「送還されれば性暴力の対象」米国務省も案じる脱北者たちの運命
デイリーNKジャパン / 2024年3月27日 4時2分
中国政府は、脱北者について「経済目的の不法入国者で難民ではない」との理由で、摘発し次第、北朝鮮に強制送還する方針を取っている。しかし、米国はこれに反論した。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。
中国の外交官は、15日にスイス・ジュネーブの国連本部で行われた国連人権理事会の付属の会議で、脱北者について「経済的に理由で違法に入国した北朝鮮出身者は難民ではない」「したがってノン・ルフールマン原則は適用されない」と述べた。
また、「北朝鮮で拷問または大規模な人権侵害が行われているという証拠はない」「ノン・ルフールマン原則適用の構成要件が満たされていない」とも主張した。
ノン・ルフールマン原則とは、送還後に自由や生命が脅かされかねない人々の送還を禁止する難民条約の条項だ。この条約は、1951年の難民の地位に関する条約と、不足部分を補った1966年の難民の地位に関する議定書の2つからなる。また、拷問禁止条約は1984年の国連総会で全会一致で採択されたものだ。
別の中国外交官は、国連人権理事会が18日に開催した北朝鮮に関する相互対話の場で「中国は北朝鮮国民の中国入国を言及するこの(サルモン国連北朝鮮人権状況特別報告者の)報告書について懸念している」、「この人たち(脱北者)は絶対に難民ではない」とも主張した。
さらに、その上で、「彼ら(脱北者)は中国の法律と出入国管理秩序に違反した」、「われわれ我々は米国を含む各国の攻撃を拒否する」と述べた。
北朝鮮に送還された人に対する各種の暴力に関しては、実際に体験した人々の多くの証言が存在し、国連人権理事会、NGOからの報告も上げられているが、中国はこれらを全く無視している。
(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態)
これに対して、米国務省は22日、中国は国連難民条約や拷問禁止条約を遵守すべきだと求めた。
この問題に関するボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に応じた国務省報道官は「脱北者は強制送還後に、拷問、性暴力やジェンダーに基づく暴力、強制労働、処刑の対象となることが知られている」と言及。また、「このような慣行があることは、長年にわたり国連機関や非政府組織によって広く文書化されている」(国務省報道官)と強調した。
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