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椎間板への多血小板血漿(PRP)注射の安全性と有効性を検証

Digital PR Platform / 2024年3月19日 11時40分

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―Modic変性を伴う腰痛患者への新たな治療法になる可能性―

藤田医科大学(愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1番地98)整形外科学講座の藤田順之教授と川端走野講師らのグループは、ジンマー・バイオメット合同会社(東京都港区)およびキヤノンメディカルシステムズ株式会社(栃木県大田原市)から支援を受け、椎間板への多血小板血漿(PRP)※1注射の安全性と有効性を検証しました。研究の内容は、Modic(モディック)変性※2を伴う腰痛患者10名に対して椎間板への多血小板血漿(PRP)注射を行い、半年間の経過を観察したものです。結果としては、大きな有害事象※3は認められず、個人差はありましたが、総じて腰痛は改善し、半年後のMRI検査でもModic(モディック)変性における炎症が沈静化していることが示されました。本研究では、PRP療法が、Modic変性を伴う腰痛患者への新たな治療法になる可能性が示唆されただけでなく、今後、他の病態の腰痛患者さんにもPRP療法の有効性を検証するきっかけとなることが期待されます。
本研究は、特定認定再生医療等委員会※4の承認のもと、国内で初めて椎間板PRP注射を評価した臨床研究です。本研究に関する情報は、jRCT(臨床研究等提出・公開システム)に登録し、結果も含めて公表しています(https://jrct.niph.go.jp
)。
本研究成果は、米国Orthopaedic Research Society(ORS)の公式ジャーナルである「JOR Spine」のオンライン版で、3月18日に掲載されました。
論文URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jsp2.1320


<研究成果のポイント>

Modic (モディック)変性を伴う腰痛患者さん10名の椎間板に、患者さん自身の多血小板血漿(PRP)を注入したところ、半年の経過観察期間では大きな有害事象はなく、個人差はあるものの、全体として腰痛は緩和された。
椎間板へのPRP注射を施行して半年後のMRIでは、Modic変性に伴う炎症が有意に改善された。
椎間板へのPRP注射は、Modic変性を伴う腰痛患者さんの新たな治療になり得る可能性が示唆された。


<背 景>
超高齢社会の到来とともに、人生100年時代といわれるようになり、健康寿命を延ばすことが益々重要になっています。腰痛は成人の約80%が一生のうちに経験するとされており、慢性的な痛みに発展することも多く、高齢者では健康寿命を縮めることが懸念されています。腰痛の原因は多岐にわたり、過去には85%が原因不明ともいわれていましたが、最近では、多くの腰痛はその原因について同定できることが報告されています。
Modic(モディック)変性は、脊椎の椎間板と椎体の間に位置する椎体終板の変化を表しており、MRI検査によって主に3つのタイプに分類されます。その一つであるModic変性タイプ1は、骨髄の炎症と浮腫を特徴とし、腰痛と強く関係していることが知られていますが、その治療方法はいまだ確立されていません。
一方、PRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)療法は、近年注目を集めている再生医療の一つです。特に、この方法はスポーツ傷害、関節炎、皮膚の再生など、幅広い医療分野での応用が進んでいます。PRP療法では、まず患者さんから血液を採取し、それを遠心分離機にかけて血小板を濃縮します。血小板には、傷の治癒プロセスを促進する成長因子や炎症を抑えるような因子を豊富に含んでいますので、この濃縮された多血小板血漿(PRP)を患部に注入することで組織の修復を促すことが知られています。PRP療法の大きな利点は、患部に注射で投与できるため、患者さんへの侵襲度が低いこと、また、患者さん自身の血液から採取するため、アレルギーや拒絶反応のリスクが極めて低いことが特徴です。PRP療法の効果は、損傷の程度や治療される疾患の種類によって異なりますが、多くの研究でその有効性が示されています。しかしながら、Modic変性タイプ1を伴う腰痛患者さんに対するPRP療法の安全性と有効性に関しては、これまでよく分かっていませんでした。

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