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相続手続きの流れとは? 親が元気なうちにしておきたい3つのこと

ファイナンシャルフィールド / 2021年7月16日 5時0分

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人の命は限りあるもの。いつか必ず「その時」は訪れます。身のまわりの人が亡くなることは悲しいことですが、必ず訪れるその時に向けて備えておけば、後に遺される人はスムーズに手続きを進めることができます。   しかし、自身の相続、親の相続の準備を積極的に進めている人は多くありません。何が問題になりそうかということすら認識していない人が多いのが実情です。   今回は「親が元気なうちに備えておきたい3つのこと」についてお伝えします。

相続手続きの流れ

身近な人が亡くなるとやらなければならないことは少なくありません。悲しみに暮れながらも、死亡診断書の取得から始まり死亡届の提出、火葬許可証の取得、葬儀の準備と関係各所への連絡、埋葬許可証の取得などを進めることになります。
 
葬儀が終わっても年金受給者死亡届(報告書)の提出、介護保険被保険者証の返却や介護保険資格喪失届の提出、健康保険証の返却などを行います。
 
ここまでを亡くなられてからおよそ2週間以内に行う必要があります。さらに遺族年金の手続き、生命保険金の請求(個人を被保険者とする保険に加入していた場合)、公共料金等の契約名義や引落口座の変更なども必要でしょう。これだけでも遺族にとっては結構な負担です。
 
しかし、相続手続きはここからが本番です。故人の財産をどのように分けるのかを確定させるためにまず必要になることは、

●遺産の全容を把握する
●相続人は誰か確定する

の2つです。
 
一般家庭であっても「相続財産の全容を把握するのに苦労した」ということもあるでしょう。
 

財産状況の把握

被相続人に多くの債務があるような場合、相続人は「相続放棄」や「限定承認(=相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ方法)」などを選択する権利があります。この権利を行使できるのは「自身が相続人であることを知ってから3ヶ月以内」という期限があり、権利を行使する場合は家庭裁判所への申述が必要です。
 
複数の相続人がいる場合でも相続放棄は相続人の1人が単独で行うことができますが、限定承認の申述は、共同相続人全員で行わなければなりません。
 
「相続放棄」については、最初から相続する意思がない相続人が行う場合もありますが、「限定承認」を選択する場合や、債務が多く「相続放棄」するという場合には、被相続人の財産状況がどのような状態かを把握できなければ決められないでしょう。
 
一緒に住んでいた親族がいれば、被相続人がどこの金融機関と取引していたかなどの情報は比較的容易に知ることができるかもしれません。しかし、離れて暮らしていた場合などは、どこの金融機関と取引していたかを調べるのもひと苦労です。
 
また、相続財産となるものは金融資産だけでありません。不動産(土地・建物)のほか、宝飾品、骨とう品、各種会員権、自動車、その他金銭的・経済的価値があるものすべてが対象となります。なかには、本人も把握していないようなものもあるかもしれません。本人が把握しきれていないものを遺された人が把握するには、大変な時間と労力がかかります。
 
本人がご存命の間は資産の額も増減します。どこの金融機関と取引しているか、金融資産以外の財産はどこにどれだけあるか、およそどのくらいの財産価値があるかなどについて大まかにでもつかめていれば、後に遺された人の手間は軽減できます。
 

相続人は誰かを確定する

もうひとつ大事なことは「相続人が誰かを確定する」ことです。
 
相続が発生した場合、亡くなられた方(=被相続人)の出生から死亡までの戸籍を確認する必要があります。これは、相続人となる権利がある人を確定するのに必要な作業です。亡くなられた方のご家族が配偶者とお子さま、あるいはお子さまだけという場合には相続人の特定はそんなに難しくありませんが、それでも戸籍の情報取得は必ず必要になります。
 
もし、亡くなられた方に配偶者以外(前妻など)との間のお子さまがいらっしゃる場合には、その子も相続人です。
 
また、被相続人にお子さまがいない場合には、誰が法定相続人になるかについて正確に認識されていないケースが少なくありません。民法で定められている「法定相続人」、すなわち、法律で定められている相続人の範囲は3つの段階に分かれています。
 
