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10万円で10日間、東南アジアを何ヵ国まわれるか挑戦してみた 不正徴収の上に現金すべてを盗まれて悲しみのビール5杯目(7ヵ国目:ラオス)

ASCII.jp / 2024年3月6日 7時30分

メコン川はこんなにも美しいのに……

 円安やインフレの影響を乗り越えて「東南アジアを10万円・10日間で何ヵ国まわれるか?」という企画チャレンジ、シリーズ第6回です。前回はタイ・バンコクから寝台車で北へと向かい、ラオスとの国境に近いノーンカーイ駅までやってきました。

7日目(2023年12月26日) ラオスの首都ビエンチャンへ

 タイのノーンカーイ駅に到着したのは早朝の6時半頃。ここから国境を抜けて、ラオス人民民主共和国の首都・ビエンチャンへと向かいます。国境までは徒歩でも20分ほどの距離なので、歩いて行くルートでもいいのですが、それは過去に何度か経験済み。今回は鉄道での国境越えにチャレンジしてみます。

 ラオス側のタナーレーン駅とは線路がつながっていて、鉄道で国境越えが可能です。ただし、1日2往復しか運行しておらず、タイのノーンカーイ駅からは7時30分発と、14時45分発の2便のみです。

 鉄道の出発までは1時間ほどあるので、まずは駅のキップ売り場でタナーレーン駅までのチケットを購入します。料金は20バーツ(約80円)。ちなみにキップ売り場にクレジットカードの決済端末はあったのですが「支払いは現金のみ」と言われてしまいました。

タナーレーン駅のキップ売り場

国際列車に乗り込んで 国境が変わる瞬間を楽しもう

 しばらく駅のホームで待っていると、7時過ぎに出国カウンターがオープン。ここからまずはタイの出国手続をします。手続が終了したら、ホームに停まっている国際列車に乗り込みます。国際列車といっても、客車として3等車が2両だけの簡素なもの。豪華さはまったくありません。

国際列車の案内板があり、その先が出入国審査のカウンター
国際列車と聞こえはいいですが、かなり古さを感じる客車です

 列車は定刻通り7時30分に出発。数分走るとメコン川に架かる橋に差しかかりました。橋にはタイの国旗がはためいており、川の真ん中にある国境を越えると、ラオス国旗が見えてきます。陸路での国境越えは、こんな風に国が切り替わる瞬間を体感できるのが楽しいんですよね。

タイとラオスの友好橋の途中には、国境を示す看板があり、それを越えてラオスに入るとラオス国旗が見えてくる

 そのままラオス側を数分走行すると、国境駅でもあるタナーレーン駅に到着。正味15分ほどではありますが、国境を越える国際列車を楽しむことができました。

 (次ページ:入国した途端にトラブル発生)

入国した途端にトラブル発生 払う理由がないお金を徴収された(泣)

 タナーレーン駅にもホームにカウンターがあり、ここでラオス入国の手続をします。ここでひとつトラブル発生。入国手続きをしている最中に係員から「20バーツ(約80円)」と言われて、朝も早くて眠かったのと、この後の移動のことを考えながら対応していたため、言われるがまま払ってしまいました。

タナーレーン駅のホームと出入国管理カウンター

 後から気付いたのですが、この「20バーツ」、払う理由がないんですよね。何のための徴収かの説明もありませんし、レシートも出ません。入国係官の不正徴収です。陸路での国境越えは、いまだにこういったことがあるので注意です。きっぱりと断ると向こうも渋々と諦めるケースも多いようですが、正規の費用なら諦めることはないので、やはり不正徴収でしょう。ちなみに駐日ラオス大使館に対して、この件についてメールで質問を2ヵ月前に送っていますが、返答はありませんでした。

 こういった旅のトラブルは「騙されるほうも悪い」という側面もあるので、気を取り直して移動を開始します。(後にも別のトラブルに見舞われるのですが……)

ラオス独自のライドシェア 「LOCA」を使って宿に移動します

 タナーレーン駅はラオスの首都ビエンチャン郊外にあり、直線距離で13kmほど離れているため、街中まで歩いてアクセスするのは大変です。駅にはタクシーの客引きもいますが、現地通貨をまだ持っていないこともあり、ライドシェアを使うことにしました。

 東南アジアのライドシェアは「Grab」が一般的ですが、ラオスではサービスを提供していません。そのかわりラオス独自の「LOCA」を使います。サービスはラオスだけですが、アプリのダウンロードやアカウントの登録は日本からも可能なので、事前にセットしておきました。

ライドシェアサービスのLOCAを使って街中へ移動

 ちなみに最近は海外に出かける際に、その国やエリアでどこのライドシェアが使えるのか? もしライドシェアがない場合は、タクシーアプリがないかチェックしてから行くようにしています。タクシーの場合、行き先を告げたり料金交渉がめんどうなんですよね。ライドシェアやタクシーアプリが使えれば、そのあたりのめんどうを解消できるので、スマートな移動には必携です。

