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おいしそー! ANA便の機内食には、コンテスト優勝メニューが登場するって知ってた?

ASCII.jp / 2024年3月20日 7時30分

おいしい機内食が出ると得した気分になりますよね(こちらは旅先で食べた機内食の一例です)

 機内食は飛行機を使った旅行の楽しみのひとつ。フライト時に美味しい機内食が食べられれば、それだけで旅のテンションが爆上がりです。そのため各航空会社は機内食の品質向上に力を入れています。

航空会社ごとに工夫を凝らした機内食たち

よりおいしい機内食のために開催される ANAC「レシピコンテスト」とは?

 例えばANAのグループ企業で、ANA便などに機内食やラウンジの料理を提供しているANAケータリングサービス(ANAC)は、機内食のクオリティーアップをめざし、毎年「レシピコンテスト」を開催しています。そこで今回は3月13日に開催された「第9回レシピコンテスト 和食・製菓部門」の様子を見学してきました。機内食がどのような狙いで作られているのか、舞台裏をお届けします。

 ANACのレシピコンテストは、洋食・和食・製パン・製菓の4部門あり、2023年度の洋食・製パン部門は2023年10月に開催。今回は2023年度の和食・製菓部門の最終選考会となります。

 このコンテストの応募資格は正社員・パートを含む全従業員で、調理部以外でも応募は可能。これは、社全体で機内食の品質向上に目を向けるという意味があるそうで、今年度は4部門で合計63作品の応募があったとのこと。

 応募レシピはANACの調理統括部長・各調理部長による1次選考(書類審査)を実施し、ファイナリストを選出。ANACの各部門の統括担当者やWEB投票(2次選考)もあり、WEB投票で得た得票数と最終選考会の得点を合わせて最優秀賞が決まります。

おいしさはもちろんのこと 見栄えや原価も採点されます

 最終選考の審査員はANACの石田洋平社長や清水誠総料理長のほか、ANACで各部門の統括担当者やANAの商品企画部 黒田恭良担当部長など16名。審査のポイントは「料理説明・見栄え・独創性・美味しさ・原価」の5つ。美味しさやこだわりだけでなく、料理説明を通してのプレゼンテーション能力や、ビジネス面としての原価設定もチェックされています。

審査員も真剣に食べて審査。ファイナリストが順番に自分のレシピをプレゼン!
審査員に配布された採点用紙。味だけでなく、原価や盛り付けなども採点され、総合点で優勝が決まる方式です

今年はビジネスクラス向けの オリジナル創作料理で勝負!

 和食・製菓部門でファイナリストに選ばれたのは、こちらの5つのレシピです。ビジネスクラスですので、盛り付けによる見た目の綺麗さも重要。ビジネスクラスでは、こんな彩り豊かな機内食が提供されるんですね。

1.春の訪れを感じる旬野菜を使った主菜/調理統括室 和食統括部 岡本大祐さん作
2.韓国風牛肉の醤油煮と彩り野菜の焼き上げ/川崎工場 和食調理部 鎌田悠介さん作
3.秋の彩り暖か包み/成田工場 和食調理部 押領司恵実さん作
4.赤矢柄のすーぷ餡掛け/成田工場 和食調理部 石井啓太さん作
5.銀鱈の照り焼き、海老と蓮根餅の生春巻き揚げ沢庵タルタル添え/成田工場 和食調理部 中谷健二さん作

 和食部門のテーマは「オリジナル創作料理〜主菜〜」となっており、レギュレーションは原価設定のみでほぼ自由。前回までは素材や季節など細かな設定があったのですが、今年は"機内食という枠を飛び越えるような発想"を期待して、あえて自由にしたとのこと。またビジネスクラス向けの機内食を想定しているので、ビジネスクラスで実際に提供する際に使用される器と、ファイナリスト自らが選んだ器、それぞれに盛り付けされています。

手前がビジネスクラス用の器で、奥がファイナリストの選んだ器

 テーマが自由ということもあり、川崎工場 和食調理部の鎌田さんは、あえて「韓国風」の牛肉料理でチャレンジ。パートナーが韓国出身者とのことで、「日本の醤油を使っていれば和食」とのお墨付きを得て応募したそうです。

 また成田工場 和食調理部の石井さんのレシピでは、魚の赤矢柄(アカヤガラ)を使用。赤矢柄は、体長2mほどの大きな魚ですが、お吸い物などには使われるものの、焼き物としてはあまり馴染みがなく、市場で入手するのも手間がかかる食材。石井さんはその赤矢柄を「(実は)焼いても美味しい」と、あえて食材として選んだとのことです。

 (次ページ:オリジナルショコラを使った極うまデザート対決)

製菓部門はオリジナルショコラを使った 極うまデザート対決!

