まさに地球の神秘…近年発見された新種の生物たち
2018年8月15日更新
私たちが住む地球には、いまだに発見されていない動物や植物が多数存在すると言われています。そこで今回は、近年発見された新種の動物・植物をまとめてみました。日本ではあまりお目にかかれない新種生物の神秘的だったり、怖そうだったり、あるいはかわいらしい姿をご覧ください。
近年発見された新種の動物
洞窟をすみかに選んだオレンジ色のワニ
コビトワニ
最大でも全長2メートルほどと、ワニとしては小型の「コビトワニ」なる種が存在する。中央アフリカの洞窟の中で発見されたコビトワニは現在、体色をオレンジ色に変化させながら別の新たな種への進化の途上にあるという。
中部アフリカに位置するガボン共和国の洞窟で2008年に発見されたこのオレンジ色のコビトワニは、独特な環境に置かれているため摂食行動に変化を余儀なくされ、主食は洞窟内のコウモリとコオロギなどの昆虫類である。
研究者が洞窟内のコビトワニの30~40匹のDNAを分析したところ、洞窟の外で暮らすほかのコビトワニにはないユニークな違いが見られたという。つまり、遺伝子レベルで変異が起こっているのである。
「洞窟のワニにはすでに異なる遺伝子ハプロタイプがあるので、変異種であると言えます。食生活を変えて地下世界の環境に適応した新種のワニと言えるでしょう」
ヒトに最も近いとされるオランウータン
1. #sobathijau, Sumatran Orangutan Conservation Programme, melaporkan telah menemukan orangutan tapanuli (Pongo tapanuliensis) betina dewasa dengan dua bayi kembar, di sebelah barat daya Stasiun Riset Camp Mayang, Batang Toru. Medan, 13 Juli 2018. #orangutan pic.twitter.com/6LQsjbdDAu
— Kementerian LHK (@KementerianLHK) 2018年7月14日
タパヌリオランウータン(Pongo tapanuliensis)
インドネシアのスマトラ島北部にある北スマトラ州の密林でヒトに最も近いとされる大型類人猿のオランウータンの新種が発見された。
新種はタパヌリの密林に生息することから「タパヌリオランウータン」と命名された。その特徴は頭蓋骨が小さく、発達した犬歯があることで、DNAの配列も異なるという。黄色がかった茶色いシナモン色の縮れ毛も特徴で、オスには長い口ひげ、メスにはあごひげがある。
DNA的にはタパヌリオランウータンは北側のスマトラオランウータンよりも離れたボルネオオランウータンに近く、約300万年前にタパヌリオランウータンとして分かれた可能性があるという。
雨が降るとくしゃみが止まらないサル
Habitat of rare snub-nosed monkeys in Myanmar threatened by deforestation http://t.co/CzxUzk46iR pic.twitter.com/40CIzJSebK
— Charmaine Korff (@aViewFromaHill) 2015年10月12日
ミャンマーキンシコウ(Myanmar snub-nosed monkeys)
個性的な顔をしたサル。鼻が低いというより、むしろほとんど真っ平らだ。ミャンマー北部の人里離れた森で発見された。地元住民によると、このサルは雨が降ると簡単に見つかるという。というのも、彼らは(雨水が鼻の穴に入りやすいのか)くしゃみが止まらなくなってしまうのだ。しかも、(問題を本人たちも自覚しているのか)この事態を避けるため、彼らは雨が降り始めると頭を膝の間に挟みこむようにしてやり過ごすのだという。
ゾウに近い新種のネズミ
To celebrate #TaxidermyTuesday here is a scheming elephant shrew. Join us on Saturday for #MuseumsAtNight at 6pm https://t.co/64eKeyTA3R pic.twitter.com/p0wEP4EnDC
— Grant Museum, UCL (@GrantMuseum) 2017年5月16日
ゾウトガリネズミ(Elephant shrew)
南アフリカとボツワナに隣接する国、ナミビアの砂漠でカリフォルニア科学アカデミーの研究チームに所属する、ジャック・ダンバーチャー博士が新種のネズミを発見した。しかしただのネズミではない。この生物の名前は「ゾウトガリネズミ」で、不思議な事にゾウのような鼻を持っているのだ。そして何よりも驚くのが、この姿で遺伝子的にネズミよりもゾウに近いとされていることである。
