NY市場サマリー(20日)リスク選好改善でドル売り、米株最高値
ロイター / 2021年1月21日 7時23分
[20日 ロイター] -
<為替> ニューヨーク外為市場ではドルが主要通貨に対し下落した。この日に発足したバイデン新政権の下で大規模な景気刺激策が策定されるとの期待からリスク選好度が上昇し、ドル売りにつながった。
ドルは豪ドル、ニュージーランドドル、ノルウェークローネなどの資源国通貨に対しても下落。カナダ銀行(中央銀行)が政策金利を据え置き、利下げを実施しなかったことで、米ドルは対カナダドルで3年ぶり安値を付けた。
バイデン氏はこの日、第46代米大統領に就任。米国は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)、景気低迷、気候変動、人種問題などに直面しているが、バイデン氏は団結を強調し、「われわれは民主党と共和党、都市部と地方、リベラル派と保守派の無意味な戦いを終わらせなければならない」と訴えた。
テンパス(ワシントン)のシニア外為ストラテジスト兼トレーダー、フアン・ペレス氏は「先行き不透明性が払拭されれば楽観的な見方が台頭し、世界的な回復の見通しにめどが立つ」とし、 「選挙も、これに関連する事柄も全てが劇的な役割を果たしたが、全てが終わった。バイデン氏が大統領に就任し、米国の景気刺激策に対する期待はこれまでにないほど高まっている」と述べた。
終盤の取引でドルは対円で0.4%安の103.54円。一時は103.45円と、2週間ぶりの安値を付けた。
英ポンドは対ドルで一時1.3720ドルと、3年ぶり高値を更新。その後は上げ幅を縮小し、0.1%高の1.3643ドル。
ユーロは対ドルで0.2%安の1.2106ドル。欧州では新型コロナ変異種の感染拡大が重しになっている。
主要6通貨に対するドル指数は0.1%上昇の90.483。年初からは0.5%上昇している。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米金融・債券市場では、民主党のバイデン氏が大統領に就任する中、国債利回りがほぼ変わらず。20年債入札はやや軟調となった。
10年債利回りは1.090%。
バイデン氏は就任演説で「この時代の試練を通じ、米国は新たに試され、挑戦に立ち向かう」とし、「われわれはきょう勝利を祝う。民主主義が勝利した」と述べた。
新型コロナウイルスワクチンの展開や追加景気対策への期待から、株式相場は堅調。S&P総合500種指数とハイテク株の多いナスダック総合指数は最高値を更新した。
こうした中、20年債入札はやや軟調となり、利回りは1.657%と、入札前取引から1ベーシスポイント(bp)上昇した。
DRWトレーディング(シカゴ)の市場ストラテジスト、ルー・ブライアン氏は、年初から続く利回りの上昇が足元で一服したようだと指摘した。
流通市場で、20年債利回り1.646%と、前日の1.64%から上昇。21日は150億ドルの10年物インフレ指数連動債(TIPS)入札が行われる。10年物TIPS利回りはマイナス1.043%に低下した。
10年物TIPSと通常国債の利回り差で市場の期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は前日、2.113%と約2年ぶりの水準に上昇した。
2年債と10年債の利回り格差はこの日、96.50bpにやや拡大した。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 米国株式市場は続伸し、終値で最高値を更新した。バイデン氏の大統領就任や、ネットフリックスの好決算を受けた巣ごもり関連銘柄への買いが支援材料となった。
ネットフリックスは前日発表した四半期決算で、世界の契約者数が2020年末に2億人を突破したと明らかにした。作品制作などのために借り入れを行う必要はなくなるとの見通しも示し、株価は16.9%高となった。
米IT(情報技術)大手「FAANG」の他銘柄も決算期待から買われ、ニューヨーク証券取引所のFANG+TM指数は4.8%上昇した。
ベアードの投資戦略アナリスト、ロス・メイフィールド氏は「きょうはIT銘柄がアウトパフォームした。景気敏感株への循環が進んでいたことを考えると、ここ2、3カ月ではまれな流れだ」とした上で、FAANGやS&P総合500種のIT銘柄は今後もしばらく好調な四半期決算を出すだろうと指摘した。
バイデン氏の補佐官によると、同氏は20日午後、新型コロナウイルスから経済、気候変動までさまざまな問題に対応する15の大統領令などに署名し、トランプ政権の政策を転換する。
メイフィールド氏は、就任式が株価に大きく影響したかどうかは不明だが、1兆ドルを超える刺激策への期待は間違いなく相場を支えているとの見方を示した。
主要株価3指数は過去数カ月間に最高値を更新しており、ダウ工業株30種は11月の大統領選以降、約13%上昇した。新型コロナワクチンの接種や追加経済対策によって2021年に力強い景気回復が実現するとの期待がある。
