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「雨水5万リットルを水道代わりに」 ニューカレドニア【ウベア】に住む 日本人女性が教えてくれた島の暮らし

CREA WEB / 2024年3月23日 11時0分

#296 Ouvéa
ウベア(ニューカレドニア)


ムリ橋から見たウベアの海。白砂とのコントラストがみごとです。

 ニューカレドニアを語る時、よく言われるのが、“天国にいちばん近い島”。作家・森村桂さんの旅行記およびそれをもとにした映画のタイトルで、舞台となっているのがロイヤリティ諸島のウベア島。そのタイトルからイメージされるとおり、いえ、それ以上の美しさに感動必至の島です。

 ウベアへはニューカレドニアの首都ヌメアのマジェンタ空港から国内線エール・カレドニーで向かいます。世界遺産に登録されているラグーンが広がるウベア。やはり上空から地球の宝を見てみたい! 搭乗する際にCAさんに「ウベアの写真を撮るならどちら側のシートがいい?」と聞くと「ルートによるけれど、右側ね」。

 ヌメアを出発して40分、そろそろウベアが見えてきました。空から見ると、南北約35キロの細長い島の形がよくわかります。が、この日は少々逆光。反対側の列の窓を見ると、海の色が鮮やかなブルーに輝いています。うーむ。この日は左側が正解だったようです。


機内右側から撮影。島の細長さは伝わってきます。

ウベアに到着。島に戻ってきた、先住民カナックの人々。

 ウベア空港からまず向かったのは、島の目印的存在のムリ橋に近いレキンの断崖。車窓から見る風景も、都会のヌメアとは異なり、ウベアは南洋の自然が中心。行き交う人もまばらです。

絶景&スノーケリングポイントの橋がある!


ムリビーチ前。ナンヨウスギの並木道の向こうに教会が。

 浅瀬の海の向こうに見える、てっぺんをナイフでスパンと切り落としたような石灰岩の断崖絶壁がレキンです。周辺の海は聖域とされているため立ち入ることができない、と聞いていました。それが崖の中腹あたりを、観光客らしきグループがハイキングしているのが見えます。


海底のサンゴ礁が石灰岩となり、地殻変動で隆起したというレキンの断崖。

聖域ゆえ、立ち入りは基本的には禁止。ただし、地元ガイドが同行するなら問題なし。

 そのグループは、地元のカナックのガイドによるツアー参加者たち。聖域に入ることを許されたガイドと一緒なら、海を渡って断崖を歩くことができるそうです。神聖な場所なので、事前に申請が必要なのです。

 対岸にレキンの断崖を望みながら、聖域の海を眺めていると、課外授業でしょうか、地元の小学生らしき一団がやってきました。元気いっぱいの子供たちは、言葉が通じるかどうかはおかまいなし。こちらをぐるりと取り囲み、フランス語で話しかけてきます。美しい自然に囲まれてすくすくと育つ子供たちは、無邪気でまっすぐです。


元気いっぱいの島の子供たち。人懐っこさに、こちらの目尻も下がりっぱなし。

 レキンの断崖近くのムリ橋は、絶景&スノーケリングポイント。ここから眺める、島の西側の海の美しさは圧巻です。


ムリ橋から見た西側の海。橋の下のレキン側は遊泳禁止なので、ご注意を。

ある“日本人俳優”の名前を冠したビーチも?

 ムリ橋の下を流れる水路はやや深いブルーで、白砂とのコントラストは眩しいほど。橋の上から見下ろすだけでも感動的ですが、誰の足跡もついていない砂の上を歩いて水際まで行き、スノーケリングをしてみると、海の中にはこれまた違った美しい世界が広がっています。


ムリ橋付近でスノーケリングを楽しむカップル。

 ムリ橋付近の透明度の高い水中には、どこまでも続く真っ白な砂紋が。光がゆらゆらと揺れる砂紋の上にぷかりと浮かんでいると、たまらない浮遊感。この清涼感たっぷりの光の世界はリラックス効果がバツグンです。


魚ウォッチングはもとより、浮遊感も楽しみたい海。

 ウベアの西側は約25キロも白砂のビーチが続いています。その中央あたりのムリビーチは、ブルーキュラソーを流し込んだような真っ青な海とサラサラの白砂が広がる絶品ビーチです。


映画『天国にいちばん近い島』の撮影をきっかけに、主演俳優の名前から“トモヨビーチ”とも呼ばれているムリビーチ。

 そんなムリビーチを前にしていたら、なぜか水際に向かってダッシュしたり、砂の上でジャンプしたりしてしまいました。どうもムリビーチはそのあまりの美しさゆえ、人を狂わせてしまうようです。


パラディ・ド・ウベア前のビーチ。

ウベア唯一のリゾート「パラディ・ド・ウベア」で働く日本人女性の話

 ランチはウベアで唯一のリゾート、「パラディ・ド・ウベア」へ。ここの日本人スタッフの岩本雅子さんは島の男性と結婚され、4人のお子さんに恵まれた方。島の話をいろいろ聞かせてもらえます。


細かいことは気にしない、太陽のように明るい雅子さん。

 日々の食事は、ご主人がとってきた魚やカニが中心。カニは茹でたり、蒸したりしたものを、しょう油や塩コショウで食べるそう。ウベアの海水を使って塩茹でにすると、深みのある塩味になるのだとか。おいしそう。

 島には精肉店がないので、自分たちで飼っている牛や豚、ヤギ、鶏などの家畜がテーブルに。動物をしめるのは男性の仕事で、雅子さんの息子さん2人も手伝います。小さい頃から命をもらうことの大切さを知るのだそうです。

 さらに水道システムもないため、雨水を溜めて使います。だから、畑もやっているけれど、水がたくさん必要なキュウリやレタスなどの葉ものは育てない。ちなみに、雅子さんの家には5万リットルも溜められるタンクがあるとか。

 島の暮らしで大変だったことを聞くと、「あえて言うなら、ずっと電気がなかったから、子供の服やおむつを手洗いしなければいけなかったのが大変でした。でもこういう性格だから……」と、朗らかに笑います。

 雅子さんが目下計画しているのが、2025年に開催される大阪万博に、彼女のお子さんを含む22人の子どもたちを連れていくこと。フランスのパビリオン内にニューカレドニアのブースが出展されるとか。

「今から日本文化のことなどを子供たちに勉強してもらって、いずれ市や県に話を持っていくつもりです」

 果たして、ウベアの子供たちの目に日本はどう映るのでしょう? 訪日が実現するといいですね!


絶景ビーチに面したパラディ・ド・ウベア。

南の島らしいインテリアでまとめられたパラディ・ド・ウベア室内。

ウベアでは雅子さんが待っています。

ウベア

●アクセス ニューカレドニア・ヌメアのマジェンタ空港から国内線で約40分
●おすすめステイ先 パラディ・ド・ウベア
https://paradisouvea.com/

ウベア在住の雅子さんの毎日はInstagramでチェックできます


古関千恵子(こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子

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