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初恋の相手と夫…三人の男女で描く縁の物語 注目の女性監督が語った『パスト ライブス/再会』

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年4月20日 17時2分

 今年のアカデミー賞で作品賞と脚本賞候補に選ばれたのをはじめ、インディペンデント・スピリット賞作品賞、監督賞など多くの賞を獲得したセリーヌ・ソンの初監督作『パスト ライブス/再会』(全国公開中)。韓国で生まれ、12歳でトロントに移住、ニューヨークで劇作家として活動してきたソン監督が、自身の体験をもとにオリジナル脚本を執筆している。昨年11月、賞レースに向けて開催された記者会見で、ソン監督と主演女優のグレタ・リーが、世界中で高い評価を得た今作の製作裏話を語った。

監督の実体験がベース

 本作のストーリーは、大きく3つのセクションに分かれている。韓国に住む小学生のノラとヘソンは、お互いにほのかな恋心を抱いていたが、ノラの家族がカナダに移住することになり、2人は音信不通に。12年後、SNSでヘソン(ユ・テオ)が自分を探していることを知ったノラ(グレタ)は、彼とSkypeでやりとりし始める。それからさらに12年後、ニューヨークに移りアメリカ人の作家アーサー(ジョン・マガロ)と結婚したノラのもとを、ヘソンが訪ねて来ることになり、24年ぶりに2人は再会する。 

 映画の冒頭と後半では、ノラとヘソン、アーサーがバーに並んで会話をするシーンが登場するが、それはまさにソン監督自身が体験したことだったそうだ。

 「ニューヨークのバーで、私は、幼なじみの初恋の相手と、夫にはさまれて座っていたの。それは、3人の人生を再訪する必要性を凝縮したような瞬間だったわ。今作(のアイデア)はそこから始まったのよ」とソン監督。

 「その時に私が感じていたのは、私自身や私の人生に対する鍵を握っているこの2人に対する私の感情は、全く異なるものだということ。そして彼らは、両方の世界にしか存在し得ない私のアイデンティティや自我の一部に対して、もう一方が持つ鍵を知ることは決してないの。とても個人的、自伝的なことから始まったわけだけど、膨大な時間と空間を超える感覚とはどんなものなのかを、描いた作品になったと思うわ」

イニョンがもたらすもの

 よくあるような男女の三角関係を描いた物語ではまったくなく、ソン監督が今作で扱ったのは、韓国語でいうところの“イニョン”(縁)。「人と人との縁」といった、深く普遍的なもので、誰もが共感できるテーマだと言える。

 ノラを演じたリーは、彼女以外は考えられないほどのハマリ役。ソン監督にとって、リーとの出会いはまさに“イニョン”で、「30回、または50回は遡った前世で、あなた(グレタ)と私は100%結婚していたわ」と断言。「恋に落ちるのと同じように、“これ”という人に出会ったときは、もしかしたらこの人かもしれないという予感がするものよ。私はかなり皮肉屋で疑い深い人間だけど、『グレタには、私が求めているノラの魂が宿っている。彼女の核には炎がある』とすぐにわかったわ」と振り返る。

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