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川村元気が語り尽くす、「小説を映像化することについて」

映画.com / 2024年4月12日 15時0分

 山田「ご自身がクリエイターだから、他のクリエイターへのリスペクトがすごいんです。そこが他の方と圧倒的に違うところ。時にクリエイター目線で厳しいところもありますが、基本的に僕らのアイデアを楽しみに待ってくれている」

 川村「自分の原作のときは、原作者に気を使う必要がないわけです(笑)。一般的に、初めて長編映画を撮る人を監督にしたいとなったら、『大丈夫ですか?』となるけれど、そこの責任は自分で取ればいいわけですから」

 40本以上の映画を製作してきた川村だけに、今作の映像化にはそもそも懐疑的だったようだ。

 「ラブストーリーなのにラブレス、“愛がない”ことをテーマにしているから。ないものは映らない。『世界から猫が消えたなら』もそうですが、消えているものやないものは画面に映らない。それを撮るのは難しい。だからこそ、小説で書いている。書くときは、映画になり難いものをテーマにすると決めているので。

 加えて、日本映画で海外ロケをすると、観光ビデオみたいな映像になってしまいがち。いまの日本のディレクターでプラハ、ウユニ、アイスランドをちゃんと撮れる人がいないよなあ……ということで保留していました。智和くんとは20代の頃からMVなどで仕事をしていたのですが、ちょうど本作の主人公たちの年齢に近づいてきて、そろそろなのかもしれないと思いました」

 木戸「原作者であり、プロデューサーだから『このセリフ、つまんないよね』とか、迂闊に言えないよなあ……と、当初は気を使っていました。恐る恐る『このセリフを入れてみたいんですけど』と提案してみたら、面白がってくれて。それには本当に驚きましたね」

 山田「本来は原作者の方って別のレイヤーにいるので、面白いアイデアが生まれたとして、配給から出版社、出版社から原作者へと確認作業が行われていく。原作の世界観を守るためにも『ここはダメ!』という線引きは必要だと思いますが、いずれにしても結構時間がかかるんです。それが今回はスムーズに、そして楽しんでやれましたね」

 映画化に際しては、原作のどこを取捨選択するかで山田監督、木戸は大いに頭を悩ますことになる。それでも、川村から「自由に原作と向き合って欲しい」と背中を押されたことで思い切れたと明かす。川村は、2010年に大ヒットした「悪人」で原作者の吉田修一に脚本として参加してもらった際のエピソードを披露した。

 川村「小説『悪人』では、主人公の清水祐一を描かなかったと吉田さんがおっしゃった。色々な人が『ああいう男だった』と語っていくなかで、ドーナツみたいに空洞の部分が祐一をかたどるように書いたと。それって映画になったときに絶望的な話なんです。妻夫木聡がその空洞の部分を演じなければいけないわけですから。

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