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肝動脈化学塞栓療法と薬剤2種の併用で肝細胞がんへの治療効果が向上 レンバチニブとペムブロリズマブ併用による肝細胞がんの完治に期待

Digital PR Platform / 2025年1月14日 20時5分

肝動脈化学塞栓療法と薬剤2種の併用で肝細胞がんへの治療効果が向上 レンバチニブとペムブロリズマブ併用による肝細胞がんの完治に期待



近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)内科学教室(消化器内科部門)主任教授 工藤正俊らを中心とした国際共同研究グループは、切除不能な非転移性肝細胞がん患者に対して、従来の治療法である肝動脈化学塞栓療法(TACE)※1 に、分子標的薬であるレンバチニブ(商品名:レンビマ)と免疫チェックポイント阻害剤※2 であるペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の2種の薬剤を併用することで、TACEだけの治療と比較して無増悪生存期間※3 を有意に延長し、全生存期間※4 が延長する傾向を示すことを、多施設共同無作為化二重盲検第3相試験※5 で明らかにしました。本研究成果により、今後TACEとレンバチニブとペムブロリズマブを併用した手法が、切除不能な非転移性肝細胞がん患者の標準治療となり、完治も可能になると期待されます。
本件に関する論文が、令和7年(2025年)1月9日(木)に、世界五大医学雑誌の一つである国際的な学術誌"The Lancet(ザ ランセット)"にオンライン掲載されました。




【本件のポイント】
●切除不能な非転移性肝細胞がんの標準治療であるTACEに、レンバチニブとペムブロリズマブの2種の薬剤を併用することで、治療効果が高まることを世界で初めて証明
●この治療法はTACEのみの治療と比較して、患者の無増悪生存期間を延長し、全生存期間も改善する傾向がある
●本研究成果により、この画期的な治療法が承認されれば、切除不能な非転移性肝細胞がん患者を完治させることも可能になると期待

【本件の背景】
切除不能で、遠隔転移や脈管浸潤がない非転移性肝細胞がん患者に対する治療は、カテーテルで抗がん剤と塞栓物質を注入してがん細胞の増殖を抑えるTACEという手法が昭和58年(1983年)に日本で開発され、瞬く間に世界の標準治療となりました。一方、肝細胞がんの薬物療法は、平成21年(2009年)ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)をはじめとして、平成30年(2018年)レンバチニブ、令和2年(2020年)アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)+ベバシズマブ(商品名:アバスチン)、令和4年(2022年)デュルマルマブ(商品名:イミフィンジ)+トレメリムマブ(商品名:イジュド)などの有効な薬物が、次々に開発されています。TACEの効果には限界があるため、薬物療法を組み合わせたさまざまな治療が試されており、薬剤が開発される度に治療方針が大きく変わりつつあります。
これまで、非転移性肝細胞がん患者に対して薬物療法とTACEを組み合わせた臨床試験が6試験行われましたが、近畿大学医学部を中心とする研究グループが行った、医師主導試験であるTACTICS試験※6 以外は全て失敗となりました。その後、研究グループはレンバチニブとTACEを組み合わせる治療法(LEN-TACE療法)を開発し、良好な治療効果を示すことを確認しました。この療法は非常に効果が高いものの、令和2年(2020年)以降は肝細胞がんにおいても他のがんと同じく免疫チェックポイント阻害剤による治療が主流となり、第一選択の治療法となりつつあります。そこで、LEN-TACE療法に免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせることで、どちらか一方よりもさらに効果の増強が期待できるのではないか、という仮説を立てましたが、効果と安全性については未知数で、大規模な臨床試験での検証が望まれてきました。

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