病院の手術用消耗品などで存在感を示すオルバヘルスケアは、株主にも優しい
財経新聞 / 2024年4月30日 16時22分
オルバヘルスケアホールディングス(東証スタンダード。以下、オルバヘルスケア)。医療用機器・医療用材料の卸し業が主軸。岡山で故寺岡清照氏が1921年に設立した川西器械店(医療用機材社)が始業とされるが、その後3社が合併し今日に至っている。
昨今、「病院はビジネスチャンスの集積場」といった指摘がなされる。新機能を付帯した機器の販売・卸し。前に記したエランといった、入院時の生活必要品業界も競争状態に突入している。
オルバヘルスケアは手術関連を中心とした消耗品で、存在感を示している。例えば2023年6月期決算でみると「総売上高1104億7200万円(過去最高)」のうち、「手術関連消耗品:460億9200万円をはじめ/整形外科/循環器消耗品」で913億8600万円を占めている。そして手術関連消耗品と一口に言っても「手術用手袋/剃毛用品/麻酔用マスク/手術用ハサミ・メス」etc、多種多様。
ここまでで既にご理解いただけたと思うが、オルバヘルスケアの収益動向は手術動向に左右される。2020年6月期は「66.2%の営業減益」。要するにコロナ禍での手術の減少による結果だ。
これがその後「ワクチン接種率向上」「医療機関内の感染対策の進捗」「コロナの感染対策法上の位置づけの5類感染への移行」で、いまや手術件数はほぼコロナ禍前の水準に戻っている。伴って21年6月期からは「4.7%増収、66.2%営業増益」「5.8%増収、34.6%営業増益」、前期は「2.3%増収、3.8%営業増益」と過去最高の売上・利益を計上。20年6月期に45円配に減配された配当も、70円配に至っている。
そして今6月期も「7.2%増収(1183億8600万円)、2.3%営業増益(22億円)、2.2%最終増益(14億5100万円)」計画で立ち上がり、第2四半期は「前半期、過去最高の売上・利益」で通過した。
現状では東北・関東・近畿・中国・四国エリアにまで事業展開を広げているが、発祥の地岡山では寺岡記念育英会が活動している。知り合いの医師から聞いた。「医学研究活動や海外医療留学は資金がかかる。岡山県内の大学・病院を対象に毎年、助成金が出されている」。
医療に優しいばかりではない。昨年11月には12万株の自己株買いが行われた。配当政策にも前向きで、四季報は今期についても75円配へ独自増額の可能性を示している。
新規事業にも前向き。SPD事業(院内物流事業)や介護用品事業、タイの個人との間で共同出資/合弁事業を始めるなど海外への進出にも積極姿勢を見せている。
オルバヘルスケアの本稿作成中の時価は1800円台終盤、予想税引き後配当利回り3%弱。緩やかな値動き(適宜な押し目)ながら、過去10年間余の修正済み株価ベースで50%超のパフォーマンスも残している。
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