「北朝鮮問題」はどうやって解決する? 堀潤が解説
ananweb / 2017年7月6日 12時0分
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「北朝鮮問題」です。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は今年に入り、弾道ミサイルを頻繁に発射。国連安保理はさらなる経済制裁を加えると6月頭に発表しました。日本やアメリカは北朝鮮との国交を絶っており情報も限られますから、「世界で孤立した国」というイメージがあります。ところが実際の北朝鮮は、世界の国や地域の80%以上と国交を持ち、首都ピョンヤンには24か国が大使館を置いており、なかにはイギリスやドイツなどの先進国も入っています。北朝鮮と一番関係の深い国は、建国の支援もした中国。昨年の貿易の90%以上が中国相手なのだそうです。ただ、秘密裏に武器を製造。複数の国に輸出して、タックスヘイブンを使い、資金を得ているとも言われています。
北朝鮮における一番の問題は、1948年以来続く、金家の圧政です。現在は、3代目の金正恩(キム・ジョンウン)が最高指導者。表向きには経済発展しているとアピールしていますが、市民の生活は困窮しており、飢餓や栄養失調が深刻化。社会活動は朝鮮労働党によって統制され、反国家的な活動や異議を表明すればただちに処罰。重大な政治犯罪に関われば、公安や司法の決定なしに、家族も政治犯収容所に送られます。現在、8万~12万人の政治犯が拘束されているそうです。国連は3年前、金正恩に対して、人道に対する罪で勧告を行い、国際刑事裁判所への出頭を求めました。ところがこれに対し、北朝鮮はミサイル発射実験をして反発したのです。
北朝鮮が核実験やミサイル発射を続けるのは、世界の大国と対等に渡り合える強国であることを国民に誇示するためだと言う専門家もいます。金体制を崩壊させ、国民の生活を守るのか、金体制継続を保障する代わりに挑発行為をやめさせるか。日本人拉致問題を解決するにも、金正恩がどういう人物で何を考えているのか、直接会い、対話してみないことには交渉の糸口も見つかりません。不可解な行動をとる国ではありますが、そこには、何も知らずに自由を制限され、苦しい生活を強いられている国民がいることを忘れないでください。それは、何も知らずにお国のために、と戦わされた76年前の日本人の姿にも重なります。
堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN
※『anan』2017年7月12日号より。写真・中島慶子 文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
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