漫画村終了!海賊版サイトブロッキングに賛否両論

2018年4月24日更新

4月に政府が海賊版サイトのブロッキングについて法整備を進めると発表して以降、代表的な海賊版サイト「漫画村」やブロッキングに関する報道が過熱しています。これまでの経過と、海賊版サイトの問題点、ブロッキングをめぐる議論などについてまとめました。

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川上氏「海賊版対策を邪魔している」「無責任だ」、森弁護士や村井教授に噛み付く

弁護士ドットコムニュース / 2018年7月18日 17時59分

知的財産戦略本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」(タスクフォース)の第3回会合が7月18日、東京都内で開かれた。ブロッキング反対派の森亮二委員(弁護士)が「もはや緊急措置をとるべきでないということを、この検討会の決議で示すべきだ」と提案したところ、ブロッキング賛成派の川上量生委員(カドカワ社長)が「海賊版サイト対策を邪魔することしかやっていない」と批判するなど、議論が紛糾した。 [全文を読む]



「漫画村」などの海賊版サイト これまでの経過

海賊版サイトとは?

マンガなどのコンテンツをネット上で違法に公開するサイト

海賊版サイトでは、マンガの単行本や雑誌がネット上で違法に公開されています。その主な収入源は広告費ですが、無断で作品を公開している海賊版サイトで上がった利益は、作家に還元されることがありません。

無料で人気コミックスが読み放題だった「漫画村」

無料で人気コミックスが読み放題。しかも、閲覧できるのは”ネット上のどこか”に存在するデータであり、直接情報をサーバーに保管しているため著作権法上の問題はなし。サイト利用に罪悪感を持たずに、大好きな漫画をネットで読める。それが2017年10月25日に運営者・lichiro ebisu(本名非公開)が公開した海賊版コミックス閲覧サイト「漫画村」だ。

海賊版サイト「漫画村」騒動の経過

2017年5月「フリーブックス」閉鎖に追い込まれる
10月「はるか夢の址」運営者ら逮捕
「漫画村」公開開始
2018年2月衆院予算委員会で違法サイトについて質疑
日本漫画家協会が声明を発表
3月「漫画村」が有料版「漫画村PRO」を公開すると発表
4月6日「政府が海賊版サイトへの接続を遮断する要請」報道
4月11日Googleの検索結果から「漫画村」除外
「漫画村」にアクセスできず「閉鎖か」と噂に
4月13日政府「海賊版サイトのブロッキングについて法整備」発表
4月22日「漫画タウン」(元「漫画村」)が「終わった」とツイート

2017年5月 「フリーブックス」閉鎖に追い込まれる

海賊版大手だった「フリーブックス」

昨年5月に海賊版の大手だったフリーブックスが閉鎖に追い込まれましたが、海外のサーバーを使って無料のマンガを提供し、広告収入を得る海賊版サイトは、そのすべてを摘発するのは難しく、いたちごっこが続いています。

違法性指摘と同時期にサイバー攻撃?

著作権者の許諾なく違法アップロードされた本を無料で読める状態にしていたフリーブックスは2016年にオープン。17年5月1日にネット上で違法性を指摘されたのと同時期にサイバー攻撃を受けていることを告知していましたが、同3日には「サイト閉鎖のお知らせ」が表示され、閉鎖状態になりました。

2017年10月 「はるか夢の址」運営者ら逮捕

当時の「日本最大級の海賊サイト」を摘発

「はるか夢の址」は、あらゆる漫画や雑誌などの出版著作物が違法にアップロードされたファイルを紹介する日本最大級の海賊サイトとされ、サイトを管理する「紅籍会メンバー」を含めその関与者は相当数にのぼるという。平成29年7月19日、合同捜査本部により関係先の家宅捜索が行われ、同年10月31日、アップロード者およびサイト運営者9名の被疑者が逮捕されている。

同月 「漫画村」公開開始

漫画週刊誌や写真集などを閲覧できる海賊版サイト

「漫画村」は、市販の漫画週刊誌や単行本、アイドルの写真集などの違法なコピーファイルが閲覧できるサイトとして2017年10月に公開され、急激に利用者を増やしていた。

