特集2017年10月28日更新
知ってた?日常で起こる現象の「正式名称」
寝ている時にビクッとなる、売り切れたものに限って欲しくなる、テスト勉強の最中に急に掃除を始めてしまう、人混みの中でも自分の悪口だけははっきり聞こえる…そんな経験は多くの人があるかと思います。実はそれらの現象、ちゃんとした正式名称があるってご存知でしたか?今回はそんな日常で起こる現象の名前について調べてみました。
眠っている時にビクッとする
寝ているとき、高いところから落ちたような感覚になって、急に体がビクッと痙攣することってありますよね。犬や猫など動物でもそうなるのをみかけます。
この現象の名前は…
ジャーキング
寝つくときに身体の一部が急に短時間(0.075~0.25秒ほど)だけ動くことを、「ジャーキング」と言います。「睡眠時ひきつけ」とか、「入眠時ぴくつき」「入眠前ミオクローヌス」などとも呼ばれています。
なぜ起こる?
ミオクローヌス(不随意の筋肉の痙攣)の一種で、入眠状態に移行する時、また、脳が起きているレム睡眠状態の時によく起こります。起きている脳が、筋肉が弛緩して眠っている体を「高所から落下している」と勘違いし、無意識の筋肉収縮が起こるという本能的な防御反応なのです。
自分が気になっているものが目につきやすくなる
朝、家を出る前に「今日のラッキーカラー」を決めます。赤? 青? 黄色? 何色でも構いません。例えば「今日は赤だ!」と決めます。そしていつものように会社まで通勤してください。
すると「今日は赤いクルマが多いなあ」......何だかよく分からないけど妙に赤いクルマが目につくんです。屋外看板広告も赤いのが目に入る。
これは色に限らず、例えば「大好きな芸能人の名前」や「買おうかどうしようか迷っているスマホの機種」など、文字やモノにも言えます。意識したものが目に入りやすくなることってありますよね。
この現象の名前は…
カラーバス効果
見えるから見る、へ。SEEからLOOKに変わるんです。
これは色に限りません。自分が気になっていることに関する情報ってなぜか向こうから自分の目に飛び込んでくる気がします。そんな経験はないですか?
わたしたちの頭や脳は「これが知りたいな」となかば無意識に思っていることを命令として捉えているのかもしれません。勝手に探してくれている感じがするほどに。
人混みの中でも自分に関することはなぜか聞こえる
パーティーの最中目の前の人と会話をしている時、周辺の会話は聞こえてこない。ところが、後ろの人間が自分の名前をだし噂話を始めた途端、後ろの会話が聞こえてくる。
この現象の名前は…
カクテルパーティー効果
これは『ガヤガヤした人混みの中でも、自分の興味のある話題や自分に関する情報は、なぜかしっかり耳に入ってくる』という現象。
なぜ起こる?
ヒトの脳は、外界の膨大な情報の中から自分にとって重要な要素だけを選択して、聞き取ることができるのだそうです。
テスト勉強中に、どうでもいいことに夢中になってしまう
学生時代に多くの人が経験したことがあるだろう不思議な現象といえば、「定期試験の勉強中に部屋の大掃除をしたくなる」、もしくは「模様替えしたくなる」です。
普段は掃除なんて全然しないのに、なぜかあの時だけは掃除欲がおさえられない...。一度始めてしまったら最後、夜通しで掃除をして、最後にはきれいになった部屋を見て“模様替え欲”まで湧いてしまいます。
掃除にかぎらず、ついつい他のことに夢中になったり、その他にはテスト前にものすごく勉強したのに「俺全然勉強してなくてさあ」などど言い出すのも同じ現象です。
この現象の名前は…
セルフ・ハンディキャッピング
セルフ・ハンディキャッピングとは、万一自分が成果を出せないときや、みっともないパフォーマンスを見せてしまったときなどに、みんなからバカにされないように、自分自身の気持ちも傷つかないように、前もって自分にハンディをつけておくことを指す。
このように自分にハンディをつけようとするのも、いざみっともない結果に終わった場合に、実力不足とか無能といった印象を持たれるのを防ごうとしてのことである。印象の悪化を防ぐための必死の印象操作なのである。
限定品や、売り切れたものが欲しくなる
タイトルだけでだいたいわかってはもらえるとはわかりますが、いつでも手に入るものよりも期間や数量が限定されていた方がついつい買っちゃったり、売り切れてから急に欲しくなったりすることってありませんか?
