何度でも、親子で読みたい、話し合いたい「いのち」をみつめる本3選
Woman.excite / 2016年3月12日 7時15分
本の上で手を合わせる男の子
© ulkas - Fotolia.com
「ねえママ、とんかつは、生きた豚さんだったの?」
「面倒なのに、犬の散歩に行かないといけないの?」
「体のなかは、どうなっているの?」
ある日、子どもからこんな質問をされたら、一体どのように答えたらよいのでしょうか? 大切な問題ですが、どこまで話してもよいものなのか…。とまどいますよね。
ちょっぴり深刻ですが、避けて通ることのできないテーマである「いのち」。その「いのち」を親子で話し合うときに、おすすめの3冊の本を紹介します。
いのちを食べるとは?
『いのちの食べかた』(森達也・著/イースト・プレス)
子どもたちが大好きな「お肉」。ですが、「どうやって、牛さんはステーキになったの?」と訊かれたら、とても答えにくくはありませんか?
「小さな子には残酷!」「食肉業の歴史を話すべきなのかしら?」そんな疑問が頭をよぎります。でも、ウソはつきたくないですよね。
『いのちの食べかた』は、事実に目をそむけることなく、動物が食卓に上るまでをたんたんと書いています。
たしかに、家畜が食肉になる過程はどうしても刺激が強いものです。しかし、『いのちの食べかた』には動物たちを苦しませて命を絶つと肉がまずくなるため、できるだけ恐怖や苦しみをあたえないように工夫していることなどが、詳しくつづられています。だから逆に、この本を読むとほかの生物の命をいただいている、という後ろめたさから解放されます。
命を提供してくれた牛や豚や、食肉の加工にたずさわるすべての方々へ、感謝の気持ちを伝えたくなる1冊です。
犬が語る「どうして?」
『どうして? 犬を愛するすべての人へ』(原作・ジム・ウィリス/文・石黒謙吾/絵・木内達朗/アスペクト)
ペットは大切な家族です。でもそれは、なぜでしょうか? 子犬を引き取った人は、最初のうち、小さくてめずらしいその存在に、ご飯をあげたり、ブラッシングをしたり、こまめに世話をしてあげるはずです。
ところが、日にちがたつと、散歩に行ったり、遊んであげたりするのも面倒になるかもしれません。特に子どもは興味の対象がうつろいやすいもの。だけど、ワンちゃんは生きています。
「毎日、面倒を見る約束だったでしょ!?」と声を荒げても、子どもの心は動きません。
そんなときは、この絵本を開いてみてください。
「どうして?」
この言葉は、いたずら好きの子犬に飼い主が言ったセリフでした。やがてその子犬は、かしこく忠実に成長していきます。しかし、楽しい日々は長くは続きませんでした。
人の事情だけで、安楽死されることになった犬が、今度は人間に問いかけます。
「どうして?」と。
この本には悪役が登場しません。けれども、誰の心のなかにでも存在する「まいいか」という気持ちが重なると、結果的に取り返しがつかない事態をまねくことを、わかりやすく表現しています。
体のなかを大冒険!
『最高に美しい人体図鑑』(監訳・奈良信雄/エクスナレッジ)
テレビで手術のシーンが出てきたら、目をそらす人は多いのではないでしょうか。
体のなかは、気持ち悪い! おどろおどろしい!そんなイメージがあるかもしれません。しかし本当は、人体は美しいのです。
この図鑑では筋肉や骨、血管や胃腸などを、大きくて詳しいイラストで紹介しています。あざやかな色彩と立体感がある描写は迫力満点。まるで、体内側にもぐりこんだような臨場感にあふれています。
パーツのひとつひとつを拡大しているため、「人体図鑑」特有の生々しさははなく、「宇宙図鑑」を眺めているようなスケールの大きさが魅力的です。親子で体のなかのフロンティアを大冒険してみませんか?
「いのち」は、軽い話題ではないからこそ、親子でしっかり、納得いくまで話し合いたいテーマですよね。紹介した本を読みながら、子どもと話してみるのもいいかもしれません。
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