2018年2月 衆院予算委員会での質疑と日本漫画家協会の声明

2月9日 衆議院予算委員会で丸山議員が質疑

この悪質な海賊版サイトが注目を集めるようになったのは、衆議院予算委員会での日本維新の会・丸山穂高議員の質問。これに対して警察庁の山下史雄生活安全課局長は「著作権等の法令法違反が疑われる事案に関しては適切に対処していく所存」と回答している。

2月13日 日本漫画家協会が声明を発表

2月13日、日本漫画協会は、マンガの「海賊版サイト」の広がりを受け、これらのサイトを批判する異例の声明を発表しました。

声明では、「全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが、利益をむさぼっている現実」があるとし、「このままの状態が続けば、日本のいろいろな文化が体力を削られてしまい、ついには滅びてしまうことでしょう。そのことをとても心配しているのです」と締められています。

3月 「漫画村」が有料版「漫画村PRO」を公開すると発表

月額500円の有料版「漫画村」

「漫画村」が、新たな「サービス」という名の万引き商売を計画し、マンガ家たちの怒りの炎に油を注いでいる。
新たに告知された「漫画村プロ」だ。4月から5月にかけてリリースすると告知しているそれは、月額500円の有料版。

4月6日 「政府が海賊版サイトへの接続を遮断する要請」報道

「接続遮断を要請する調整に入った」と伝えられる

日本政府がインターネット接続業者(プロバイダー)に対し、ネット上で違法にマンガや雑誌をアップロードしている海賊版サイトへの接続を遮断(サイトブロッキング)するように要請する調整に入ったと、毎日新聞が4月6日の記事で伝えた。

4月11日 Googleの検索結果から「漫画村」除外

違法アップロードされたコミックスや雑誌を多数掲載していた海賊版サイト「漫画村」が、2018年4月11日にグーグルの検索結果ページから削除された。

米デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく申請

アメリカのデジタルミレニアム著作権法に基づいたクレーム申請によって、Googleの検索結果から除外されている。クレームの申請を行ったのは、カナダのハーレクイン・エンタープライズ、ならびに同グループの日本支社であるハーパーコリンズ・ジャパンだった。

同日 「漫画村」にアクセスできず“閉鎖説”流れる

同サイトは4月10日深夜~11日未明ごろから閲覧できない状態が続いており、一部では「ついに閉鎖したのでは」といったうわさも流れていました。

16日 一時的に復活

4月11日にページへ接続できない状態になりましたが、16日には一時的にアクセスできるようになっていました。

ページに接続できない状態が続いていた海賊版サイト「漫画村」が、2018年4月16日18時現在、再び閲覧できる状態となっている。

4月13日 政府「海賊版サイトのブロッキングについて法整備」発表

漫画やアニメを無断で掲載する海賊版サイトのブロッキング(遮断)について、政府は4月13日の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議で、法整備を進めることを決めた。立法までの「緊急対策」として、「漫画村」「Anitube」など政府が「悪質」と認めた3サイトに限り、民間によるブロッキングが「適当」と位置づけ、ISPなどによる自主的な遮断を促すことも決めた。

「漫画村」とともにブロッキング対象として挙げられた「MioMio」は4月17日ごろから動画再生機能を停止。同じく「Anitube」は16日ごろからアクセスできなくなっていましたが、23日夜現在、ドメインを変えて復活している模様です。

4月22日 「漫画タウン」(元「漫画村」)が「終わった」とツイート

4月22日、「漫画タウン(漫画村)【公式】」と名乗るTwitterアカウントから「終わった」という投稿がありました。

海賊版サイトの問題点とは

漫画村など海賊版サイトによる被害

電子書店の売上成長率が落ち込む

電子書籍流通事業などを手掛けるメディアドゥホールディングスは4月13日、海賊版サイトによるマンガ業界への被害状況をまとめた4つの資料(いずれもメディアドゥをサイトで公開しました。
最初の資料は、ある若年層向け電子書店の売上を示したもの。それまでは前年同月比で140~150%の成長を維持していましたが、海賊版サイトの利用者数が増加したとされる2017年9月以降はグラフが落ち込み、11月以降は前年同月比で110%程度の増加にとどまっています。