学者の間では、モグラやハリネズミと近縁のトガリネズミとの混同を避けるべく、「センギ(Sengi)」とも呼ばれている。また、このセンギが属するネズミを総じてハネジネズミと呼ぶそうだ。
鼻の形が豚に似ているカエル
From cannibal chimps to a new species of purple frog, here are @NatGeo’s weirdest animal stories of 2017 https://t.co/0DKeyFQpR2 pic.twitter.com/9Bmnz3TRe8
— WWF-New Zealand (@WWFNewZealand) 2017年12月10日
Purple frog
インドの西ガーツ山脈地方で発見された新種のカエル。テッカテカでぬめぬめした体に小さな目、
そして何と言っても可愛らしい豚鼻。もはやこの生物が「カエル」などとは誰もが気づかないでしょう。普段は地中で生活しているとのことです。
エサは地中の中でシロアリを食べるのだということです。
このカエルの系統は古く多様性に乏しいので発見するのは非常に困難なレアキャラです。
心臓もくっきり見える半透明なカエル
ヒアリノバトラキウム・ヤク(Hyalinobatrachium yaku)
今回発見されたカエルは、エクアドルのアマゾンに住むカエル。横向きでは何ら変哲もないよくあるカエルですが、なんと裏から見るととんでもない形をしております。体の中が全部透けて見える、まさしくスケルトンなカエルとなっており、肺や心臓などありとあらゆる臓器が見放題!とんでもない衝撃的なデザインをしております。
発見した科学者はこのカエルを「ヒアリノバトラキウム」属に所属させたということです。
ミステリーサークルを作るフグ
アマミホシゾラフグ(Torquigener albomaculosus)
穏やかな大島海峡の海底には、じつは世界でも例を見ないミステリーサークルがあります。じつは、このミステリーサークルを作り出したのは、宇宙人ではなく、フグ!
「アマミホシゾラフグ」という新種のフグで、いまのところ奄美大島でしか発見されていないそうです。このフグのオスがメスを呼び込み、メスに卵を産んでもらう場所を作るのですが、それがミステリーサークルの形状になります。まさに自然の神秘ですね。
クローンを大量に産むザリガニ
ミステリークレイフィッシュ(Procambarus virginalis)
大きな話題となっているのはマーブルクレイフィッシュ(学名Procambarus virginalis)というザリガニだ。マーブル(大理石)クレイフィッシュ(ザリガニ)という名が示す通り、大理石のようなまだら模様が特徴的なザリガニだ。日本ではミステリークレイフィッシュの名で販売されており、愛好者の間で親しまれている。
ミステリーと冠される通り、このザリガニは非常に不思議な生物である。まず、ミステリークレイフィッシュにはメスしか存在しない。そしてたった一匹でも卵を産み、自分とほぼ同一のゲノムを持ったクローンの子供たちを大量に作る。不思議なのは驚くべき生態だけではない。なんとこのザリガニ、ほんの25年ほど前にドイツの水槽で生まれた新種なのだ。
頭部だけ半透明の神秘的な深海魚
デメニギス(Macropinna microstoma)
このユニークな魚は深海2000~2600フィート(約610メートル~800メートル)に生息。一番の特徴は、中身が透けて見える頭部(中身は液体だそう)だ。全身は黒いのだが、頭部だけ透けているのである。そのため頭の中身はもちろん背景の海の色も映し出し、その神秘度ぶりたるや半端ない。
さらに驚くべきことは、透明な頭部の中に見える緑色の部分が目だということ。研究の結果、デメニギスの目は信じられないくらい敏感で、ちょっとの光でも感知すことがわかっている。
クモの体内に卵を植え付けるスズメバチ
Clistopyga crassicaudata
写真は新種のスズメバチなのですが、お尻の針が長くて赤いの、わかりますよね。実はコレ、クモに自分の卵を植え付けるための卵管なのだそうです。
卵が育ち子供が産まれると、彼らはクモのお腹を食い破って出てきます。まるで『エイリアン』のチェストバスターみたいですが、ちっちゃいのが無数にワラワラ出てくるかと思うと、鳥肌がゾワりそうです。
見つけたのは、フィンランドにあるトゥルク大学の研究チーム。彼らは南米へと旅立ち、アンデスからアマゾン熱帯雨林までを調査してきました。そこで新種のスズメバチを7種類も発見。そして「Clistopyga crassicaudata」と名付けられたコイツが、一番タチの悪い種類だったのです。ちなみに「crassicaudata」は、針の太さに由来する名前とのこと。
敵の侵入を自爆で阻止するアリ
コロブピス・エクスプローデンス(Colobpis explodens)
「Colobpis explodens(コロブピス・エクスプローデンス)」と名づけられたこの究極の“働きアリ”は、巣に侵入してこようとする外敵に立ちはだかり、“自爆”して有毒な黄色い体液を敵に浴びせて侵入を阻止するという、涙ぐましくも痛ましい自己犠牲を行う習性があるのだ。
