「人の懐にするりと入り込む」方法とは? 38歳、人見知り営業職が同僚を観察して学んだこと
オールアバウト / 2025年1月11日 22時5分
途中入社で入ってきた女性は、人懐こく、取引先からの評判も上々だ。ちょっと観察していると、笑顔を絶やさないのはもちろんのこと、クレームがあっても落ち着いて代案を出せているし、とにかく人の話をよく聞いて、話題を掘り下げるのが得意なのだ。
仕事でもプライベートでも、するりと人の懐に入り込める人がいる。いつしか相手も心を開いてしまうのだろう。天性の人懐こさをもっているのかもしれないが、そういう人が使う言葉を観察していたら、自分も人と付き合うのが楽しくなってきたという女性がいる。
人見知りで、つい観察してしまう癖
「私はどこか人見知りなところがあって、営業職なのに自分から相手の懐に飛び込めない。なんとなく人を観察してしまって、相手にも警戒心を与えちゃうんですよね」カオリさん(38歳)はそう言う。ところがそんなカオリさんの同僚となった中途入社のマリエさんは、仕事を始めるなり、取引先に「おもしろくていい人が入ったね」と言われるような存在になった。
「彼女、確かに部内でも話しやすい、ざっくばらんと評判だったんです。感じのいい人でなおかつ話していておもしろい、しかも彼女と話すとなんだか気持ちがいい。それでしばらく彼女を観察することにしました」
いい笑顔で、苦情にも動じない
まずは笑顔がいい、とカオリさんはマリエさんを見ていて感じた。どんなときでも笑顔で挨拶を欠かさない。ニコッと笑ったとき、顔がくしゃっとなるのも見ていて心が和んだ。「笑うときってかっこつけなくていいんだと思いました。しかも彼女、必ず相手の名前を呼ぶんですよ。○○さん、お元気でしたか、○○さん、ごぶさたしてます、というように。名前を呼ばれると人ってうれしいものなんですよね」
苦情に近い言葉を聞いても動じないのがマリエさんのすごいところでもあった。まずじっくり聞いて、「その先」を話すのだ。
「例えば商品が欠品になったとき。『いつ入るの、早く欲しいんだよね』という相手に、彼女はきちんと謝罪してから、入荷見込みを伝える。その後、『ひょっとしたら他の倉庫や他店にあるかもしれないので探してみますね』とか『似たような商品があるので、こちらお試しになってみませんか』とか、何かしらの代案を相手に出していく。
似たような商品を相手が見てみたいと言ったら、サンプルを差し上げてしまう。そうなると相手もそれ以上の苦情は言いませんから、結果、他の商品まで契約してくれることもある」
彼女はいつも「損して得とれって言うじゃない?」と言うそうだ。
飲み会でも感じがいい彼女
飲み会やプライベートな集まりでも、マリエさんの話術は光っていたという。「会社の飲み会では何度も彼女の気配り上手は見ていたんですが、仲よくなってから彼女に『友人を連れていく飲み会があるんだけど行ってみる?』と誘われたんです。合コンというわけじゃないんだけど、とにかく異業種の人たちが集まる会だと言われて行ってみたんです。彼女はそこでも歓迎されていました」
最近、何かはまっていることある? と出席者に聞かれたマリエさんは、「今は昭和のディスコですね」とさらりと言った。
「え、どこにあるの、いつ行くの、私も行きたいという人が続出、彼女はどういうところかを説明しながら、1度行ってほしいなあ、みんなで行きます? ということになって、いつ行くかが決定していました。人がどういうことに興味を持つか、どう言ったら興味を持たれるかがわかってるんでしょうね」
自然な流れで相手に話させるスキル
さらに彼女が決定的に人を惹きつけるのは、意外と自分から「私はね」と言わないところだとカオリさんは発見した。自分のことを話しているようで、実際は相手に自然と話させているのだという。「風邪が流行ってるよねと誰かが言ったんですよ。そうしたら『○○さんは、いつも元気ですよね。何か秘訣があるんですか』とすぐに相手に話を振る。珍しい姓の人がいたんですが、出身地を聞いたりルーツを尋ねたり。相手が自分に興味をもってくれていると思うんでしょうね、うれしそうに話していました。
それをニコニコと聞いている。あとから彼女に聞いたら、『私、人の話を聞くのが好きなのよ』って。『自分とは違う人生を歩んでいる人の話っておもしろいじゃない?』とも言っていました」
無理に人に興味をもとうとしなくてもいいと思う、私は人の話が好きなだけだからと彼女は言ったそうだ。
「私も興味はあるんですよ、でもこれを聞いたら失礼かなと怯んでしまう。マリエさんは怯まないんですよね。ニコニコ笑いながら直球で聞いてしまう。珍しい姓の人にはルーツを聞いたあげく、家族に関しての質問まで連発。
その人は『いやー、両親は離婚しててさ』なんて平然と話したあげく、『あれ、オレ、なんでこんなことまで言ってるんだろう』と。でも話してすっきりしたとも言っていました。初対面なのにわりとぐいぐいいくんですよ。しかも相手はぐいぐい入られても平気、むしろ話して気持ちがよかったという。マリエさんって不思議な人だなと思いました」
だが、実はマリエさん、極度の対人恐怖症だった時代もあったとカオリさんに話したそうだ。それが嫌で、いろいろな場に出かけて克服したのだとか。
「私も今、どういう表現をしたら人は気軽に話してくれるのか、こちらからどう問いかけたら人は警戒しないのか。それを試しているところです。上っ面の言葉だと人は心を開かない。人に誠実に向き合うことが大事なのかもしれないと分かりかけてきたところです」
人間関係は難しい。だが難しいと嘆いていても何も変わらない。カオリさんは、マリエさんのおかげでほんの少し、自分が変わったような気がすると明るい笑顔を見せた。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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