海賊版サイト利用者増の2017年秋を境に減少傾向へ

もちろん、売上の増減には海賊サイト以外にもさまざまな要因が絡んでくるため、これらが全て「海賊サイトの影響」と断定するのは早計です(例えば単行本は通常、巻数を重ねるほど売上は下がる傾向があり、どこまでが海賊サイトの影響による減少なのか、これだけで測定することは不可能)。ただ、とはいえ電子書籍の売上は近年安定した成長傾向にあり、それが(少なくとも提示されたデータを見る限りでは)2017年秋を境に一斉に減少傾向に転じているというのは興味深い事実です。

漫画村による被害額は?

新作を含め、5万冊以上の漫画が無料で読み放題という海賊版サイト「漫画村」のため、漫画家が窮地に追い込まれている。3月(2018年)にサイトを訪れた数は延べ1万7000人を突破し、運営者は莫大な広告収入を稼いだとみられ、被害額は3200億円にもなる。

被害額は推定で3200億と報道されることが多いようですが、「推定アクセス数に正規価格を掛け合わせた非現実的な数字しか話題にのぼっていない」とする記事もありました。

海賊版サイト運営者の言い分

「すでにネット上にアップされてる画像を集めてるだけ」

「漫画村のサーバーはそもそも海外に置かれているほか、コミックスの原本は保存せず、別の場所にあるデータを参照、読みやすく整理しているだけに過ぎず、よって著作権者は第三者である漫画村ではなく、違法な公衆送信を行っているサイトに文句を言うべきだ」ーー。簡単に言えば、漫画村の運営者が主張しているのはそういうことだ。

日本の法律では裁けない?

海外で運営されている漫画村に日本の著作権は適用できる?

ネットビジネスに関する法務に精通している中島・宮本・溝口法律事務所の中島章智弁護士に見解を求めた。
まずは海外で運営されているとされる漫画村に日本の著作権法が適用できるかだが、この点については「事例ごとの解釈となるが、海外のサーバーであったとしても、日本から閲覧されることを想定したサービスであれば、日本の著作権法が適用されるという考え方が採用される可能性が高い」(中島弁護士)という。

次の記事で上沼紫野弁護士は、「外国事業者も日本法で裁ける」と説明しています。

海賊版サイトのプロバイダーが海外にある(とされている)ことが今回の問題を難しくしている1つだが、上沼弁護士は「民事訴訟法第3条の3の5号」により、「日本において事業を行う者に対する訴えで、その訴えが同者の日本における業務に関するものであるとき」には外国事業者を日本の裁判所で訴えられると説明する。「日本語でサービスを行っている以上適用できるはず」と上沼弁護士。16年にドワンゴが米国ネバダ州法人のFC2を提訴できたのも、日本語でサービスを行っていたからだという。

サイトにリンクを貼ってあるだけだから問題ない?

前出の中島弁護士は「著作権侵害の幇助」と判断される可能性があると指摘します。

リンク先が著作権法上合法ではないコンテンツであっても、リンクそのものを罪に問われることがないのは漫画村の運営者が主張しているとおりだ。しかし、権利侵害が明らかになって以降もリンクを続けた場合はその限りではなく、著作権侵害の幇助と判断される可能性が出てくるわけだ。

海賊版サイト運営者の特定が難しい

訴訟を起こす相手が特定できない

大手出版社の雑誌編集者が危惧していることとは…

前出の編集者は「海賊版サイトの多くは、運営元が明記されていなかったり、日本国内ではなく海外にサーバーを設置したりしていて、訴訟を起こすにも“相手”が特定できない仕組みになっている。それでいて、広告収入で荒稼ぎしているからタチが悪い」と憤る。

