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「アップル<マイクロソフト」と判断する大間違い 収穫期のMSと種まき機のアップルの違い

東洋経済オンライン / 2024年4月4日 7時30分

一方で、事業が好調だからといって、製品ジャンルをむやみに増やし続けないのもアップルの大きな特徴である。 なぜなら、プラットフォームとして大きな魅力があるものでなければ、その本質的な強みを発揮できないからだろう。

アップルが独自の電気自動車(EV)開発を断念したニュースに失望したという声もあるが、筆者はむしろポジティブに捉えている。同社が自動運転技術を開発していたのは公然の秘密だった。

アップルが本気でEVを開発していたかは疑問

多くの関連技術者を雇用し、自動運転技術を磨くためのテストカーを稼働していることは既知の事実だった。ただ、アップルが本気で自社でEVを開発していたかは疑問だ。

少し昔話をしたい。2000年代、アップルがテレビを開発しているという、まことしやかな噂が業界では流れていたが、筆者はその噂に大きな疑問を感じていた。同社がテレビを使ったさまざまな実験を行っていたことは確かだろうが、製品としてテレビをアップルブランドで発売するという取り組みをしていたとは思わない。

テレビという製品は画質の優劣を除けば、機能的に違いを出すのは難しい。機能の面で大きな差を生み出せないのであれば、テレビにコンテンツを届け、これまでにない画期的なユーザインターフェースを提供するほうが価値がある。そこで生まれたのが、テレビに接続する「Apple TV」である。

Apple TV は、iPhoneやMac、iPadほどの大きなプラットフォームに成長はしていないが、しかし長い時間をかけてアップルは独自の魅力あるコンピュータプラットフォームを作り上げたと言える。

EVの話とはまったく関係がないように思えるかもしれないが、このロジックはそのままEVにも当てはまると考えている。アップルはテスラのように独自の自動車を作るのではなく、自動車と接続し、iPhoneなどアップル製品が自動車そのものに高い付加価値をもたらすソリューションを開発していたのだと考えている。

もちろん、正解ではないかもしれない。しかし、アップルが自動車産業に参入しなかった理由の1つではあるだろう。

アップルが「没落」することはない

企業が衰退する時というのは、よりよい製品やサービスを生み出す力がなくなり、他者と比較したときに競争力が低下することで没落していくシナリオが一般的だろう。

しかし、アップルに関してはこのシナリオは考えにくい。

現時点において、スマホ、タブレット、モバイルコンピューターといった領域でパフォーマンス、使いやすさなど総合力で勝るアップルに勝る製品は存在していない。なぜなら、アップルは最終製品を半導体設計、OS、ソフト、開発ツールなど、あらゆる面で総合的なフレームワークを提供している唯一のハードウェアメーカーだからだ。

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