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日本映画「すべての夜を思いだす」海外セールスを担当したのは中国の会社だった 創立メンバーが語る“これまで”と“これから”【アジア映画コラム】

映画.com / 2024年3月10日 6時0分

 もうひとつは、チュウ・ジョンジョン監督「椒麻堂会」です。個人的にチュウ・ジョンジョン監督は、中国国内において、数少ない“独立電影”を作り続ける監督の1人です。我々は出来る方法をすべて使い、お金を集めて、「椒麻堂会」という奇跡的な作品を完成させました。

──そしてコロナ時代へと突入していきます。

 本当に大変でした。「柳川」の製作が、一番ダメージを受けましたが、全世界どこも同じだと思います。ただ、コロナ禍の最中、我々はいったん落ち着き、将来について色々考えていました。そこで中国映画だけではなく、東アジアの作品を中心に、海外セールス事業を展開しようと決めました。なぜかというと、東アジア、そして東南アジアなどの映画言語は、近い部分がありますし、今後の可能性も感じていました。そこから日本映画へと視野を広げることになったんです。

──清原惟監督作「すべての夜を思いだす」の海外セールスを担当しました。最初に知った時、私はかなり驚きました(笑)。

 清原監督は「わたしたちの家」のときから、ずっと注目していました。あの独特な世界観は唯一無二ですね。「わたしたちの家」はちょうど「漫游」と同じ年のベルリンかな? その後、上海国際映画祭でも受賞しましたよね。だから、新作の「すべての夜を思いだす」がPFFで上映されることを知ると、最初から期待を高めていました。ただ、我々は日本の映画市場のルールがわからないので、PFFの歴史などを考えたら、海外の会社に海外セールス権を委託するかなと疑問を抱いていました。ところが、ベルリンでPFFの方とお会いし、我々の実績を紹介したら、すぐに海外セールス権を委託してくれました。

 「すべての夜を思いだす」は、世界中の映画祭にたくさん出品しました。「すべての夜を思いだす」の海外セールスの結果を見てみると、世界の日本映画への注目度はまだまだ高いと感じました。日本映画はやはり歴史がありますし、固定ファンがずっとついている。そして、ずっと日本映画を配給する会社もあります。中国映画よりも可能性があると感じました。

──話は変わりますが「宇宙探索編集部」の日本公開に合わせて、来日しましたよね。

 もっと日本映画界を知りたかったからですね。チャン・リュル監督の「福岡」「群山」「柳川」、東京国際映画祭にも入選した「草原に抱かれて」、そして「宇宙探索編集部」、企画上映を行った「椒麻堂会」など、日本は我々の作品を一番配給している国です。去年日本を訪れた時は、驚きの連続でした。上映作品の多さ、ジャンルの違い、それぞれに個性豊かなミニシアター、フランスに匹敵する素晴らしい映画文化。そして、日本と中国は文化が近いので、互いをより注目していると感じました。もちろん、ミニシアターを訪れる観客の数は、そこまで多くはありませんが、皆さんが本当に映画を愛していますよね。その雰囲気にとても感動しました。

 もうひとつ感じたのは、日本映画の海外セールスがそんなにうまくいっていないこと。中国と同じく、日本映画ビジネスのスキームは自国で回収できるため、海外展開に関する意識が最初から強くなかったと思います。海外を目指したい監督は、なかなか方法がわからない……去年の東京国際映画祭のパーティーでも、それを実感しました。優秀な作品を海外に持っていく国際的な海外セールス会社が少ないと感じています。私は日本映画が好きなので、昨年は三宅唱監督の中国上映特集などにも企画協力したり、真利子哲也監督の短編映画「Before Anyone Else」の海外セールスを担当したりしています。今後もチャンスがあれば、もっと多くの優秀な日本映画を全世界の映画ファンに見せたいと思っています。

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