 まずは宿まで移動して、バックパックを預けて軽装になり、さらに25kmほど離れたビエンチャン駅へと移動します。ちなみにLOCAの移動料金はタナーレーン駅からビエンチャン中心部までが、現地通貨ラオスキープで213135.2キープ(約1475円)、ビエンチャン中心部からビエンチャン駅までが202546.81キープ(1401円)でした。

 市内中心部から離れた北部郊外のビエンチャン駅は、中国ラオス鉄道の終点駅。名前のとおりラオスの北側で中国とつながっており、現在は中国の昆明南駅と国際列車も運行されています。

漢字だと「万象」と書くビエンチャン駅

北部郊外にあるビエンチャン駅から 「中国ラオス鉄道」に乗ってみよう

 このまま中国へ移動……も考えたのですが、中国のビザは取得するのに手間がかかるため、今回は断念。とはいえ、この中国ラオス鉄道は開業が2021年12月とコロナ禍の最中だったため、この旅で是非とも乗ってみたかったんですよね。

 そこで、速達列車でラオス中部の鉄道駅、バンビエン駅までのひと駅だけ乗車し、またビエンチャン駅に戻ってくることにしました。チケットは東南アジアではおなじみの「12Go」を利用。料金は日本円での決算のため、ビエンチャン駅→バンビエン駅が3065円。バンビエン駅→ビエンチャン駅が4125円です。同じ距離なのに料金が違うのは、ビエンチャン駅→バンビエン駅は2等車、バンビエン駅→ビエンチャン駅は1等車を予約していたため。ところがビエンチャン駅→バンビエン駅は2等車が満席だったためか、料金変わらず1等車のチケットが送られてきました。

 ちなみに、ビエンチャン駅〜バンビエン駅間の正規料金は、1等車で16万4000キープのようで、日本円に換算すると約1180円。つまり、12Goで購入するとかなり割高だということがわかります。現地駅でのチケット窓口やラオス国内駅の移動ならアプリからも購入可能ですが、チケット窓口の営業時間が決まっていたり、支払いも現金だったり、中国系のキャッシュレスしか決済方法がないので、意外とハードルが高いんですよね。人気の列車は早めに売り切れてしまうことが多いので、12Goを使うか現地で買うかは、非常に悩ましいところです。

時間にならないと改札が始まらないので、並んで待ちます
乗車は「僧侶優先」なのが、仏教国のラオスらしいところです

 (次ページ:ワゴン販売が楽しい中国ラオス鉄道)

ワゴン販売が楽しい中国ラオス鉄道 乗車チケットはQRコード

 中国ラオス鉄道は、中国主導で建設されたこともあり、中国の高速鉄道に車両も運用もかなり似ています。駅に入るときに手荷物チェックがあり、ホームへは列車が到着する少し前まで入れません。チケットはQRコードになっていて、往路のビエンチャン駅→バンビエン駅は、PDFが送られてきたので、スマートフォンに表示して読み込んでもらいます。

 1等車の座席はかなりゆったりで、電源やUSB端子も用意されていました。また、日本では少なくなったワゴン販売も車内に回ってきます。ただ、ケータイの電波状況はあまりよくなく、ほぼ圏外か超低速でした。

速達列車に使われる瀾滄号 (Lansan)
1等車は2席×2の配列
肘掛けと足下に電源コンセントとUSBポートがありました
ワゴンでの車内販売もあります
車内販売で購入したソーセージ(3万2000キープ/約221円)。中華風でちょっと甘め

帰りの切符はなぜかレストラン受け取り 急ぎ足で駅に戻ります

 バンビエン駅には1時間弱で到着しました。いったん駅を出て、歩いて15分ほどのレストランへと向かいます。というのも復路のバンビエン駅→ビエンチャン駅のキップは、このレストランでの受け取りになっていたためです。往路はメールでPDFが届いて、復路はなぜ受け取りなのか謎ですが、復路の列車も1時間後に迫っているため、急ぎ足でチケットを取りに行って、駅まで戻ります。

バンビエン駅からのチケットは、駅から徒歩15分のレストランで受け取り。店頭には12Goの旗がでていました
バンビエンも風光明媚な場所で、景色は最高でした!

