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地域を守りながら観光を楽しむ エシカルトラベルという 沖縄の新しい観光旅行へ

CREA WEB / 2024年3月15日 7時0分

 コロナの収束によって旅行需要が急速に回復する一方で、問題になっているのがオーバーツーリズム。交通機関や施設の混雑、騒音、マナー違反などにより、地域住民の生活や自然環境への影響が深刻化しています。

 その対策として各地ではさまざまな取り組みが始まっていますが、国内でもいち早く観光客数が回復した沖縄県が実施するのが「エシカルトラベルオキナワ」。人や環境、社会にやさしい旅を提案し、持続可能な観光地を目指しています。


エシカルトラベルオキナワとは?


近年リゾート地として人気を集める古宇利島のビーチ。

 エシカルとは倫理的、道徳的といった意味の言葉で、人や環境、社会などに配慮した行動をしようという概念のこと。エシカルトラベルオキナワはこの概念を取り入れた観光の考え方で、沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(以下、OCVB)によって2021年に開始。

 これは沖縄の自然や伝統文化、産業に触れられる観光コンテンツを通して、観光客が地域や県民の思いをより深く知り、それにより住民の暮らしや自然環境などに配慮するきっかけとなることを目的とした、新しい旅のかたちです。

 現在、沖縄県公式の観光情報WEBサイト「おきなわ物語」では、多数のコンテンツを特集中。自然や伝統文化、産業に触れられるさまざまなコンテンツがありますが、実際にどんな体験ができるのか、4つのコンテンツをピックアップしてご紹介します。

アクセサリー作りを楽しみながら海を守る

◆TRUE BLUE OKINAWA 海洋プラスチックアート作り体験


海洋プラスチックをアップサイクルしてアクセサリーに。

 最初にご紹介するのは、古宇利島にあるアート工房&ショップ「TRUE BLUE OKINAWA」の海洋プラスチックアート作り体験。

 海洋ごみをアップサイクルしたアート作品や生活雑貨等の制作・販売を行うこのお店では、海洋プラスチックを使ったアクセサリーやランプシェード作りを楽しめます。


ブルーとグリーンのモザイクが美しいランプシェード。

キーホルダー作りもできます。

 お店のある古宇利島は、沖縄本島から橋を渡って行ける離島の一つ。古宇利ブルーと呼ばれる美しい海を眺めながら全長1,960メートルの「古宇利大橋」を渡り、車で2分ほど走るとお店に到着します。


目の前に広がるオーシャンビューは感動的。

 美しく澄んだ沖縄の海。実は海底に多くのごみが沈んでいるといわれ、ビーチには日々ペットボトルを中心に大量のごみが打ち上げられるそう。

 そのごみのほとんどは近隣諸国から流れてきたもので、海外で投げ捨てられたごみは海や風の流れに乗って日本の海岸まで漂流し、同様に日本のごみも海外へ流れ着いているのだとか。


西表島のビーチに打ち上げられた大量の海洋ごみ。写真提供=Us 4 IRIOMOTE

 ビーチに打ち上げられ、私たちの目に見える状態になった海洋ごみは氷山の一角。ほとんどの海洋ごみは海岸に着く前に海底に沈んでしまいます。

 そのなかでも問題視されているのが、プラスチック。素材の性質上、数百年間分解されず、海の生物が誤って食べたり体に絡まったりして、怪我をする、あるいは命を落としてしまうという痛々しい出来事が世界中で起こっています。

海洋プラスチックがオリジナルリングに!

 ビーチに打ち上げられたごみは、漁業者や自治体、ボランティアスタッフたちによって日々回収作業が行われ、TRUE BLUEのスタッフも月に1回、ビーチクリーンを開催しています。


回収した海洋ごみの山。

 回収した海洋プラスチックごみを、TRUE BLUEではまず洗浄して色ごとに選別。そして、次に機械を使って細かく粉砕します。

 これが作品の材料になるのですが、ものによっては高温で熱すると有害物質が発生することがあるので、有害物質発生の有無を水道水を入れた容器にプラスチックを入れて浮くかどうかで判別。

 水に浮いたものは220℃以下であれば有害物質が発生しないので、加熱作業のあるランプシェード作りにも使ってOK。沈んだものは加熱すると有害物質が発生する可能性があるので、加熱作業不要のアクセサリー作りなどに使うのだそうです。


国別、色別に分けたプラスチック。これはピースボートとコラボレーションし、世界中の各寄港地でビーチクリーンをして回収をしたものだそう。

粉砕したプラスチック。

加熱すると有害物質が発生するプラスチックは、こんな感じで水に沈みます。

 今回は指輪作りに挑戦しました。さまざまなモチーフの形から好きなものを一つを選び、型にレジン液を入れてから粉砕したプラスチックをのせていきます。カラフルなプラスチックをピンセットや爪楊枝でデザインする作業は、まるでネイルアートのよう。


色別に瓶詰めされたプラスチックがずらり。

指輪の見本。いろいろなモチーフの指輪が作れます。

型にプラスチックを配置していきます。

 出来上がったら一度UVライトで固め、もう一度同じ作業を行います。2層目は割れてしまった琉球ガラスや光沢感のあるシェルを粉砕したもの、ラメなどを使って輝きをプラス。


UVライトを当てて成形。

 完成したモチーフにリングを付ければ、オリジナルの海洋プラスチックリングの完成です。海洋ごみからできているとは思えない、美しい色合い。


完成したリングはこちら。

 店内には海洋プラスチックで作られたアクセサリーや一輪挿し、ボールペンなどいろいろなアイテムが販売されていますが、なんとカウンターのシャンデリアも海洋プラスチックアートの作品。


この華やかなシャンデリアも、海洋プラスチックで作られています。

 TRUE BLUE共同代表の玉村めぐみさんは海洋プラスチックアート作りについて、「地球にいいことを楽しみながら続けたい、参加者がワクワクするようなことをやっていきたい」と話します。

 最近は、カンボジアに埋まっていた地雷のプラスチック部分を活用したアート作りや海洋プラスチックを使ったレコード制作にも挑戦しながら、アップサイクルに取り組んでいます。


共同代表の玉村めぐみさん。

TRUE BLUE OKINAWA

所在地 沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利385
電話番号 080-4810-7460
営業時間 10:00~18:00
定休日 水曜日
https://wds.world/trueblue

エシカルトラベルオキナワ

https://www.okinawastory.jp/feature/ethical_travel/

ソラシドエア×エシカルトラベル特集

https://www.okinawastory.jp/feature/solaseedair/

文=佐藤由樹

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