NHK取材班が漫画村のサーバーを調べてみると…

NHKの漫画村問題取材班がIPアドレスからサーバー会社を探すと、アメリカ・アリゾナ州フェニックスにあるクラウトフレア社にたどり着いた。世界有数のサーバー管理会社で、顧客に代わって動画やデータを配信するサービスを行っている。しかし、漫画村のサーバーはここにはなく、ウクライナの会社だという。
鎌倉千秋キャスター「ウクライナのサーバーは、スウェーデンのプロバイダーを介して漫画村側と契約していることが、今回、はじめて明らかになりました。そのスウェーデンのプロバイダーは防弾ホスティングと呼ばれる、契約者の情報を徹底的に秘匿するサービスを提供している会社でした」

海賊版サイトの閲覧 現状では合法

サイトの閲覧そのものは違法ではない

日本の法律では、そうしたサイトの閲覧そのものは違法ではありません。

法整備で“静止画ダウンロード違法化”も視野に

現状では合法とされている、「静止画(書籍)のダウンロード」の違法化も論点として挙げられています(※)。
※2010年の「ダウンロード違法化」では、音楽・映像のみ対象となっており、現状では静止画の閲覧やダウンロード自体は違法にならない

海賊版サイトをブロッキングすることの是非

政府によるブロッキングの要請に賛否両論

民間の通信業者(ISP)へ「自主的に」ブロッキングを要請

政府は4月13日、「漫画村」など特に悪質な海賊版サイトについては、法制度の整備まで臨時的・緊急的な措置として、民間の通信事業者(プロバイダ)が自主的にブロッキング(アクセス遮断)することが適当という見解を示した。

ブロッキングについては賛否両論

ブロッキングの是非については意見が割れている。「漫画海賊版サイト対策は手詰まりで、ブロッキングやむなし」という考え方もあれば、「ブロッキングは憲法違反で、行うべきではない」との意見も。

出版社各社が緊急声明を発表

政府の方針に「賛成」を表明

4月13日に政府の方針が明らかになって以降、大手出版社は続々とブロッキングについての声明を発表しています。

政府の方針にいち早く賛成を示したのは大手出版社だ。講談社、集英社、KADOKAWAは4月13日に緊急声明を発表。「この状態が続けば、コンテンツ産業は立ち行かなくなる」(講談社)、「ギリギリの状況で、今回の対策が示されたのは大きな前進」(集英社)、「コンテンツ業界が長年苦しめられてきた海賊版被害の食い止めに大きく寄与し、海賊版問題の抜本的な解決に向けた大きな一歩」(KADOKAWA)――と、被害を訴えるとともに政府の方針を支持している。

小学館は、自社では声明を出していませんが、出版広報センターの声明を公式サイトのトップページに掲出しています。

「出版社側の対応は十分だったのか?」という声に反論

作家で個人投資家の山本一郎氏が「出版社や権利者が警察に被害届を出していない可能性がある」としてブロッキングへの疑問を表明したのに対し、集英社が名指しを避けつつも「誤情報」とするステートメントを発表。さらにこれを受ける形で、山本氏が「公開質問状」を発表する展開となっている。
「海賊版サイトへの出版社の対応に関して、誤った情報の流布が見られる」――集英社は4月19日、Webサイトでこんな声明を発表した。集英社広報部によると、「出版社は海賊版サイトに対して何もしていないといった情報がネット上に散見されるが、これまで10年にわたり、さまざまな対策を行ってきた」とし、誤解を解くために声明を出したという。

漫画家の反応

ちばてつや氏「身を引き裂かれる思い」

ちばさんは『あしたのジョー』などで知られる漫画家だ。今回の政府決定を受けて、公式ホームページ上で「日本が国をあげて『マンガの危機』に真剣に向き合ってくれていることに、とても心強さを感じました」として、政府の対応について一定の評価をしている。
一方で、「表現者として常に大切にしてきた『表現の自由』や『知る権利』において、今回の『ブロッキング』という手段が諸刃の剣になりかねない、と危惧してもいます」として、ブロッキングについての懸念も合わせて示した。そのうえで、若い漫画家の苦境に追い込む海賊版サイトに対する憤りを述べている。