この現象の名前は…
リアクタンス理論
人は「自由に選べる」と思っていたモノが選べなくなると、心理的な抵抗感(リアクタンス)を抱き、その制限された自由を回復しようとします。どのように回復するかというと、選べなくなったモノの魅力度を上げ、取得意欲を高めるのです。
やったらだめと言われるとどうしてもしたくなる
この画像だけでもう説明は不要ですが、見るなと言われれば見たくなり、触るなと言われれば触りたくなり、押すなと言われればもう押しちゃいますよね。
この現象の名前は…
カリギュラ効果
ローマ帝国第3代皇帝カリグラをモデルにした映画が、一部地域で上映中止になったことで、より人々の興味を煽り、話題になったことが語源とされています。
禁止されると、余計に気になってしまうこの心理、かの有名な作品「ロミオとジュリエット」の恋愛もカリギュラ効果に似た心理が働いていたといわれています。人間は自由を脅かされた時に、自由を回復しようとする生きもの。ロミオとジュリエットの禁断の恋は、恋愛を禁止されることで、恋愛の自由を取り戻そうとして燃え上がったというわけです。
著名人の自殺報道の後に自殺者が増加
「後追い自殺」と聞くと、愛し合った恋人たち、あるいは順調に愛を育んだ夫婦などで、一方がなんらかの理由で亡くなり、それを悲観して残された人が自殺するというイメージが強い。
ところが世の中には、いってみればなんの関係もない人が亡くなっても、後追い自殺をする人たちがいる。主に芸能人などの著名人が自殺をした場合に、その報道を受けて自殺者が増加する現象が見られるのだ。
著名人だけでなく、例えば「いじめで中学生が自殺」などの報道があると、その後中学生の自殺が続いたりすることもあるようです。
この現象の名前は…
ウェルテル効果
「報道が繰り返し人の自殺を取り上げることで、抑鬱している人の背中を押し、自殺という出口があるのだと伝達してしまう。これを『ウェルテル効果』といいます。かつて、ゲーテの著書『若きウェルテルの悩み』に影響された人々の自殺が相次いだことに由来します。
実証された「ウェルテル効果」
著名人の自殺報道が出た後に自殺者が増加する現象が起きていることが確認されているが、一方ではその自殺者の増加が、本当に著名人の自殺報道が引き金となった自殺なのか検証するのは困難だ。
この難題に挑戦し、分析を試みたのが、内閣府の経済社会総合研究所だ。警察庁の自殺統計原票という、自殺者の発見日ではなく死亡日をベースとした全国データを使って分析を行った。著名人の自殺報道の影響は、報道後約10日間続くという研究結果を前提に、報道があってから10日間の自殺者の動向を分析している。
分析の結果、著名人の自殺報道後の10日間は、自殺報道がなかった時と比較して自殺者が4.6%増加していた。その詳細を見てみよう。
まず男女別では、男性が4.42%、女性が5.09%、それぞれ増加しており、女性のほうが割合は高い。さらに年齢別に見た場合には、意外なことに60代男性が9.29%でトップ、次いで20代女性の9.21%、40~60代の女性がそれぞれ8%台の増加となっている。
(∵)←これが顔に見える
この現象の名前は…
シミュラクラ現象
シミュラクラ現象とは、3つの点が集まった図形が人の顔に見える現象のことです。
簡単に言うと、(∵)←これが顔に見える現象です。
数学の「なぜならば」という記号ですが、あなたにはもう、これが顔にしか見えなくなっていませんか?人の顔は目や口のパーツが逆三角形に配置されていることから、このシミュラクラ現象が起こりやすくなっているのだといわれています。
寒い時におしっこをすると身体がブルッと震える
小さい頃から、寒くなった日に小便をするとブルブルと震える時があります。
温かい時期になるとその現象は一切ありません。毎年のことなので、あまり気に留めていませんが、寒くなった時にしかならないので、何が原因なのだろうとふと疑問に思いました。
この現象の名前は…
シバリング
通常、体温は脇の下で測り、36℃台の方が多いです。しかし、体内の温度である深部体温は37℃台です。つまり、尿も排泄される前は体内にあるため37℃くらいあります。それが排尿によって体内から放出されるため、一時的に身体の内部が冷えてしまいます。そのため、身体は温度を上げようとして筋肉を震わせます。それが体がブルブルっとする現象です。(看護師)
頭の中で同じ音楽の一節が鳴りつづける
この現象の名前は…
ディラン効果
ある漫画作品で頭の中でボブ・ディランの曲が鳴り止まない「ディラン効果」として取り上げられたことから定着。
なぜ起こる?
「憂鬱な気分を防ぎ、気分転換のために起こる」などの説があるが、詳しいことはわかっていない。
年を取るとそんなに食べていないのに太ってしまう
この現象の名前は…
モナリザ症候群
「Most Obesity kNown Are Low In Sympathetic Activity」の頭文字を取ってつけられた名前であり、「肥満のほとんどは交感神経の働きが低下している」という意味を持っています。
なぜ起こる?
人間の体は、自律神経によって無意識のうちに内臓が働いています。この自律神経には興奮したときに優位になる交感神経と、リラックスしたときに優位になる副交感神経の2種類あり、これらがバランスを取り合い成り立っているのです。モナリザ症候群になると、自律神経の切り替えスイッチがスムーズにいかなくなってしまうのだとか。
ダイエットに重要な代謝の働きが促進されるのは、交感神経が優位になっているとき。つまりこの切り替えがうまくいかないことで交感神経の働きが低下し、痩せにくい体になってしまうのです。
書店にいると便意を催す
本屋だけでなく図書館でもあるような気がします。
この現象の名前は…
青木まりこ現象
「1985年、『本の雑誌』40号に青木まりこさんという読者から〈書店に行くと便意がする〉という投稿が来た。それを当時編集長だった椎名誠氏が面白がり、翌号で〈いま書店界を震撼させる『青木まりこ現象』の謎と真実を追う!! 〉という特集を組んだのが由来です」(『本の雑誌』発行人の浜本茂氏)
なぜ起こる?