 お次は、デザートとして欠かせない製菓部門。ファイナリストに選ばれたのは、下記5つのレシピです。

下段左から1.ショウガ香る アプリコットとホワイトチョコムース/羽田工場 ペストリー部 渡部勇輝さん作、2.チョコバナナのムース ミルフィーユを添えて/羽田工場 ペストリー部 犬飼恭兵さん作、上段左から3.3種のチョコとレアチーズのヴェリーヌ/羽田工場 ペストリー部 亀井勇斗さん作、4.柚子と洋梨のANAホワイトチョコムース/羽田工場 ペストリー部 中原祐基さん作、5.ANAオリジナルチョコレートと無茶々園産青切りミカンのムース/料飲部 羽田ラウンジ課 田中文彦さん作

 今年の製菓部門のテーマは「ANACオリジナルショコラを使用したビジネスクラスのデザート」。ANACオリジナルショコラは、ANACの相田紀昭シェフが考案したチョコレートで、豆の選定やロースト方法などこだわって作られた逸品。すでにANAの国際線便のビジネスクラス(日本発)で、一口菓子として提供されているチョコレートです。

 羽田工場 ペストリー部の犬飼さんは、お祭りの屋台などで人気のチョコバナナをイメージしたデザートを考案。また、同じく羽田工場の中原さんは、ビジネスクラスの料理がコースになっていることを考慮し、濃厚なチョコレートをアクセントにしつつ柚子と洋梨で酸味を加えた、食事のあとでもさっぱりと食べられるムースに仕上げたとのことです。

盛り付けも重要な審査ポイントに。皆、真剣に点数をつけていきます

最優秀に選ばれたメニューは 2024年に機内食で登場します!

 最終審査を終え、和食部門は「赤矢柄のすーぷ餡掛け」、製菓部門は「柚子と洋梨のANAホワイトチョコムース」が最優秀賞として選ばれました。和食部門の優勝者である石井さんは、受賞後のインタビューで「和食部門みんなの協力あってできたもの」と話しており、ANACが目指している社員全体の意識向上というのが根付いていることがわかります。

和食部門で最優秀賞を受賞した石井さんの「赤矢柄のすーぷ餡掛け」
製菓部門で最優秀賞を受賞した中原さんの「柚子と洋梨のANAホワイトチョコムース」

 製菓部門で勝利した中原さんは、もともと「世界中の人に自分のデザートを食べて頂きたくて、この会社に入りました」と受賞を喜んでいました。

 最優秀賞に選ばれたレシピは、2024年度内に機内食もしくはラウンジで提供される予定。私たち空港/飛行機利用者も今回の受賞レシピを口にできるチャンスがあるので期待大です。

最優秀賞を受賞した石井さん(左)と中原さん(右)

 取材中、筆者もいくつかのメニューを試食させてもらいました。和食の優勝レシピで使われていた赤矢柄の焼き物は、 餡掛けということもあり口に入れたときの食感も良く 確かに魚の旨味が凝縮されている感じで、日本酒と合いそうです。

 また製菓部門の優勝レシピは、説明の通り食べると口の中をリセットするようなサッパリした酸味が感じられて、このあたりが5種の和食主菜をしっかりと食べたあとの審査員に好感だったのではと思わせます。個人的には、優勝は逃しましたが、製菓部門の「ANAオリジナルチョコレートと無茶々園産青切りミカンのムース」が、サクサク、パリパリ、しっとり、とろけると、ひとつでいろいろな食感が感じられて、食べるのが楽しいデザートとして気に入りました。

 いずれのレシピも美味しく、機内で出てきたら大満足できるもので、コンテストのレベルの高さが伺えました。こうして日々機内食のクオリティー向上に向けて取り組んでいるのがわかると、機内食がより楽しみになりますね!

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

  • 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
  • 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)

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