カレーの香りがするという黄色い毒液は、“自爆”の前にアゴの後ろの部分から大量に分泌される。そして腹筋を収縮させることで体内に圧力を加えて体表を破裂させ、この毒液をぶちまけるのである。黄色い毒液はノリのようにべたついていて、敵の身体に強力に付着してダメージを与えるということだ。
日本初、世界でも2例目の洞窟にしか生息しないアリ
ガマアシナガアリ(Aphaenogaster gamagumayaa)
「ガマアシナガアリ」と名付けられた新種のアリは、薄い体色で目が小さく、脚や触角が長い傾向があり、洞窟に生活する生物の傾向に一致する。洞窟付近の森林からは発見されないことから、洞窟のみに生息する可能性が極めて高いと研究グループは述べている。
ガマアシナガアリの学名「Aphaenogaster gamagumayaa」(アファエノギャスター・ガマグマヤア)の種小名ガマグマヤアは、沖縄方言で「洞窟に引きこもる者」の意味。
ハリー・ポッターシリーズ由来のヒトに危害を与えないハチ
#LusiusMalfoyi #wasp: #NewZealand #insect named after #HarryPotter #villain https://t.co/TMfw2oSbSh @guardian pic.twitter.com/JBqQYfFNxk
— UN Biodiversity (@UNBiodiversity) 2017年10月11日
ルシウス・マルフォイ(Lusius malfoyi)
ニュージーランドで新種のハチが発見されたようです。その名も「ルシウス・マルフォイ」。シリウスマルフォイといえば、悪名名高いあの「ドラコ・マルフォイ」の親の名前ですが、どうやら、このハチは刺すことはなく、人間には悪い影響は及ぼさないようです。とはいえ「ハチ」と聞くとどうしても「ヤバい昆虫」というイメージが強く、ちょうどハリーポッターシリーズ内でも同じような扱いを受けている「ルシウス・マルフォイ」がそれに通じるものがあるということで、その名前がつけられたようです。
ハリー・ポッターシリーズに登場する帽子にそっくりなクモ
A new species of spider discover in 2016, Eriovixia gryffindori, was named after Gryffindor due to the resembleance it's triangular shaped body bears to the sorting hat #HarryPotter pic.twitter.com/Nc8l9p00kW
— Harry Potter Facts (@Muggle_Facts) 2018年2月24日
ハリー・ポッター・スパイダー(Eriovixia gryffindori)
夜行性で体長は7ミリほどだ。その名の通り、映画の中で登場する組み分け帽子にそっくり。
グリフィンドール寮の名前の元である魔法使い「Godric Gryffindor」 にちなんで学名が付けられており、ハリー・ポッター作者のJ・K・ローリングもこの新種のクモの発見をツイッター上で祝福している。
日中は体をくしゃくしゃと丸めて、乾いた枯葉のように擬態し外見をカモフラージュしている。
.@curiocritters I'm truly honoured! Congratulations on discovering another #FantasticBeast! 👉🕷✨ pic.twitter.com/NJ4Fe27F1r
— J.K. Rowling (@jk_rowling) 2016年12月11日
“キモかわいい”求愛のダンスをするクモ
ピーコックスパイダー(Peacock Spider)
ピーコックスパイダーはハエトリグモの一種で、体長はわずか2~6mmほどしかない小型の生物である。オーストラリアにしか生息しておらず、存在そのものが非常に希少だ。
ピーコックスパイダーの特徴を語る上で絶対に欠かせないのが、一風変わった求愛行動だ。ピーコックスパイダーのオスの背中には非常にカラフルな模様が描かれており、まるでクジャクのように羽を広げてメスの気を引こうとする。しかもコミカルなダンスまで披露するため、我々人間でさえ見ていて飽きない面白さがある。
ピンク色の木の葉そっくりなツユムシ
El Eulophophyllum kirki es un saltamontes que mide pulgada y media. Las hembras se camuflan en rosa brillante y los machos en verde. pic.twitter.com/hg63g546q5
— DMAX España (@DMAX_es) 2017年6月9日
Eulophophyllum kirki
体長約4センチ。オスは緑、メスはピンク色である。