以後、現象の原因についてさまざまな仮説が立てられ、
・インクのにおいが便意を誘発するから
・好きな本を読むと心がリラックスするから
・視線が下にいくとまぶたがゆるんで副交感神経を刺激するから
など、幅広く語られてきましたが、どれも裏づけがないまま終わるものがほとんどでした。
多くのTV・ラジオ番組、雑誌で特集が組まれては謎を多く残すこの現象。2016年現在、解明されていません。
しかし、「本屋に行くとなぜかトイレに行きたくなる」のは賛同する人が多いのも事実。
今後、もしかしたら科学的に医学的に、解明される日が来るかもしれません。その日を楽しみに待ちたいと思います。
年をとるとなぜか時間が経つのが早く感じる
この現象の名前は…
ジャネの法則
フランスの心理学者ピエール・ジャネが提唱した「ジャネの法則」。 主観的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられるという現象を心理学的に説明したものだそうです。
なぜ起こる?
「5歳の人の1年は人生の5分の1だが、50歳の人の1年はわずか50分の1で、10倍もの差がある」。つまり年を取ると生きてきた年数によって1年の長さの比率が小さくなり、どんどん時間が早く感じるということ
一度投資すると引くに引けなくなる
この現象の名前は…
コンコルド効果
行動経済学の用語で「ここで中止すると、すでに投資した費用が無駄になる」という心理から投資をやめられなくなること。英仏両国が巨額を投資した超音速旅客機「コンコルド」が大赤字に陥るとわかっていたにもかかわらず、すぐに開発中止しなかったことに由来。
なぜ起こる?
例えば、くじ引きなどを引いた時、当たらなかったがもう一度だけやれば当たりが出るかもしれないと思い、もう一度くじを引いたり、引きはしないが引きたいという思いに駆られたりすることをいいます。これは、パチンコや競馬といったギャンブルだけでなく投資からじゃんけんに至るまで、多くの場面で起こる現象です。
負けが続けば続くほど、それまでの損失を取り戻そうと思い、当たりもしないのに続けてしまうという悪循環に繋がってしまうのです。一度当たりを経験してしまうと、負けが続いてもその快感を求めて損失を重ねていってしまうのです。
当たりを手にした時、人間の脳内でドーパミンが分泌され、幸福や快感として認識してしまうため、脳がそれを求めることで、止められなくなりのめり込んでしまうのです。
ひじをぶつけた時にビリビリする
この現象の名前は…
ファニーボーン
実はアレ、「ファニーボーン」というカッコイイ名前があるのです。上腕骨を意味するヒューメラス(humerus)と、「おかしい」「面白い」という意味のヒューモラス(humorous)の発音が似ていることから、ファニーボーンとなったのです。ファニーボーンは英語で「ユーモアのセンス」という意味があり、クレイジーボーン(crazy bone)とも呼ばれているそう。
なぜ起こる?
「前腕の小指側には尺骨という骨があり、この尺骨に沿って尺骨神経があります。実際には、骨ではなく、この尺骨神経が刺激されてしびれがもたされます。小指のほうまでビリビリしびれるのは、尺骨神経が浅い場所にあって刺激を受けやすいから」とのこと。
“ケータイ鳴った?”と錯覚する
胸ポケットやズボンのポケットに携帯電話を入れている。すると、"ブルッ"とした振動を感知。「メールかな?」などと思い、携帯電話を取り出すと、何も変化はない。メールは受信してないし、電話も鳴ってないし、SNSからのお知らせもない。「あれ、勘違いだったのかな...」。そんな経験、ないだろうか?
この現象の名前は…
ファントム・バイブ・シンドローム(幻想振動症候群)
まずは以前行われた携帯電話の使用法調査で使われた評価項目のうち、依存性に関連するものを抜き出した。そしてファントム・バイブ・シンドロームによると思われる着信音、バイブ、通知音の発生頻度に関する質問を作成した後、750人以上の大学生を対象にオンライン調査を実施した。
調査の結果、携帯電話への依存度が高い人(気晴らしのために携帯電話を利用する頻度が高く、携帯が使えない状況下では精神不安定になり、どんなときも携帯電話のことが頭から離れない人)ほど、幻聴を聞く頻度も高かった。
携帯電話のメーカーやプロバイダによると、ファントム・バイブ・シンドロームに技術的な問題が関与していることは断じてないという。
しかし日常なにげなく起きている行動・現象も、意外とかっこいい名前がついているものですね。今度から是非、上記の現象が起きたら、名称も使ってあげて下さい。例えば寝ててビクッとした時に「あ~ジャーキングしちゃったよ」とか「あれ?電話鳴った?あ~違ったファントム・バイブ・シンドロームだったか~」なんて感じで。