石破首相がインドネシア大統領と会談、中国念頭に安保関係の強化で一致…高速警備艇を無償供与へ
読売新聞 / 2025年1月11日 20時9分
【ボゴール(インドネシア西ジャワ州)=太田晶久】石破首相は11日、インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領とボゴールの大統領宮殿で約1時間50分会談し、海洋安全保障協力を推進することで一致した。日本が高速警備艇を無償供与することや、護衛艦の事実上の輸出などに向け、防衛当局の協議枠組みを創設することを確認した。
東・南シナ海に強引な進出を続ける中国をけん制するため、新興・途上国「グローバル・サウス」の代表格であるインドネシアとの安保関係を強化する狙いがある。
プラボウォ氏は会談で「様々な分野での協力を具体化していきたい」と述べた。首相は会談後の共同記者発表で「国際情勢は複雑さ、不透明さを増している。インドネシアと緊密に連携していきたい」と語った。
両氏は地域情勢について意見交換し、中国やロシアの現状変更の動きを念頭に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化することが重要だとの認識で一致した。
高速警備艇は約10億円相当で、価値観を共有する国に防衛装備品の無償供与などを行う「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の枠組みでインドネシア海軍に提供する。
7日の防衛相会談では、海上自衛隊の護衛艦をベースにした艦艇の共同開発に向け、議論を再開することで合意しており、両首脳は協議枠組みの創設を歓迎した。3回目となる外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を年内に開催することでも一致した。
両氏は、エネルギーの安定供給や脱炭素、重要鉱物などの分野で協力を進める方針も確認。首相は学校の無料給食制度を支援するため、日本の専門家を派遣する考えを伝えた。
インドネシアの行政官約7200人の育成を支援するため、日本とインドネシア両政府は10日、約70億円を限度に円借款を供与することでも合意した。これを踏まえ、11日の首脳会談では、人材の相互往来を強化することを申し合わせた。
一連の日程を終えた首相は政府専用機で帰国の途につき、12日未明に羽田空港に到着する予定だ。
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