【再エネ専業】レノバ・木南陽介の再生可能エネルギー論
財界オンライン / 2021年10月22日 18時0分
エネルギー大転換の号砲が鳴った!
―― 木南さんが2000年に起業してから20年余が経ちました。この21年の感想から聞かせてもらえますか。
木南 そうですね。やはり、2000年当時というのは、企業にとって環境は何か義務であるとかコストであるかのような捉え方が中心でした。環境対策に真剣に取り組まれる企業はむしろマイノリティー(少数派)で、どちらかというと、いかに問題なく対応するかという観点も多分あったと思います。
しかし、それから20年が経って、昨年秋に日本政府が2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を宣言し、環境対策はむしろ成長戦略であると打ち出された。これをいち早く実現することが今後の産業を制するという宣言だったと思っていまして、やっぱりその効果は大きいですね。
―― 産業界全体に与える影響は非常に大きかったですね。
木南 はい。カーボンニュートラルの実現に向けては、日本が強いコアの製造業が活躍する分野が沢山あります。それは水素であったり、アンモニアであったり、再生可能エネルギーもそうですし、例えば、風車の中にもいろいろな部品があるわけで、その素材産業でも強いところがたくさんあります。ですから、その号砲が鳴ったというのはすごい影響がありました。
―― 改めて、この再エネというのは、これからの日本のエネルギーの切り札と言ってもいいんですか。
木南 わたしはそう思います。切り札でもあるし、人間生活の中の大事な社会インフラのような気がしています。
今もヨーロッパですと、デンマーク、ドイツ、イギリスのような国では、40%くらいの電気が、再生可能エネルギーから供給されていますし、米国も中国も、ものすごい勢いで再エネを伸ばそうとしています。ですから、日本も負けないようにしっかり再エネを伸ばしていくべきだと思いますし、われわれも頑張りたいと考えています。
当社は、北は北海道から、南は九州まで、海外案件も含めると全26カ所で再エネ発電所の運営・建設・開発を行っております。一番多いのは東北エリアで、その次が九州なんですが、例えば、バイオマス発電にしろ、風力発電にしろ、用地を探しに行こうと思ったら、現場は秋田であり、熊本であり、ということになってくるわけですね。
そういうところにおいては、やはり地元の方々との共存共栄が基本になっていますし、わたし個人としても自然と触れ合いながら、地元の潜在力を探していくという作業は非常にチャレンジングであると思っています。
【経済産業省】エネルギー基本計画改定案を提示 再エネ拡大も実現性乏しく
グリーン100%の電力を求める企業も出てきた
―― レノバの売上高は約300億円(2022年3月期見通し)で、時価総額は約3400億円(10月5日現在)ですから市場からの期待が高いです。こうした市場の声はどのように受け止めていますか。
木南 もちろん、ありがたいことだなと思っております。やはり、カーボンニュートラルの宣言が出て、2050年のターゲットが出てくると、それに紐付いていろいろな制度が変わっていくわけです。
とりわけ、電源構成でいえば、再エネが増えていき、その次には水素やアンモニアが増え、関連してモビリティーやEV(電気自動車)など、いろいろな産業が生まれてくる。そういった流れの一つの期待が、再エネに向かい、当社にも期待していただいているのだと思います。
―― エネルギーの変革は産業全体の変革にもつながってくるんですね。
木南 そうですね。わたしもエンドユーザーの企業の皆さまの声をお聞きしています。世界のIT企業、例えば、アップルさんやグーグルさんから、調達先の企業に対して、元の電気は何を使っているかということが問われ始めているそうですね。
ですから、日本でもソニーさんのようなところがグリーン100%で電気供給を賄おうということでやっていますが、こうしたことを実現できる企業はまだまだ少ない。しかしアップルさんやグーグルさんのような世界的な企業になると、グリーン100%の電力でないと、その国で事業を行うことはできないとか、競争力が下がってしまうという悲鳴も聞いたりします。
これは一般市民レベルでもそうでして、もちろん値段がどうなるかということは重要なんですが、やはり、再エネ由来の電気で暮らせるならこんないいことはないという方がかなり増えてきました。ですから、皆さんからの期待も高いと感じていますので、われわれも一朝一夕にはいきませんが、その期待に答えていきたいと考えています。
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