撮影した写真家Peter Kirkにちなんで名付けられたが、発見されたボルネオ島北部は採取が厳しく制限されている地域で捕獲が難しく、写真のみで新種認定された。将来的には類似した種の発見が期待されている。
まるでプードルのようなモコモコの蛾
Venezuelan Poodle Moth- discovered recently in 2009, it’s Latin family is still unknown and there is still so much to learn about them 🐩✨ pic.twitter.com/BPYBsZLZtC
— megan (@meganandcamera) 2018年5月10日
プードル・モス(Poodle Moth)
2009年に南米ベネズエラのグランサバナ地域で発見された新種の蛾。名前の由来はまさに見た目通り、犬のプードルのようにモコモコしていることから。
竹島で発見された新種の原生動物
A New Heterolobosean Amoeboflagellate, Tetramitus dokdoensis n. sp., Isolated from a Freshwater Pond on Dokdo Island in the East Sea, Korea. https://t.co/ULJpi4NCkY #protists pic.twitter.com/cVVFI6rBGp
— ISOP (@protistologists) 2017年11月16日
テトラマイトストクトエンシス(Tetramitus dokdoensis)
原生動物とは光合成をしない単細胞の真核生物を指す。パク教授は竹島の河川で発見した新種の原生動物を、竹島の韓国名である「独島(トクト)」を入れて「Tetramitus dokdoensis(テトラマイトストクトエンシス)」と名付けた。これまでにも生物の名称に「独島」が使われたことはあったが、原生動物に使われたのは今回が初めてという。また、研究論文の題名「韓国の東海にある独島の淡水から分離した新種のテトラマイトストクトエンシス」の中に日本海の韓国名である東海との表現が含まれていることも目を引く。この研究結果は原生動物分野の世界的な学術誌「国際原生生物学会誌」に掲載された。
近年発見された新種の植物
約100年ぶりに新種発表されたサクラ
100年ぶりサクラ新種 紀伊半島で「クマノザクラ」(写真付) https://t.co/Ve9YG3Tw7E pic.twitter.com/MWfcy7gTiH
— wbs和歌山放送ラジオ (@DIGITALwbs) 2018年3月13日
クマノザクラ
クマノザクラは、勝木氏が紀伊半島南部での調査により発見した野生のサクラだ。沖縄などで見られるカンヒザクラを除くと、日本国内に自生する野生の桜は9種。クマノザクラが新種として発表されると、1910年代のオオシマザクラの発表以来、約100年ぶりの新種発表となり、野生種の10種目となるそうだ。
勝木氏は、クマノザクラの学名を発表するための論文を2017年に学会誌に投稿。学術的にも貴重な発見であり、また花としての観賞価値が高いクマノザクラ。
毎月のように新種が発見されているべゴニア
When you allow geeky, Asian botanists to name a new plant they found in the jungle.
— James Wong (@Botanygeek) 2017年10月21日
Ladies and gents, I present Begonia darthvaderiana. pic.twitter.com/pMZEBMinFe
べゴニア・ダースべイダリアナ(Begonia darthvaderiana)
「原種のべゴニア(シュウカイドウ属)はオーストラリア大陸を除く全世界から現在2000種が記載(※1)されていますが、さらに毎月のように新種が見つかっています。未記載のものも多くこれからまだ1000以上の種が新たに見つかるのでは、ともいわれています」
べゴニアはこれだけ多くの種がすでにあり、見た目も多種多様。株姿や葉の形状、質感、色彩も多様なバリエーションがある。さらに新しい種類がまだまだ見つかるという発展途上の躍動感に魅力を感じる人も少なくない。
本稿記載の写真「べゴニア・ダースべイダリアナ」も、そうした新しく発見されたべゴニアの一つ。ピロード状の葉は見る角度や光の加減により、漆黒にも暗赤色にも見え、そのまわりは白〜黄色の斑で縁取られている。
カットすると出血したように見えるトマト
Solanum ossicruentum
語源はラテン語の「骨」、「血まみれ」から。直径は1.5~2.5センチと小さめだが、カットすると空気に触れた表面がまるで血液のようにどす黒く変化する。
若いトマトは黄緑色だが、熟すに従い色が深緑からやがて赤褐色となり、最後にはとても硬くなる。