押切蓮介氏は漫画内で「人の漫画でガッポリガッポリ」

押切蓮介先生が『月刊モーニング・ツー』で連載中の漫画『狭い世界のアイデンティティー』第18話にて、漫画の海賊版サイトを扱った内容が描かれ、緊急企画として「コミックDAYS」で無料公開されています。
その中ではギャグを超えたブラックな彼らのセリフが盛りだくさん。漫画家に向けて「つまらねー漫画を描いたら承知しねェぞ」と、面白くない漫画を出せばサイトのユーザーも離れて俺達が困ると主張したり、「人の漫画でガッポリガッポリ」「タダ漫見せてガッポリガッポリ」と歌う“ガッポリ音頭”が披露されたりと、衝撃的なシーンばかり。

記事中で紹介されている漫画は4月26日まで限定で無料公開されています。

国内通信事業者(ISP)からは反対意見

ISP各団体「通信の秘密に抵触」「検閲」

海賊版サイトのブロッキングを巡り、ISPの業界団体である日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)などからは、「ブロッキングには法的根拠がなく、憲法が定める『通信の秘密』に抵触する」「政府がISPに要請すれば、憲法が禁じる『検閲』に当たる」といった反対意見も出ている。

ISP業界団体が発表している声明

声明を発表しているのは、日本インターネットプロバイダー協会、情報法制研究所、インターネットコンテンツセーフティ協会、インターネットユーザー協会などです。

反対意見の理由「通信の秘密」に抵触とは?

日々、日本国内だけでも無数の人々がインターネットを用いて、自分の知りたい情報にアクセスをしている。技術的には可能だけれども、個人がどこのサイトにアクセスしているかは「通信の秘密」によって、第三者に漏洩したりしないように保護されている。
これは「日本国憲法」の第21条で定められた国民の権利。いうなれば、どこのサイトにアクセスするかは、電話や郵便と同じレベルで公権力による検閲や第三者の漏洩から保護されているわけである。

こちらの記事では「反対意見は言論・表現の自由」とも密接に関わってるとし、次のように続けます。

「日本国憲法」については、さまざまな評価があるが、現在は「憲法改正」の是非をめぐって、激論が交わされている状況。そんな上位の法律で保護された権利を「漫画村ヤバイ!」で飛び越えようとしているのだから、反対されるのは当然というわけだ。

児童ポルノと同じように「緊急避難」は適当か?

政府は「緊急避難」という理由で、ブロッキングを正当化しようとしている。けれども、日本で数少ないブロッキングが認められている「児童ポルノ」も、議論を重ねた上で決められたもの。だから、いくら漫画村を焼きたくても「はい、そうですか」と、のむわけにはいかない。巨悪を撃つ目的とはいえ「通信の秘密」を、ごく簡単に乗り越えては、今後、ブロッキングの対象が、どこに拡大していくかがわからないからだ。
今後、道徳的な理由でブロッキングが正当化されたりすれば、それこそ言論/表現の自由の問題となる。

「緊急避難」とされた児童ポルノの経緯

日本におけるサイトブロッキングは、これまで児童ポルノへのアクセス制限に限り、緊急避難的に行われてきた経緯がある。児童の人格権侵害という重大な問題にどのように対応していくかを数年に渡って検討し、最終的に2011年から実施されているものだ。
「緊急避難的」と断っているように、サイトブロッキングは根本的な問題解決の手法ではない。
しかし、「問題の重大性を鑑みて施されている措置」であることは理解する必要があるだろう。また政府だけの判断でアクセスを遮断したのではなく、人権保護団体やインターネット接続業者など、複数のステークホルダーや関係者が長い時間をかけて話し合った結果として「遮断するべき」との結論に至った経緯がある。

その他の意見「いたちごっこ」「ブロッキングはそもそも有効か?」など

ニーズが消えない限りいたちごっこが続く?

