前半シュート０本の前橋育英、今大会無失点の東福岡から後半１０分で３ゴール…７年ぶり頂点へあと「１」

５４分、勝ち越しゴールを決め喜ぶ前橋育英・佐藤（右）（１１日）＝松本拓也撮影

　サッカー・全国高校選手権第６日（１１日・国立）――準決勝が行われ、前橋育英（群馬）が今大会無失点だった東福岡（福岡）から３点を奪って３－１で逆転勝ちし、７大会ぶりの決勝進出を決めた。流通経大柏（千葉）は初出場の東海大相模（神奈川）を１－０で振り切り、６大会ぶりに決勝に進んだ。１３日の決勝は２０１７年度大会と同じ顔合わせとなり、前橋育英は初優勝した同大会以来、流通経大柏は１７大会ぶり２度目の頂点を目指す。

　東福岡の中盤での厳しい守備に苦しんで全く好機を作れず、前橋育英は前半、シュート０本に終わった。しかし後半、１０分間で一気に３点を奪って逆転勝利。劇的に流れを変えた立役者が２人いた。

　ハーフタイムに「相手の隙を突け」という指示を受けた佐藤は、それを実現した。４８分、左サイドで猛然とプレスをかけ相手守備陣を混乱させ、こぼれ球を左足でねじ込んだ。５４分には、ゴール左４５度から右足でカーブをかけたシュートを突き刺した。「練習でもあまりない（シュート）。イメージ通りに蹴れた」と、本人も驚く勝ち越し弾だった。

　前線で佐藤らが躍動できたのは、中盤が活性化したからだ。後半開始から投入された白井が、切れ味抜群のドリブルと豊富な運動量で相手の守備を混乱させた。その白井は５８分、ドリブルで前進してオノノジュにパス。折り返しを右足で決めた。「自分の特徴を生かし、攻撃面で貢献したかった」と言う１メートル６１のＭＦは、切り札的存在になっている。

　２０１７年度以来の頂点まで、あと１勝。名将・山田監督のもと強い団結力を誇る前橋育英は、準決勝を最高の内容で突破し勢いを加速させた。（塩見要次郎）

東福岡、痛恨の逆転負け

　先手を取ったのは東福岡だった。１１分、右サイドを駆け上がった塩崎がゴール前に折り返すと、そこに飛び込んだ伊波がワンタッチで流し込み、先制のネットを揺らした。前半は主導権を握っていただけに、後半の３失点での逆転は痛かった。伊波も「何失点しても自分がその分点を取って勝たせてやると挑んだ。それができなくて申し訳ない」と悔しがった。それでも、伝統のサイド攻撃が健在であることを示す試合となった。