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「SHOGUN 将軍」プロデューサー・宮川絵里子が“エミー賞最多ノミネート”に至るまでの道のり【NY発コラム】

映画.com / 2024年9月8日 8時0分

「そこから、俳優とコミュニケーションをとっていきます。アメリカの俳優がそうであるように、俳優から(脚本変更の)要望が出ることもありました。自分のキャラクターと合わないことがあったり、演技をしているうちに、そのシーンに合わないこともあるからです。ですから、常に調整し続けていました。真田さんは、ポストプロダクションに至るまで、ずっと関わってくれていました。ADRセッション(海外ではアフレコの意味)では、Zoomを使って日本の俳優たち全員と一緒に参加していました。そして、台詞や言葉の調整をいつもそばで手伝ってくれていました。例えば、地震が起きて、遠くにいる兵士たちが 『ああ、だめだ、気をつけろ』と言っている瞬間を録音したんですが、そのような言葉も、真田さんが本物に聞こえるようにサポートしてくれていました」

 プロデューサーがポストプロダクションの段階にも、これほど関わってくるのは珍しい。では、視覚効果チームの間では、どのような対話がなされたのか。

「視覚効果に関しては、あまり真田さんとは会話はしませんでしたが、視覚効果のスーパーバイザー、マイケル・クリエットは、とても実践的なアプローチしてくれました。彼は京都在住の歴史学者で、歴史アドバイザーのフレデリック・クラインズと密に協力しあっていました。フレデリックは私よりも日本人らしい男性で、彼は歴史に詳しく最高だったんです。そんなフレデリックは、マイケルに巻物や絵画、参考文献などの資料をすべて渡していました。そこから、マイケルはそれらの資料を彼の大きなコンピュータに入力。たまに私たちが何かがおかしいと気づくと、フレデリックやマイケルに指摘していました」

 戸田鞠子役のアンナ・サワイのキャスティングについても尋ねてみた。

「アンナは本当に素晴らしかったです。私たちはとても幸運だったと思っています。日本にも素晴らしい女優さんはたくさんいますし、我々もたくさんの女優さんを見てきましたが、今回の役は英語と日本語の能力が非常に高いことが要求される役でした。アンナは流暢に日本語と英語を話せましたし、それだけではなく、素晴らしい演技の才能と直感を持っていました。彼女のインタビューを読んだかどうかはわかりませんが、オーディションで最初にやったシーンのひとつが、三浦按針と一緒に外の温泉に入るシーンでした。彼女は裸でお風呂に入っていると脚本に書かれていたと思いますが、彼女は『ああ、アメリカのシリーズはこれを期待しているのかもしれない』と思って、ある方法で演じたそうです。プロデューサーのジャスティンと最初の2話のディレクターのジョナサン(・ヴァン・テュルケン)はそこでは反応しませんでしたが、その後、メモを持って、彼女のところに戻り、ジャスティンがそのシーンの意図を説明してくれていました。そこで彼女は驚異的な演技を披露して、それによって配役が決まったんだと思います」

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