ビデオリサーチインタラクティブによると、こうした海賊版漫画閲覧サイトの利用者は30万人にのぼり、漫画村以外にも同様のサイトは存在する。たとえ既存の海賊版サイトを閉鎖に追い込んだとしても、今後も類似の海賊版サイトが誕生するだろうことは想像に難くない。

民間事業者の自主判断を要請することについて

ITジャーナリストの三上洋氏は、ブロッキングの実行について政府は「通信事業者がブロッキングを自主判断する」としたことにつき、次のように述べています。

政府が民間に自主的な対応を促していることについても、「民間事業者が個人から訴訟されても政府は何も関与しないということ。非常に無責任なやり方だ」と批判する三上氏。「現行法でも、著作権者の訴えを受けて、捜査当局がサイトに削除命令を出すという方法もある」と強調する。

「ブロッキングの効果そのものが限定的」

筆者はそれ以前にサイトブロッキングの効果そのものが限定的であり、立法プロセスを省略してまで特定サイトをブロックしても、その効果はかなり限定的である、と考えている。むしろ、人権侵害などの重大な被害が起きてない中で閣議決定のみでブロックできるという前例を作るほうが後に禍根を残すのではないだろうか。

違法サイトに出稿する広告主や広告配信者の責任を問う声

漫画村をはじめとする違法サイトを巡っては、主な資金源となっている「広告主」や「広告配信者」の責任を問う声もでてきており、同社についても「(OEM先とはいえ)漫画村で使われていることを知っていたのでは」など、一部で批判する声があがっていました。

違法サイトを利用している小中学生も…

ネットに携わるユーザー一人ひとりが違法サイトとその影響を真摯に考えなければならない、という記事が散見する中、「違法サイトを無料で使うことのユーザー側の弊害」を伝える記事もありました。

小中学生の違法サイト利用者の中には、サイトが違法であるとわかった上で利用している人も一定数いるようです。こうした状態は、モノに対する価値観に大きく影響します。消費者としては、安く済むならそのほうが良いかもしれませんが、そうした意識はモノ、ひいては労働や創作の価値を下げることにもつながりかねません。

アンケート調査「ブロッキングに賛成か・反対か」

ドワンゴは4月14日、「海賊版サイトのブロッキング」についてのアンケート結果をサイトで公開しました。アンケートは4月13日21時ごろから、ニコニコアンケートを通じて実施。niconicoユーザー8万9154人が回答しました。
まず「著作権を侵害する、『漫画村』『Anitube』などの海賊版サイトに対してアクセスを遮断することについてあなたは賛成ですか、反対ですか」という問では、賛成が52.7%、反対が19.0%、わからないが28.2%という結果に。

「緊急避難的にアクセス遮断することに賛成か・反対か」

「緊急避難的にアクセス遮断を容認し、法制度整備を同時にすすめる政府の方針について賛成ですか、反対ですか」という問では、賛成が47.8%、反対が18.2%、わからないが34.0%。さらに最後の「インターネット・プロバイダは海賊版サイトへのアクセス遮断に協力すべきだと思いますか」では、協力すべきが55.0%、協力する必要はないが15.3%、わからないが29.7%となっています。

アンケート結果を見ると、ブロッキングに賛成する声は多いものの、反対派や「わからない」という人も少なくなく、「ブロッキングについてさまざまな意見からの議論が求められそう」と記事は伝えています。

NTTグループがブロッキング実施を発表

NTTコム・ドコモ・ぷららの3社で実施

ブロッキングの是非についての議論が白熱する中、NTTグループがブロッキングの実施を発表しました。

NTTグループは4月23日、サイトブロッキングに関する法制度が整備されるまで、短期的な緊急措置として、3つの海賊版サイトに対してブロッキングをおこなうとホームページ上で発表した。準備が整い次第、実施するという。
実施するのは、NTTコミュニケーションズ株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社NTTぷららの3社。NTTコミュニケーションズによると、対象となる海賊版サイトは、政府が4月13日の対策発表時に名指しした「漫画村」「Anitube」「Miomio」だという。

KDDIとソフトバンクは「検討中」

KDDIとソフトバンクは4月23日、ITmedia NEWSの取材に「対応を検討している」と回答した。海賊版サイトへの対策は重要としながら、ブロッキングを含む対策の技術的、法的課題も考慮するとの見解だ。

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