎになるとはさすが、スペイン2巨頭の片割れだけある?

でもねえ、バルサはCL準々決勝敗退、クラシコ敗戦でリーガ優勝も絶望となったばかりで、まだ2位の座も確定しておらず。それがこの続投決定で、退団する指揮官に最後のご奉公をしようと頑張っていた選手たちの気が変わり、万が一、勝ち点2差の3位ジローナに追い越される可能性もありますからね。来季のスペイン・スーパーカップ出場権を獲れなくてもチャビ監督は安泰なのか、疑問に思ったのは私だけではなかったかと。

そんなことはともかく、リーガ20チーム中、唯一、まだミッドウィークのヨーロッパの大会で忙しくしているチームの話をすることにすると、そう、来週火曜のCL準決勝バイエルン戦1stレグを考慮して、リーガ33節の日程を繰り上げてもらったレアル・マドリーはもう、金曜午後9時(日本時間翌午前4時)にはレアル・ソシエダ戦をプレーするんですよ。何せ、日曜には2位のバルサに3-2と逆転勝利して、勝ち点差が11に拡大。ほぼほぼ、優勝が決まった彼らだけにリーガでは余裕がありますからね。

それもあって、前日会見では「Hasta que las matemáticas nos den la Liga tenemos que pelear/アスタ・ケ・ラス・マテマティカス・ノス・デン・ラ・リーガ・テネモス・ケ・ペレアル(数字的にリーガ優勝が決まるまで戦わないといけない)」と言っていたアンチェロッティ監督だったものの、大規模なローテーションを計画しているよう。その中にはクラシコの翌日、シベレス噴水広場のすぐ後ろにあるマドリッド市庁舎で開かれたローレウス・アワードに姿を現わし、年間最優秀ブレークスルー賞を受賞するのと一緒にウサイン・ボルトやルーカス・アルカラスらと親交を温めていたベリンガムも入っていて、いえ、彼は胃腸炎で木曜の練習をお休みしたため、ビッグマッチの前にムリさせたくないということみたいですけどね。

未だにCL準々決勝マンチェスター・シティ戦2ndレグの筋肉痛が治らず、クラシコにもいなかったメンディ共々、サン・セバスティアン遠征には同行しないんですが、おかげでレアル・アレーナのピッチに立つのはバイエルン戦1stレグで出場停止となるカルハバルを除き、ほぼ全員控え選手になる可能性も。とはいえ、ソシエダのイマノル監督も「Espero un Madrid potente, independientemente de quien esté en el campo/エスペロ・ウン・マドリッド・ポテンテ・、インデペンディエンテメンテ・デ・キエン・エステ・エン・エル・カンポ(誰がピッチにいるのかは別にして、強いマドリーを待っている)。彼らの選手層は凄く厚いからね」と言っていたように、エティハド・スタジアムで120分の激闘を繰り広げた後、カルバハルやナチョ、メンディが出なかったクラシコでもライバルに止めを刺していましたからね。

それもクロースによると、「ボクらが上手くプレーしていたら、4-0で勝てていたはず。でもとりわけ前半、押しが足りなくてね」という、エネルギーかつかつ状態でプレーしていたようですからね。バルサが残り全勝する前提で、あと勝ち点7を貯めれば、マドリーは優勝確定となりますし、これまで出番がほとんど回って来なかったギュレルやセバージョス、先発の機会が少ないホセルやブライムらがソシエダ戦では発奮して、いい勝負になるのでは?

ちなみにマドリーには予期しない朗報もあって、ここ数日、チーム練習に加わっていたGKクルトワが来週末のカディス戦でもう復帰できるのだとか。いやあ、夏にヒザの靭帯を断裂し、ようやく回復した矢先だった3月、反対側のヒザの半月板を部分損傷。手術をしたため、今季はもう絶望と言われていた彼だったんですけどね。これはケパとのポジション争いに勝って、正GKとして定着し、CL決勝での初プレーを夢見ていたルーニンにとって、思わぬ強敵出現ですね。

一方、先週末は弟分のヘタフェと1-1と引分けたため、7位のベティスに勝ち点3差に迫られたソシエダでは、スベルディアとスビメンディが出場停止明けで復帰。更に3月に右足の中足骨を骨折したブライス・メンデスも再発の危険を覚悟で戻ってくるんですが、コリセウムでふくらはぎの肉離れを起こしたトラオレとティエルニは欠場。ここ2試合、不具合があって、途中出場だった久保建英選手も今度はスタメンに入れそうなんですが、きっと、彼とオドリオソラは古巣への恩返しに燃えているんじゃないでしょうか。

