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「同級生」BL漫画アニメーション化の歴史とその魅力 アニメーション作家と研究者がトーク【第2回新潟国際アニメーション映画祭】

映画.com / 2024年3月18日 19時0分

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(C)中村明日美子/茜新社・アニプレックス

 新潟市で開催中の「第2回新潟国際アニメーション映画祭」で、中村明日美子氏の同名人気ボーイズラブ漫画を原作とし、A-1 Picturesの制作、中村章子監督によりアニメーション映画化した「同級生」(2016)が3月18日上映され、同作ファンを公言するアニメーション作家の矢野ほなみ氏と横浜国立大学大学院教授の須川亜紀子氏が本作の魅力を存分に語った。

 2人の男子高校生のもどかしくも純粋な恋を描き、原作もアニメーションも多くのファンを持つ本作。まず、須川教授が研究者の立場からBLアニメーションの歴史をこうまとめる。

 「いわゆるBLと呼ばれるジャンルの作品がアニメーション化されることがどういった意味を持つのか、歴史的な外観を説明すると、BL作品、漫画、小説には長い古い歴史があり、昔は少年愛、やおいと呼ばれたりしていました。同性愛、男性同士の恋愛を描くことは、少しタブー視されていた期間が長かった。まず、アニメーション化されたときはOVAといってビデオを買う形や、それから有料ケーブルテレビ、お金を払わないと見られませんでした。80年代から大ヒットした『絶愛-1989』もOVA、そしてBL小説を原作としたアニメーションで1992年の『間の楔』(あいのくさび)がOVAでリリースされて絶大な人気を誇りました。それから2000年代に入って、コメディチックな「グラビテーション」がWOWOWで放映され、2002年にはラノベのベストセラーになっていた『炎の蜃気楼』がアニメ化されて、それがキッズステーションで放映されてというような形で、徐々にアニメ化される作品が増えてきました」

 しかし、2000年代前半まで有料ケーブルテレビやOVAでアニメーション化されても、BLアニメーションは知る人ぞ知るという存在で、一般に見られない状況が続いた。そして、2006年にゲーム原作の「学園ヘヴン」がアニメ化され、全国放送ではないが地上波放送されたことで、須川教授は変化を感じたという。

 「その後、2008年から15年、非常に長いスパンで『純情ロマンチカ』というやはり漫画原作のベストセラーがアニメーション化され、徐々にBL作品のテレビアニメーション化が珍しくなくなってきた時代に入ります。その頃、BL作品の劇場アニメ映画も出てきて、2014年に『劇場版 世界一初恋 ~横澤隆史の場合~』という『純情ロマンチカ』と同じ中村春菊先生の作品が公開されました。劇場公開ということは、ある程度(興収によって製作費を)回収できるということ。それが見込まれていないと劇場版を作れないので、BL作品が劇場アニメ映画になったというのは、重大な事件だった。その流れを受けて、この『同級生』は、2016年にいきなり劇場アニメ映画として登場した」と解説し、漫画原作があり、テレビアニメにならないものが突如劇場版として登場したのは、「おそらく監督の熱意と、それからファンの方の希望、期待が背景にあったのではないか?」と推測する。そして、「同級生」は「監督ははじめ、スタッフさんも非常に女性が多い」と特徴を挙げる。

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