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世界初、超長波長帯一括変換を用いた100テラビット毎秒超の長距離光増幅中継伝送に成功 ~IOWN/6Gに向けて単一コア光ファイバにおける既存技術の3倍超の大容量化へ~

Digital PR Platform / 2024年9月3日 15時6分

世界初、超長波長帯一括変換を用いた100テラビット毎秒超の長距離光増幅中継伝送に成功 ~IOWN/6Gに向けて単一コア光ファイバにおける既存技術の3倍超の大容量化へ~

発表のポイント:

新たに開発したPPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)による超長波長帯一括変換技術により、既存機器を活用して新たな超長波長帯が利用できるようになりました。
光伝送システムの大容量化に必須な波長資源の拡大技術の開発で課題となっていた伝送距離の長延化に成功しました。
この成果により、光ファイバ1芯あたりの大容量化と伝送距離の長距離化が期待できます。

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、新たに開発した超長波長帯一括変換技術を適用することで、世界で初めて、既存のファイバ上で集中光増幅器のみを用いて従来の陸上システムとおなじ中継間隔(80 km)を保ちつつ、100テラビット毎秒を超える伝送容量で800 kmの長距離光増幅中継に成功しました [1]。
 大容量光伝送システムにおいては、日本における基幹光ネットワークの大動脈である東名区間(約500 km)以上の距離を光増幅中継できることが重要です。本実験では、超長波長帯(U帯)(※1) 用に新たに開発した波長帯一括変換技術を適用し、超長波長帯向け光増幅中継器を世界で初めて実装しました(※2)。従来技術でU帯を光伝送システムに適用しようとすると、送受信機や光増幅中継器等の開発が必須(図1(a))ですが、既存の材料系では実現が困難です。本実験では、超長波長帯一括変換技術により従来帯域用の機器やデバイスを利用して、U帯の光増幅中継を実現しました(図1(b))。さらに、既存の光増幅技術と融合することで、従来波長帯のC帯、L帯とU帯の3つの波長帯を用いて波長資源を14.85 THzまで拡大し、長距離大容量光増幅中継伝送を実現しました。
 今回の成果は、光ファイバ通信における超長波長帯への波長資源拡大の可能性を示したものであり、IOWN(※3)/6Gにおけるオールフォトニクス・ネットワークにおいて、既存の3倍以上の大容量データをより遠くへ届けられる基盤技術として期待されるものです。


[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2341/94351/600_335_2024090311254766d673ab30f0a.JPG

1.背景
 高速通信を必要とするアプリケーションの普及や、AIの急速な進展により世界を駆け巡るデータ量は急激に増大しており、それらを支える基幹光ネットワークには、継続的な大容量化が求められています。基幹光ネットワークで使われている光ファイバ伝送システムでは、異なる波長のデジタルコヒーレント(※4)光信号を多数束ねて、光のまま増幅中継し、目的地まで敷かれた光ファイバ上を長距離伝送しています。現在では、約4THzの光増幅帯域(=波長資源)をもつ光増幅器(EDFA)が中継器として使われ、C帯またはL帯と呼ばれる光帯域が実用化されており、送受信機を高度化することで、光ファイバ伝送システムの大容量化をはかってきました。しかしながら、送受信機の高度化のみによる大容量化は理論限界に近付きつつあり、更なる大容量化のためには、新たな波長帯への帯域拡大が必要になっています。また、光伝送システムには大容量化とともに長距離化も求められており、日本における基幹光ネットワークで通信量が最大規模となる東名区間(約500km)と同等以上の距離を光増幅中継できることが重要となります。
 NTTでは、波長資源拡大のため、周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN: Periodically Poled Lithium Niobate)導波路(※5)による光パラメトリック増幅(※6)を用いた広帯域増幅中継技術を実証してきました。これまでは、従来帯域であるC帯の短波長側(S帯)に波長資源を拡大し、光帯域14.1 THzで最長伝送距離が400 kmと(※7)、長距離化が課題でした。一方、もう一つの従来帯域であるL帯に隣接する超長波長帯(U帯)への波長資源拡大は、従来帯域に比べ光ファイバの損失が高いという課題があります。また、一般的に新たな波長帯域を伝送に用いるには、その帯域用の送受信機・光増幅中継器など伝送装置の新規開発が必要ですが、U帯伝送装置は対応する既存の材料系では実現が難しいものとなっています。本成果では、超長波長帯一括変換技術を適用することで従来機器やデバイスを活用して、2つの従来波長帯(C帯、L帯)と新たな超長波長帯(U帯)の3つの波長帯合計で既存技術の3倍以上となる14.85 THzまで波長帯を拡大(図2)、高精度伝送設計技術を適用することで課題を解決し、大容量・長距離伝送を実証しています。

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