そして土曜にはまず、ヘタフェがパワーホース・スタジアムでのアルメリア戦に臨むんですが、何せ、そのソシエダ戦で彼らも勝ち点40に到達して、ほぼほぼ残留確定しちゃいましたからね。数字的にはコンフェレンスリーグ出場権のもらえる7位のベティスと勝ち点8と可能性はあるものの、昨季など、最終節まで2部降格の恐れがあったことを考えれば、もう肩の力が抜けてしまっても仕方ない?実際、チームにはボルハ・マジョラル、アランバリ、ドゥアルテ、そして先日、肩の手術をしたファン・イグレシアスと4人も今季中プレーできない選手がいて、人員が手薄になっていますからね。

ソシエダ戦でも19才のジャシンがデビューしたように、この先はボルダラス監督も来季を見据えて、カンテラーノ(ヘタフェB)の試用期間に当てたりするんじゃないかと思いますが、さて。そうそう、相手のアルメリダは今節、たとえ勝ってもセルタとマジョルカの結果次第で降格が決定。そうなるともう、主力アタッカーのラマザーニが前節での審判への暴言で出場停止5試合を喰らってしまったことなど、どうでもよさそうですが、シーズン終盤になって就任したペペ・メル監督はちょっと、気の毒ではあります。

え、それでCL準々決勝ドルトムント戦で敗退して帰国した翌日、ヒル・マリン筆頭株主がマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に駆けつけ、リーガで4位となって、来季のCL出場権を獲得するのがどれ程、クラブにとって大事か、選手たちに重々説きながら、先週末のアラベス戦でもアウェイ弱者の本領を発揮。2-0で負けて、5位アスレティックとの差が勝ち点3になってしまったアトレティコはどうしているんだって?いやあ、彼らはこの土曜午後9時から、メトロポリターノでそのアスレティックとガチンコ対決するんですが、月曜にはローレウス・アワードに出席したデ・パウルが悪目立ちしていてねえ。

別に表彰された訳でもないのに一張羅でレッドカーペットを歩いていたのはいいんですが、マイクを向けられて、「En líneas generales creo que ha sido una gran temporada para el Atlético/エン・リネア・ヘネラレス・クレオ・ケ・ア・シードー・ウナ・グラン・テンポラーダ・パラ・エル・アトレティコ(一般的なラインとして、アトレティコは素晴らしいシーズンを送った)。コパ・デル・レイは準決勝、CLは準々決勝まで行ったし、CL出場圏のリーガ4位、来年のクラブW杯出場権も獲ったしね」と話していたのに神経を逆撫でされたファンは結構、多かったかと。

だってえ、それって、どの大会でもタイトルには手が届かなかったのにも関わらず、満足しているってことじゃないですか。しかも未だにファンは、あのドルトムント戦2ndレグでの情けない逆転敗退にショックを受けていて、その深度はメンディソローサでのダメダメぶりで更に倍増。これでは世間から、野心のない、現状維持で十分と思っているチームと見なされても仕方ないんですが、まあでも、アスレティック戦はアトレティコが心の拠り所とするメトロポリターノでの開催ですからね。

アラベス戦の欠場は三叉神経痛により、顔が痛かったせいと判明したモラタもゴールと共にかどうかは怪しいですが、水曜からチーム練習に復帰。メンフィス・デパイはまだケガが治っていないため、せめてグリーズマンやコレア、出場停止が明けたジョレンテらがチームの勝利を導くゴールを挙げるのに協力してくれたらと思いますが、さて如何に。ちなみにチームは木曜の練習後に決起ランチ会を開き、お肉を食べて、精をつけたそうですが、ホント、あと6試合なんですから、何とか踏ん張ってほしいものです。

そして相手のアスレティックは今週、アトレティコにも在籍したラウール・ガルシアが37才で引退発表したのに続き、31才のムニアインも退団を告知。まあ、折よく、まさにアトレティコを準決勝で破ったコパ・デル・レイで優勝して、悲願のガバラ(ビルバオの運河を走る荷物運番船)に乗っての水上パレードも40年ぶりに実現できましたからね。ベテランの選手にとってはキャリアチェンジのいい節目になったようですが、ここ2試合、祝賀酔いで引分けだった彼らもそろそろ目覚めそうなのが怖いところ。もうEL出場権は確保しているんだから、CLまで狙うのは遠慮してほしいところですが、きっとそうはいかないんでしょうね。

ちなみにもう1つの弟分、ラージョだけは日曜試合に当たっていて、こちらはラ・セラミカでのビジャレアル戦。イニゴ・ペレス監督のチームは前節、ホームでオサスナに2-1と逆転勝利して、降格圏との差が勝ち点9まで開いたんですが、15位という順位はまだ改善の余地があるかと。ビジャレアルも残留確定はしたといえ、7位まで勝ち点6差の9位と、ヨーロッパの大会出場圏を狙うのは少々、難しそうですからね。早くも消化試合の様相を醸しだしてしまわないか心配なんですが…何はともあれ、ラージョFW陣の得点数が少しでも改善してくれることを祈っています。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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