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【上野動物園】パンダにまつわる仕事 あの大好物を用意するのは「調整係」 美味しい竹かどうかは理由がある!?

CREA WEB / 2024年3月17日 11時0分


中国に行ったシャンシャン。(2023年10月12日、中国・四川省で筆者撮影)

 東京・上野動物園で生まれたジャイアントパンダのシャンシャン(香香)が中国へ行ってから2月21日で1年が経ちました。実はシャンシャンは、渡航前に狂犬病ワクチンを接種しています。この話は、同園が2023年10月29日に開催した学生向けセミナー「飼育係だけ!? 動物園でパンダと働くシゴト案内」で獣医師が明かしました。

 パンダに関わるさまざまな仕事を伝え、視野を広げてもらおうと企画されたこのセミナーの様子を中心に、上野動物園のパンダにまつわる仕事を4回にわたり紹介します。


パンダが食べ残した竹は東京湾の埋め立て資材に


パンダに関わる仕事を上野動物園の担当者が紹介。(筆者撮影。写真のスライドの内容は上野動物園が作成。以下同)

抽選に当たった中学・高校・専門学校・大学生、約60人がセミナーに参加した。参加者による撮影はメモとしてのみ許可され、SNSなどへのアップは禁止。

 パンダにふれないけれど、パンダと関わりが深い仕事の1つが調整係。飼育係と同じ「公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園 飼育展示課」に所属します。(上野動物園は都立動物園で、東京動物園協会は東京都の指定管理者)。調整係の仕事は、動物の搬出入の交渉や血統管理、国内外の動物園との連携など多岐に渡り、エサの調達も担います。

 パンダの主食は竹。上野動物園でパンダに与える竹には「害虫駆除用の農薬がかかっていない」「大きな道路から離れていて、排気ガスがかかっていない」といった条件があります。しかも竹は成長が早いので、竹を採る人は現地の状況に精通している必要があります。

 そこで専門の会社が伊豆半島から1回につき約500kgを週4回採ってきています。この作業料や輸送費がかかるうえ、パンダは竹を選り好みします。与えられた竹の3分の1ほどしか食べないので、多くの竹を用意する必要があります。このためパンダは上野動物園でエサ代が1番高い動物なのです。

「あげた竹を全部食べないので、1日に1頭でどれくらいお金がかかるか(計算するのは)難しいのですが、2番目にエサ代のかかるゾウが1日およそ1万円で、その2倍以上と考えてもらっていいと思います」

 調整係の担当者はこう指摘します。


パンダは竹を選別する。

 なるべく無駄のないように、調整係は竹を採る会社の人に「今日の竹はよく食べた」「少ししか食べなかった」とパンダの食べ具合を細かく伝え、竹を選ぶ際の参考にしてもらっています。

パンダの食べ残しをゾウにあげていたことも

 かつてはパンダが食べ残した竹をゾウにあげていましたが、今はゾウにも新鮮な竹をあげています。それでは、パンダが食べ残した大量の竹は、どうしているのでしょう。上野動物園によると、東京湾の埋め立て用の資材などとして使われているそうです。厳しいチェックを経たパンダ用の竹なら、埋め立てにも安心して使えます。

 竹のほか、リンゴやニンジンも調整係が用意します。「パンダ団子」は、飼料室で材料を粉にして、飼育係が蒸して作ります。上野動物園にいるパンダはパンダ団子が大好きなので、トレーニングへの誘導にパンダ団子を活用することもあります。

 このように調整係の仕事は飼育の土台を支えています。


パンダ団子。

トレーニングでご褒美のパンダ団子が役に立った。


中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo


パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房

文・撮影=中川美帆

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