 ちなみにビエンチャン駅もバンビエン駅も駅の作りは同じ感じ。ビエンチャン駅のほうが若干大きく売店の数も多めでしたが、中も外も見た目は変わりません。またどちらの駅も街の中心部から離れた位置にあり、旅行者のアクセスはしにくいです。

こちらはバンビエン駅。駅の見た目はビエンチャン駅と似ている
バンビエン駅の売店
車内では売店で購入したラオスビールのダーク(ビアラオダーク)を飲みました。一缶2万6000キープ(約180円)です

高速鉄道は貨物運送がメインで 中国の「一帯一路」構想が見え隠れ

 どうせならもっと街に近いところに駅を作れば……とは思いますが、この中国ラオス鉄道はどちらかというと、旅客運送より貨物運送のほうがメインのようです。中国の提唱する「一帯一路」構想ですね。実際、バンビエン駅には「中国鉄路/CHINA RAILWAY」とペイントされたコンテナを大量に積んだ貨物列車が停車していました。

 また旅客駅としてはビエンチャン駅が終点ですが、貨物駅はラオスに入国した際に使ったタナーレーン駅近くにあるビエンチャン南駅が終点。中国ラオス鉄道とタイ国鉄は線路幅が違うため、直接乗り入れはできないものの、ここで貨物を積み替えてタイへと列車で輸送できます。中国ラオス鉄道は、中国による経済進出のパワーを実感できる路線、というわけです。

中国ラオス鉄道を使って、中国から大量の物資を輸送している

 陸路で中国へとつながっている路線ですので、いずれ中国のビザが取得しやすくなったら、是非とも乗車での国境越えにチャレンジしたいところ。街全体がユネスコの世界遺産として登録され、ラオス国内で随一の観光スポットとして人気の、ランサーン王国が成立した古都・ルアンパバーンへも中国ラオス鉄道でアクセスできるので、ラオスに再訪した際にはまた乗ってみたいと思います。

晩ご飯はラオス風焼き肉のシンダート。ビール2本とあわせて23万5000キープ(約1642円)でした

 (次ページ:ベッドの上に不審な50円玉……イヤな予感)

シャワーヘッドが壊れたホテルは ドミトリーで約899円

 中国ラオス鉄道での往復を終えて、宿に戻ったら、翌日の移動に備えます。今回もドミトリーで料金は6米ドル(約899円)でした。部屋はかなり狭めで、そこに2段ベッド4つを押し込んだ8人部屋。トイレやシャワーは清掃されているものの、シャワーヘッドが壊れていたりとボロさが目立ちます。ただ、この価格で"朝食込み"だったのは、移動続きなことを考えればありがたいところです。

899円と安いので、部屋はそれなりに狭いです
ベッドの下にロッカーがありました
枕元には電源コンセントもあるので充電などができます
なんと、シャワーヘッドが壊れたままでした

朝ごはんを食べ終えた後でトラブル発生 現地通貨がごっそり盗まれてしまった

 というわけでフロント前のロビーで朝食を食べて、そのままパソコンを開いてチェックアウトまで作業をしていたのですが……ここでトラブルが発生!

玉子とトーストだけでさすが、朝食込みなのは節約旅に助かる

 宿を出るために部屋に戻ってみると、自分のベッド回りが整頓されています。ふとベッド上をみると、日本円の50円玉が落ちていました。もしかして、これは着替え用のジーンズのポケットに入れていた、小銭入れのお金なのでは……。

 イヤな予感がして、ジーンズから小銭入れを出し、中を見てみると……やられました。中に入れていた現地通貨がごっそりなくなっています。同室に居た人に聞いてみると、ハウスキーパーがベッドの上を触っていたとのこと。同室の人がウソをついている可能性もありますが、怪しいのはハウスキーパーです。

小銭入れをみると、日本円だけ残してすっからかん

 ひとまず、フロントにクレームを入れに行きましたが、けんもほろろで取り合ってくれません。小銭入れに入れていたのは、日本円で1500円程度で、幸いスマートフォンも含めて、そのほかの貴重品はすべて持って食事に出ていたので被害はありませんでした。とはいえ小銭入れに入れていた現地通貨は泣き寝入りに……。くやしいので、盗まれた以上に飲んでやろうと、ラオスビールの「ビアラオ」をがぶ飲みし、気がつくと大小あわせて5本も飲んでいました。

これぞヤケ酒です!!

 旅も後半に入って、気を抜いてしまっていました。ラストも近いので気を引き締めて次の目的地へ移動となりますが、その話は次回ということで。

 以下は、ここまでかかった費用です。

■移動予算10万円(国境越えや長距離移動+宿代) 移動予算10万円(国境越えや長距離移動+宿代)  国際列車(ノーンカーイ駅→タナーレーン駅):80円  宿代:899円  合計:979円  前回までの費用:6万4303円  残金:3万4718円

※そのほか滞在費など(予算に含めず)  入国不正徴収:80円  LOCAクルマ:1475円  LOCAクルマ:1401円  ラオス中国鉄道往路:3065円  ラオス中国鉄道復路:4125円  ラオビアダーク缶:180円  ソーセージ:221円  LOCAクルマ:1469円  晩飯シンダート+ビール2本:1642円  昼飯ビール大3小2:1877円  合計:1万5535円(累計:6万5312円)

※レートは支払時のものです。

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

  • 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
  • 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)

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