岡田将生が嫌われ役に挑む理由 凶悪殺人犯役は「トンネルの中にいる感覚」
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年3月3日 8時2分
2021年公開の映画『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞国際長編映画賞(旧:外国語映画賞)を受賞し、昨年は2本の主演映画が公開されるなど、充実した30代を過ごす岡田将生(34)。新作は、中国でドラマ化され社会現象となった小説を、舞台を沖縄に置き換えて映画化するサスペンス『ゴールド・ボーイ』(3月8日公開)。本作で凶悪殺人犯役に挑んだ岡田が、いわゆる嫌われ役や悪役に果敢に挑む理由を語った。
原作は、中国の動画サイトで「バッド・キッズ 穏秘之罪」(全12話)としてドラマ化され、総再生回数が20億回を超えたズー・ジンチェンの小説(※iQIYI JAPAN調べ)。映画『ゴールド・ボーイ』は、有名企業の会長夫婦を崖から突き落とした婿養子・東昇(岡田将生)の事件が、少年少女(羽村仁成・星乃あんな・前出燿志)に思わぬ形で目撃されたことから予想外の展開を遂げるさまを追う。『DEATH NOTE デスノート』の金子修介監督がメガホンをとった。
主人公・東昇を演じた岡田は、「この役に惹かれる気持ちがあり、そこに嘘はありませんでした。ただ自分自身とあまりにも違い過ぎて共感できる部分がほとんどなく、精神的に削られていく感覚があって。迷いながら演じ続け、なかなか光が見えない。まるでトンネルの中を歩いているようでした」と撮影を振り返る。
それでいて東のことを、「圧倒的な悪だとは思えなくて」と岡田。裕福で傲慢な大学生を演じた『悪人』(2010)、女性関係で問題ありの青年を演じた『伊藤くん A to E』(2018)、生徒に心無い言葉を吐く中学教師を演じた『星の子』(2020)など、これまでに何度か演じてきた“悪い役”では基本的にいつもそうで、「僕は、演じるうえで自分のなかで正当化してお芝居するという癖のようなものがあります。今回ももちろん東のやっていることは非道で、ダメな部分はたくさんありますが、彼は彼なりの正義を持って行動していると信じて演じていました」と続ける。しかも金子修介監督はあまりテイクを重ねないため、「現場に行ったら、ずっと東のモードになっていた」そうで、「プライベートで家族やマネージャーに対しても、いつもより少し言葉がキツくなっている自分に気づいて。嫌気が差しました……」と苦笑い。それほど役に入り込んでいたそう。
そんなふうに自身も消耗することをわかっていながら嫌われ役や悪役などを多く演じるのは、「やはりこういう役を成立させるのは大変で、それでいて、この仕事の醍醐味のひとつでもあるから」と岡田。「共感できない役ならではのやりがいがあり、現場でチャレンジングなことが出来たりする。正解が何かはわからないので迷いながら、監督と話し合いながらつくっていく作業が好きなのかもしれません」と自ら分析する。
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