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インタビュー:3月上旬に米鉄鋼労組トップと会談、スキーム変更せず=日鉄副社長

ロイター / 2024年3月5日 2時21分

日本製鉄の森高弘副社長は、USスチールの買収について「間違いなくクローズまで持って行く」と述べ、完了に自信を示した。昨年11月、都内で撮影(2024年 ロイター/Ritsuko Shimizu/File Photo)

Ritsuko Shimizu Yuka Obayashi

[東京 5日 ロイター] - 日本製鉄の森高弘副社長は、USスチールの買収について「間違いなくクローズまで持って行く」と述べ、完了に自信を示した。日鉄単独で100%取得することが最良の手段であるとし、スキームの変更は考えておらず、6―9月までとしていたクローズの時期も変更しない。森副社長は3月上旬にも全米鉄鋼労働組合(USW)のトップと会談し、一致点を模索する。

森副社長はロイターとのインタビューで、近くUSWのトップと初めて会談することを明らかにした。森副社長は「すでに契約上の不備はないはずだ」と指摘。会談で労組としての懸念点などを聞き、雇用や生産は守りこれが最良の道だということを説明することになる。トランプ前大統領や一部議員の反対については「USWと一致できれば、政治問題ではなくなる。ビジネス面や経済面では反対する人はいない」と述べ、守秘義務を結び、USWとの話し合いを最優先で行っていく方針だ。

日鉄は、今回の買収はUSスチールを強くするための投資だとしている。100%取得することで日鉄の高級電磁鋼板の技術なども全て共有することができるようになるため「米国の中ではゲームチェンジャーになり得る製品。シェアも伸び、収益が上がり、雇用も確実なものになる」と見通す。このため、労組側が懸念するような雇用や生産の削減などのリストラは行うことなく、USスチールの成長は可能だと話す。

高炉で効率的生産を行う操業技術やメンテナンス技術、高炉を使ったカーボンニュートラル技術なども生かせるとした。森副社長は「USスチール、鉄鋼業だけではなく、顧客である自動車産業も強くなる。サプライチェーン全体が強くなり、ナショナルセキュリティーも強くする」と指摘した。このため、日鉄が単独で100%取得というスキームの変更は考えておらず、カーボンニュートラルや将来的なスクラップ需要などを勘案し、高炉・電炉の両方が必要だとした。

当初3月下旬とみていたUSスチールの株主総会は、4月上旬にずれ込む見通しになった。森副社長は、40%のプレミアムが付いた提案だけに「今の株主にとって非常に利益になる話。開かれれば半自動的に決まると思う」と述べた。

次の段階として必要となる独占禁止法についても4月上旬ごろに結論が出る可能性があるほか、約3カ月を要すると見込まれる対米外国投資委員会(CFIUS)の審査を踏まえても「6―9月にクローズできるというスケジュールは変わっていない」と述べた。また、株主総会までにはUSWと一致点を見いだしたいとの考えも繰り返し示した。

今回の買収が政治的圧力で破談となる可能性については、「決まっている手続きで、これを止めることはできない。大統領が超法規的措置で変えてしまうことになるため、予見性のない市場だということを示してしまう」と指摘。「日本からの投資行動に影響が出るし、米国に近い他の国々も警戒してしまう。お互いにものすごくマイナスになる」との見方を示した。

4月に岸田文雄首相が訪米し、日米首脳会談が予定されている。そこで問題提起するよう政府に働きかける可能性については「リクエストする段階ではない」とした。

*インタビューは2月28日に実施しました。

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