20日はS&Pの主要11セクターがほぼ全て上昇。通信サービスや一般消費財、情報技術が上げを主導した。
個別銘柄では、モルガン・スタンレーが予想を上回る四半期決算を発表したものの、株価は0.2%安で引けた。銀行株指数は3日続落となった。
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、新型コロナ流行による清掃用品への好調な需要を受け、通期の売上高見通しを再び引き上げた。ただ、ワクチン接種が進むにつれて売り上げが減速する可能性があるとしたことから、株価は1.3%下落した。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.02対1の比率で上回った。ナスダックでは1.24対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は136億6000万株。直近20営業日の平均は128億3000万株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米追加経済対策への期待などを背景に買いが膨らみ、続伸した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比26.30(1.43%)高の1オンス=1866.50ドル。これは中心限月の清算値ベースで1月7日以来約2週間ぶりの高値水準。
バイデン米新大統領の就任式がこの日行われた。バイデン氏が打ち出した総額1兆9000億ドル規模の追加経済対策案の早急な成立への期待が広がっており、将来的なインフレ高進を見込んだ金買いが相場を下支え。イエレン次期財務長官が前日、上院財政委員会の承認公聴会で、新型コロナウイルス危機の克服を最優先し、積極的に取り組む決意を表明したことも引き続き支援要因となった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 米追加景気刺激策への期待などを背景に買われ、続伸した。納会日を迎えた米国産標準油種WTI2月物の清算値(終値に相当)は前日比0.26ドル(0.5%)高の1バレル=53.24ドルだった。3月物は0.33ドル高の53.31ドルとなった。
バイデン新大統領が掲げる大型経済対策で経済活動の正常化が進むとの期待が高まり、原油が買われた。また、カナダ・アルバータ州から米中西部に原油を輸送する「キーストンXLパイプライン」建設計画をめぐり、バイデン政権が事業許可を撤回する方針だとの報道もあった。
今週末に発表される米エネルギー情報局(EIA)の週間統計で原油在庫の取り崩しが見込まれていることも相場の支援材料。
ただ、外国為替市場では対ユーロでドル高が先行。ドル建てで取引される原油などの商品の割高感につながり、原油の上値を抑えた。
*内容を追加しました
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 103.52/103.56
始値 103.81
高値 103.84
安値 103.45
ユーロ/ドル NY終値 1.2104/1.2108
始値 1.2110
高値 1.2117
安値 1.2078
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*13.00 1.8254%
前営業日終値 95*03.50 1.8390%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*04.00 1.0768%
前営業日終値 97*31.50 1.0920%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.75 0.4406%
前営業日終値 99*20.75 0.4470%
2年債(指標銘柄) 17時01分 99*31.75 0.1290%
前営業日終値 99*31.63 0.1310%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 31188.38 +257.86 +0.83
前営業日終値 30930.52
ナスダック総合 13457.25 +260.07 +1.97
前営業日終値 13197.18
S&P総合500種 3851.85 +52.94 +1.39
前営業日終値 3798.91
COMEX金 2月限 1866.5 +26.3
前営業日終値 1840.2
COMEX銀 3月限 2576.6 +44.6
前営業日終値 2532.0
北海ブレント 3月限 56.08 +0.18
前営業日終値 55.90
米WTI先物 3月限 53.31 +0.33
前営業日終値 52.98
CRB商品指数 175.1443 +0.2975
前営業日終値 174.8468
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