【2024年をどう占う?】答える人 フューチャー会長兼社長・金丸恭文
財界オンライン / 2023年12月27日 11時30分
先端技術の社会実装による日本経済の再興を
─ 各領域で変革が問われています。フューチャー会長兼社長の金丸恭文さん、DXを進める上での日本の課題は?
金丸 世界的に「生成AI」が注目されていますが、AI自体はディープラーニング等の技術革新によって、15年頃から、わずか8年で飛躍的に進化しました。生成AIをどのように活用するかは、24年も引き続き主要なテーマとなるでしょう。
日本ではよく「失われた30年」と言われます。過去はともかく、これ以上失われないように手を打つ必要がありますが、残念ながら政府も企業も動きが遅いというのが現状です。コロナ禍においてテレワークにも対応できない企業がある中で、生成AIが登場し、今や世界中がいかにスピーディに先端技術を社会実装するかという競争の時代に入っています。
しかし、日本では様々な規制が企業やアイデアを持った個人を雁字搦めにしていて、社会実装を阻んでいます。これでは競争力がつかないし、グローバルで戦えません。
─ 金丸さんは長年規制改革に携わってきましたが、今後まだ改革を急ぐ必要があると。
金丸 今のままでは日本が世界に追いつき、追い越すことは困難です。日本は長年踏襲してきた「過去」のやり方を大事にするあまり、「未来」を失ってきました。このまま変われなければ、世界との差は開いていくばかりです。
振り返ると、欧米では1995年にインターネットが急速に普及しましたが、日本企業が反応したのは随分あとになってからでした。スマートフォンもここ10年で一気に普及し、個人がどこにいてもリアルタイムに情報がやり取りできるようになったものの、政府も企業もいまだにデジタル活用は不得手で、紙の資料や稟議で意思決定をしています。基本的に時間軸がかなりずれていて、変化対応へのスピードは遅いと思います。
─ 企業経営者も意識を大きく変える必要があると。
金丸 そう思います。今からでも遅くないので、経営者が生成AIのような最先端技術に触れ、そのインパクトを体感すれば、企業は様変わりするのではないでしょうか。
資源の少ない日本にとって、新しいテクノロジーを「武器」として活用することは重要です。私が漁業改革に取り組んでいた際、後継者問題は大きな課題でした。遠洋漁業に出るとインターネットにつながらないため、若者には魅力的な職業に映らない。衛星通信を活用すれば解決しますが、日本は保有していないので、現状ではイーロン・マスク氏が手掛ける衛星通信サービスに頼るしかありません。
日本経済の再興には、最新技術をどこに実装するのかという戦略や再設計が不可欠で、それこそが政府の役割だと思います。
第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生氏の提言「期待される来年の賃上げ」
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