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ユーミンが心を揺さぶる秘密は「独特の声の波動」…一流歌手と関わった音楽家が伝えるプロとアマの差

読売新聞 / 2025年1月11日 8時2分

多くの歌い手の魅力を語った武部聡志

 作・編曲家で音楽プロデューサーの武部聡志が『ユーミンの歌声はなぜ心を揺さぶるのか 語り継ぎたい最高の歌い手たち』(取材・構成=門間雄介、集英社新書)を刊行した。松任谷由実や吉田拓郎らと関わり「歌い手を生かすこと」を信条としてきた音楽家が歌の魅力を伝える一冊。武部に話を聞いた。

 「プロとアマの差は非常に大きい。一線のアーティストがどれだけ大きな表現力を持ち、自分の声を理解し、身を削って歌っているか知ってほしかった」

 本書では、松任谷や吉田を筆頭に中森明菜、玉置浩二、MISIA、YOASOBIのikuraこと幾田りら、Ado、藤井風ら50人以上について語る。

 長年関わる松任谷については〈曲のストーリーを伝える力と、独特の声の波動〉に魅力を感じており、特に多くのページを割いた。自身の声質を生かした歌い方で、曲の世界を聴き手に伝えられる人こそ優れた歌い手だと論じる。吉田についても「独自の歌唱を生み出した」とし、玉置は「自らの声や歌の魅力を理解し、届けている」と話す。

 インターネット配信が普及した近年の音楽界や歌い手について「テレビに出なくてもヒット曲が生まれる時代。自己プロデュースがカギとなり、これまでのアーティストに比べて個性が際立っている」とみる。本書に込めた思いについては「僕自身、歌や音楽にたくさん救われてきた。そんな歌に改めて耳を傾けてもらえたら」と明かした。

17日にコンサート「ショッピングモールの歌姫」も登場

 武部がプロデュースするコンサート「Songs for Tomorrow」の第4弾が17日、東京・大手町のよみうり大手町ホールで開催される。

 2部構成で、1部では若手2人を迎え、武部がこれまでプロデュースした曲を中心に名曲カバーを披露する。武部自らのプロデュースで本格的に活動を始動させている堀優衣と、「ファルセットの高い声も魅力で、表現豊かなボーカリスト」と評するSano ibukiが出演し、「若いアーティストが普遍的なポップスをどういう解釈で届けるかが聴き所」と語る。

 2部は、“ショッピングモールの歌姫”と称される実力派シンガー・ソングライターの半﨑美子が武部のピアノ演奏で歌声を届ける。「人の心に直接訴えかけ、心震わす歌が歌える存在です。ベスト・オブ・ベストの選曲でお届けし、彼女の世界を存分に楽しんでいただきたい」と語る。

 コンサートのタイトルには音楽が未来へ響いていくようにとの願いが込められており、武部は「歌の力で皆さんの心を少しでも前向きにできればうれしい」と話している。

 キョードー東京(0570・550・799)。

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