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地動説がテーマの『チ。』がアニメに! 原作者も太鼓判のOPにも注目を

ananweb / 2024年10月7日 21時0分

地動説がテーマの『チ。』がアニメに! 原作者も太鼓判のOPにも注目を

2022年、「第26回手塚治虫文化賞」でマンガ大賞を受賞した『チ。―地球の運動について―』が、アニメになって帰ってくる。

受け継がれる情熱が刻まれたアニメ。

10月よりNHK総合テレビで放送が始まるが、原作者の魚豊さんは『進撃の巨人』や『映像研には手を出すな!』『日常』を挙げ、「僕が大好きなアニメを多く放送してきたNHKで放送されることが嬉しいです」と語る。本作は地動説を探究し、権力に弾圧されながらも真理を受け継ぐ人々を描いた大河ドラマだ。そもそもなぜ地動説を取り上げたのか。

「地動説を提唱した天文学者の名をとった“コペルニクス的転回”という言葉があります。発想が180度変わる劇的な変化のことですが、イノベーションって一人の天才が主導するわけではなくて、いろんな場所でいろんな人が無意識にコラボレーションした結果で。そんな知性のダイナミズムを描きたかったです」

この大作をわずか8巻で完結させた手腕にも驚くが、魚豊さんとしては妥当な巻数だそう。

「物語には適切な長さがあります。本作は人間ドラマですが個人的には主人公が1人なら3巻が限度。だから登場人物を入れ替えました」

他方で、全編にわたって登場するのが異端審問官のノヴァクだ。アニメでは津田健次郎が声優を担う。

「地動説の信者を弾圧するノヴァクは、この物語の監視者でもあります。作中で物語を俯瞰できるキャラには、フィクションを引き締め、箱庭感を出す役割がある。箱庭だからこそ読者はフィクションを受け入れやすくなると思いました」

魚豊さんは、アニメ化に際して一切意見しなかったという。「僕の手を離れて監督のものになったので」という言葉は、制作会社マッドハウスへの敬意と信頼の表れだ。

「僕は自分の好き勝手に描くアマチュア的な作家ですが、マッドハウスさんの制作工程はプロそのもの。僕の趣味の産物が、システムに乗って高純度のアニメという工業製品に生まれ変わる現象は面白かったです」

魚豊さんの唯一の希望が牛尾憲輔さんの起用だ。牛尾さんは『DEVILMAN crybaby』や『チェンソーマン』『リズと青い鳥』などの劇伴を手がけてきた。

「音楽は漫画にない要素なので、自分の好きなものが聴きたくてお願いしました。舞台である15世紀の聖歌を楽譜からサンプリングしたり、地球の公転周期を踏まえたBPMやリズムを取り入れたり、『チ。』を深く理解した音楽を提供してくださり感激です。牛尾さんカラーも色濃いので劇中で鳴るのが本当に楽しみです」

取材時、本編を未見だった魚豊さんだが、唯一チェックしたオープニングに感動したという。

「子供の頃、アニメのOPにワクワクすると同時に切なくなったことを思い出しました。大勢の人たちが一生懸命作った作品も、終わることが決まっている。その儚さが蘇る素晴らしいOPでした」

こうして創作への情熱も時代を超えて受け継がれていく。

『チ。―地球の運動について―』 宇宙の中心が地球だった時代。弾圧を受けながらも真理に魅入られ、命がけで「地動説」を探究する者たちがいた。10月5日からNHK総合テレビにて毎週土曜23時45分放送開始予定。出演/坂本真綾、津田健次郎、速水奨ほか。
©魚豊/小学館/チ。―地球の運動について―製作委員会

うおと 漫画家。100m走に命を燃やすスプリンターを描いた『ひゃくえむ。』で連載デビュー。同作は2025年に劇場アニメとして公開予定(監督は『音楽』の岩井澤健治)。最新作は陰謀論をテーマにした『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』(既刊4巻・小学館)。

※『anan』2024年10月9日号より。インタビュー、文・安里和哲

(by anan編集部)

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