配偶者がいればその方は法定相続人になります。
 
次に第1順位として、被相続人の直系卑属。つまり、お子さまがいればその方、お子さまの中に亡くなられている方がいらっしゃる場合にはその子(=被相続人の孫)が。第2順位は直系尊属、つまり被相続人の親など。子がおらず、親もすでに他界されている場合には第3順位である被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になります。
 
しかし、兄弟姉妹が法定相続人になるという認識をお持ちでない方、あるいは法定相続人になることは認識しているものの、いざその時になるとどのように手続きすべきかというイメージをお持ちでない方も少なくありません。
 
トラブルになりやすい具体的なケースをひとつ挙げましょう。
 
被相続人にはお子さまがおらず、配偶者と2人暮らし。相続財産は自宅とわずかな金融資産。被相続人には弟さんが1人いるというケースです。被相続人とその配偶者はお2人とも「自分に何かあったら財産はすべて当然に配偶者が引き継ぐことができる」と思い込んでいました。
 
しかし、前述のようにこのケースでの法定相続人と法定相続分は配偶者4分の3、被相続人の弟4分の1になります。
 
配偶者である奥さまはご主人が亡くなった後、弟に法定相続分があることを知り、弟さんと遺産分割協議を行う必要があること、ご主人の財産の4分の1を弟さんに分けるのが原則であることを知ります。
 
配偶者と弟さんが自分の財産の分け方について相談しなければならないという現実を知っていれば、被相続人は対策を考えようとされたに違いありません。「すべての財産を配偶者に相続させる」という内容の遺言書があれば、配偶者はすべての財産を相続することができ、遺産分割協議も必要ありませんでした(兄弟姉妹には遺留分はありません)。
 
これは比較的単純な事例ですが、家族構成や家族との関係、資産の状況により取るべき対策も異なります。
 

家族のコミュニケーション

自分自身、あるいは親族が亡くなられた時、どのようなことが起きるかを予測し、トラブルにならないように事前に策を講じておくことが相続対策の目的であり、そのためにも元気なうちに「資産状況を把握」し、「相続人が誰かの確認」を行っておくべきです。
 
そして3つ目のポイントは「家族のコミュニケーション」です。
 
最近は、親と同居する家庭が少なくなり、その結果、親族間のコミュニケーションが希薄になっています。被相続人がどのような希望を持っていたかを認識することが難しくなっていることと合わせ、遺産分割協議も久しぶりに顔を合わせる親族間で資産に関する生々しい話し合いになるため、もめるとは思ってもみなかった親族間でももめてしまうケースがあります。
 
また、最近は平均寿命が延びたことなどにより、認知症を患う人も増加しています(※)。遺言書を書くという行為も法律行為ですので、認知症になってしまうと遺言書は原則書けなくなります。また、自筆証書遺言は「自筆」が原則ですので、字が書けなくなると書くことができません。
 
相続人の中に認知症の人がいる場合も同様です。遺産分割協議も法律行為です。認知症の人が相続人の中にいると遺産分割協議ができず、成年後見制度などを利用する必要があります。「成年後見制度」は被後見人の財産を守ることを目的として裁判所が後見人を指名することになるため、将来のことを見通した節税対策などは不可能といえます。
 

まとめ

相続はいずれ必ず発生します。しかし、相続とひと言でいっても親族や資産の状況により、想定されるリスクもさまざま。「こうしておけば問題ない」という万能策はありません。どのようなリスクが発生する可能性があるか把握するための第一歩が「資産状況の把握」「相続人の特定」であり、親族間でその時に備えて「コミュニケーションの機会を作る」努力が必要です。
 
認知症になったり、思うように体を動かせなくなったりすると相続対策を行うことが困難になります。
 
相続対策は、元気なうちにしかできないと考えておかなければなりません。
 
自分や親族が亡くなる時の話は切り出すタイミングも難しいのは事実です。しかし、いずれ訪れるその時に備え、考えておくことは後に遺される親族の手間を軽減し、トラブルを回避するために非常に重要なことです。こうした備えがあれば、後に遺される人たちは悲しいながらも慌てたり、もめたりすることなく前を向けるのではないでしょうか。
 
出典
(※)厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について(参考資料)」
 
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、宅建マイスター(上級宅建士)、上級相続診断士、西山ライフデザイン代表取締役

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