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「SHOGUN 将軍」プロデューサー・宮川絵里子が“エミー賞最多ノミネート”に至るまでの道のり【NY発コラム】

映画.com / 2024年9月8日 8時0分

 スコセッシ監督作「沈黙 サイレンス」の共同プロデューサーには、どのように着任したのだろうか。

「最後にプロデューサーになったような形です。あの映画は企画から10年以上ずっとやっていたので、最初はリエゾンのような立場でした」

 筆者自身も、スコセッシ監督が遠藤周作の原作本の版権を取得してから撮影に入るまでに、かなりの時間がかかったことを記憶している。

「マーティン・スコセッシのように有名で実績のある人でも、映画化はとても難しいものでした。当時私は、依頼されたことは何でもやりましたし、舞台となった長崎に行ってほしいと言われれば、いわばシナハン(=脚本を書くための取材)のようなこともしていました。遠藤周作さんのご家族にも会いましたし、彼の資料館にも行かせて頂きました。脚本家の執筆のヒントになりそうな場所は、片っ端から写真も撮りました。企画が進展すると、私が日本側のキャスティングの進行をすることになりました。そして監督が来たらスカウトの進行もしていって、だんだんと責任が重くなっていったんです。いよいよ撮影!となった時は、当時の肩書きは忘れてしまいましたが、私は日本側のすべての要素を監視していました。スコセッシ監督のプロデューサーが『あぁ、日本のことなら、エリコに何でも聞きなよ』と他の人に紹介してくれたのを覚えています(笑)」

 さて、ここからは「SHOGUN 将軍」の話題へと入っていこう。同作は、1980年にアメリカで実写ドラマ化され、驚異的な視聴率を記録したジェイムズ・クラベルのベストセラー小説「SHOGUN」を、新たに映像化した作品。関ヶ原の戦い前夜の日本を舞台に、徳川家康や石田三成ら歴史上の人物にインスパイアされた、将軍の座を懸けた陰謀と策略が渦巻く物語を紡ぎ出す。窮地に立たされた戦国一の武将・虎永(真田)、その家臣となった英国人航海士・按針(コズモ・ジャービス)、ふたりの運命の鍵を握る謎多きキリシタン・鞠子(アンナ・サワイ)が繰り広げる歴史の裏側の、壮大な“謀り事”を描く。

 宮川は、ジェイムズ・クラベルの原作を英語だけでなく、日本語版でも読んだそう。「SHOGUN 将軍」の脚本は英語になるが、キャストの大半は日本人だ。つまり、英語が翻訳されていない部分を埋めなければならない。そこを意識して、日本語と英語の両方で原作を読んだのだろうか。

「もちろんです。原作は英語で書かれていますので、それを読むことは絶対に必要でした。そして、80年代に出た翻訳本。これが翻訳チームにとって大きな参考になっています。翻訳者の宮川一郎さん(ジェームズ・クラベルの原作本を監修した人物)は、漢字や多くの表現について独創的な決断をいきました。我々は、合理的に、可能な限りそれを尊重しなければならないと思いました。それでもそれは、原作と80年代に作られたドラマ版を、本当の意味で把握するための出発点にすぎませんでした」。

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