ECMOを要する心原性ショック患者の院内死亡は、新規補助装置で改善せず
Digital PR Platform / 2024年1月17日 14時0分
―対象患者の選択や治療戦略等の課題解決が求められる―
横浜市立大学附属病院次世代臨床研究センター 仁田 学助教(同循環器内科医師)、同循環器内科 日比 潔教授、同大学院データサイエンス研究科 清水 沙友里講師、金子 惇准教授、東京医科歯科大学大学院 医療政策情報学分野 伏見 清秀教授、埼玉医科大学国際医療センター心臓内科 中埜 信太郎教授らの研究グループは、診断群分類(Diagnosis Procedure Combination: DPC)データベース*1を利用した解析により、2018年4月から2022年3月までの4年間に国内の急性期病院に入院し、体外式膜型人工肺(veno-arterial Extracorporeal Membrane Oxygenation: ECMO)*2による循環補助を必要とした心原性ショック*3患者を対象として、新規の経皮的左室補助装置であるIMPELLA*4を併用した群(ECPella群: ECMO-IMPELLA)は既存の大動脈内バルーンポンプ(Intra-Aortic Balloon Pump: IABP)*5を併用した群(ECMO-IABP群)と比較し、院内死亡の発生に改善がなかったことを明らかにしました(図1)。今後はIMPELLAの高い循環補助効果を最大・最適化するための工夫や対象患者の選択といった課題が1つずつ解決されていく事が望まれます。
本研究成果は、Circulation Journalにオンライン掲載されました。(日本時間2024年1月12日)
[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/81886/500_208_2024011709312365a71fdb32183.jpg
図1 傾向スコアマッチング後のECPella群とECMO-IABP群の比較
A:院内死亡、B:60日死亡
研究成果のポイント
・2018年4月から4年間の全国データを分析し、ECMOを要した心原性ショック患者における新規の
IMPELLAあるいは既存のIABP併用における院内死亡の発生割合を比較した。
・2つの群で院内死亡の発生に差を認めなかった。
・IMPELLA併用群はIABP併用群と比較し在院日数が中央値で9.5日長く、出来高換算での医療費は
約1.7倍(中央値で386万円)高額であった。
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