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「SHOGUN 将軍」プロデューサー・宮川絵里子が“エミー賞最多ノミネート”に至るまでの道のり【NY発コラム】

映画.com / 2024年9月8日 8時0分

 原作を翻訳して脚本化する――では、80年代のドラマ版との違いは?

「今作は80年代ドラマ版のリメイクと一部で銘打たれていますが、そうではありません。リメイクというよりは、小説の新たな解釈です。ですから、80年代のバージョンとはかなり違うと思っています。80年代の作品は、当時の年代の制作背景を物語っています。80年代としては画期的で、非常に成功したシリーズでした。そして今作が“今の時代”に特化し、オリジナルシリーズと同様の成功を遂げることを願っています」

 時代設定は、1600年代。当時の“古い日本語”を翻訳しつつ、日本文化の作法や儀式について、どのような準備を行ったのだろう。

「まず、本作は会話がとても魅力的です。私にもすんなりとは理解できない。誰も正確にはわからないと思いますよ? 言葉はとても進化していますから。そこで他の時代劇や大河ドラマから学びました。と同時に、日本の若い世代の観客に時代劇を楽しんでもらいたいという願いもありました。特に真田さんとは、我々のシリーズの言語をどうすべきか、常に話し合っていました。真田さんは知識と経験がとても豊富です。翻訳した時は、京都にいる森脇京子さんが台詞を推敲してくれました。彼女は脚本家で、時代劇のような日本語になるようにしてくれました。シーンでは、所作(日本の伝統的な立ち居振る舞いや作法)の動き、その他のディテールを追求していきました。すべてがシリーズのために特別に考えられたものです。日本から3人の所作指導者を招きましたが、彼らは皆さん時代劇の経験が豊富な方々。全員が俳優でもありました。そんな彼らが、役者や背景のエキストラに、歩き方、お辞儀の仕方、障子の閉め方などをトレーニングし続けてくれたんです。高位の人たちはどのような身のこなしをするのか。使用人はどのような身のこなしをするのか。村人のお辞儀についてなども。各シーンのためにあらゆることが特別に吟味され、決定されていったんです」

 アクションシーンやそれらのシークエンスに取り組むなか、台詞の一部が現場で変更されたと伝え聞いている。真田さんとは日頃からどの程度、密接に連絡を取り合っていたのだろうか。

「真田さんとは、密接に連絡をとっていました。真田さんはどの部門にもしっかり関わっていました。主演もやられていたので、どこに他の部門にも関わっている時間があるだろうと思うほど。チェックはさまざまな段階で行われ、台本が出来上がると、私たちは台本を渡され、真田さんがメモを取っていました。私の仕事は、英語のニュアンスを正確に日本語の台詞に反映させること。ただ、いつもそれができるわけではありません。とにかく真田さんは、その段階での原稿のチェックはもちろん、撮影中はほとんどの場合、テントにいるプロデューサーのジャスティンの隣に座って、一緒にモニターを見ていました。最終的な変更に関しては、ジャスティンがモニターをみたり、あるシーンのラフカットを見て、違うアイデアを浮かび、彼が『直前だけど、ここを変更できないかな?』と言った時には、我々(=真田&宮川)はすぐに最適な翻訳を見つけ出していました」

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